実相寺昭雄監督『帝都物語』(映画)

 実に恥ずべき事をここに告白するに、私は今回初めて実相寺昭雄監督作品を観た。『シン・ゴジラ』をはじめ様々な作品に影響を与えた人物として、外してはならない人物と分かっていながら、今まで見ていなかった。

 荒俣宏の原作(かなりの冊数出ている長編)のうち、前半部分を映画化。当時のオールスター役者を配し、10億円ともいわれる製作費を掛けた邦画。そう言われればなんとなくどんな映画か想像できてしまいそうなもので、そんなノリで見始めたらかなり面食らってしまった。想定外に難解だったのだ。シンプルなプロットラインに様々な要素が散りばめられ、芸術性の高いカット割りや美術は理解が難しい。
 一度見た感想としては、帝都東京の美術が素晴らしい事はもちろん、最も自信を恥じたのは「加藤保憲」という日本が誇るヴィランを知らずにいた事だ。
 軍服に身を包み、神出鬼没、妖術(魔術?)に精通。魔人とも呼べる能力もさることながら、役者の演技も素晴らしく、観ていて気圧される程の迫力がある。本作には怪奇要素が多分に含まれており、妖怪(式神?)的生物や怨念も出てくるが、そんなものよりよっぽど加藤が怖い。

 というか、妖怪の動き、これ多分コマ撮りだよな。すげ。

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