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2019年のセントルイス・カージナルス

NLCS敗退で今シーズン終了

最後のアウトをナショナルズのセンター、ビクター・ロブレスが掴んだ時、初のナショナルズのナ・リーグ制覇、初のワールドシリーズ進出にナショナルズ・パークが歓喜の渦に包まれました。スタンドのファン、グラウンドでは選手や首脳陣、スタッフが喜びを爆発させました。

ナショナルズのワールドシリーズ進出―それはセントルイス・カージナルスの2019年シーズン終了を意味します。ブルワーズ、カブスとの激しい三つ巴を制し地区優勝。NLDSでは東地区1位ブレーブスとの死闘を制しNLCSに進出。しかし、ナショナルズが誇る最強先発投手陣に打線が完全沈黙。投手陣の奮闘虚しくナショナルズに4連敗で敗退しました。

地区優勝を果たしたセントルイス・カージナルス。2019年をただの一ファンがまとめてみました。

2019年成績…91勝71敗、勝率.571(ナ・リーグ中地区1位)


※チーム成績5位以内は太字

1.投手陣

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チーム成績

防御率…3.80(全体5位、NL2位)
奪三振数…1399(全体15位、NL8位)
被打率….238(全体5位、NL3位)
WHIP…1.27(全体8位、NL4位)
被OPS….711(全体4位、NL2位)
セーブ成功率…71.23%(全体3位、NL1位)
K/BB…2.57(全体18位、NL11位)

個人成績成績は()内

防御率…J.フラハティ(2.75)
勝ち数…D.ハドソン(16勝)
奪三振…J.フラハティ(231奪三振)
WHIP…J.フラハティ(0.97)
イニング数…J.フラハティ(196.1イニング)
登板数…A.ミラー(73登板)
セーブ数…C.マルティネス(24セーブ)

まとめ

MLB全体でもトップクラスの素晴らしい数字を残した投手陣。特に若手先発の2人が素晴らしく、ジャック・フラハティは前半戦は苦しんだものの、後半戦は覚醒。オールスター後の防御率は脅威の0.91を記録し、複数の成績でチーム内トップを記録。新エースに相応しい成績を残しました。またダコタ・ハドソンはチームトップ、ナ・リーグ3位の16勝を挙げ、来季もローテの一角として期待されています。

若手先発が全てではありません。去年MLB最多勝のマイルズ・マイコラスは今年ナ・リーグ最多敗戦を記録しましたが、1年間ローテを守り防御率4.16。ポストシーズンでは3試合投げて防御率1.50とNLDSを勝ち抜く原動力となりました。元エース、38歳のアダム・ウェインライトは今年見事に復活。1年間ローテを守り14勝10敗、防御率4.19。ここ数年で終わったと思った人もいる中での復活劇は見事でした。ポストシーズンも強力ブレーブス、ナショナルズ打線相手に15イニングで3失点。その魂の好投でブッシュ・スタジアムを湧かせました。また、登板が無くともベンチを盛り上げる投手陣のリーダーとしても活躍しました。

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去年弱点だったリリーフ陣は今年改善(防御率4.38→3.82)。クローザーを任されていたジョーダン・ヒックスが右肘のトミー・ジョン手術で途中離脱するというアクシデントがありましたが、リリーフ経験のある先発カルロス・マルティネスをクローザーとして抜擢し24セーブを記録。今年加入したアンドリュー・ミラーが73登板、28歳のジオバニ・ガレーゴスと日米野球にも参加したジョン・ブレビアが66登板、今年リリーフとして覚醒したジョン・ガントが64登板と主に勝ちパターンとして活躍しました。去年防御率4.43だったタイラー・ウェブは今年65登板で防御率3.76と改善。リード時も任されました。

ポストシーズンはダニエル・ポンセ・デ・レオン、ライアン・ヘルスリージェネシス・カブレラがロースター入り。今年はメジャーでの登板は多くはなかったですが、彼らが来年どれだけの成績を残すか期待です。

2.野手陣

2.1打撃

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チーム成績

打率….245(全体23位、NL11位)
HR…210(全体24位、NL12位)
打点…714(全体21位、NL11位)
得点…764(全体19位、NL10位)
出塁率….322(全体18位、NL10位)
長打率…..415(全体23位、NL12位)
OPS….737(全体22位、NL12位)
盗塁…114(全体3位タイ、NL1位タイ)
盗塁成功率…80%(全体5位タイ、NL4位タイ)

個人成績

打率…K.ウォン(.285)
HR…P.ゴールドシュミット(34本)
打点…P.ゴールドシュミット(97打点)
盗塁…K.ウォン(24盗塁)
安打数…P.ゴールドシュミット(155本)
出塁率…K.ウォン(.361)
長打率…P.ゴールドシュミット(.476)
OPS…P.ゴールドシュミット(.821)

まとめ

トップクラスの成績を残した投手とは逆に、MLB全体下位レベルの打撃成績を残した野手陣。その貧打っぷりがポストシーズン、特にNLCSでも発揮されセントルイスのファンの怒りを買いました。

ポール・デヨングと新加入のポール・ゴールドシュミットのPaulコンビが30HRを打ちましたが2人とも率に欠け、特にゴールドシュミットはダイヤモンドバックス時代と比べて劣る成績。マーセル・オズーナは怪我もあり30HRに届かず、打率も.241と去年より.039落としました。ベテランの域に差し掛かるマット・カーペンターデクスター・ファウラーも期待される成績は残せず、若手のハリソン・ベイダーも去年からの打撃改善はありませんでした。

暗いニュースばかりではありません。前述の通り、デヨングは自身初の30HRを記録。途中昇格の24歳のルーキー、トミー・エドマンが92試合で打率.304、11HR、OPS.850と大活躍。タイラー・オニール、レーン・トーマス、ランディ・アロザレナの若手外野手達が少ない打席ながらもメジャーで結果を残し、こちらも若手が躍動しました。モリーナ引退年が迫ってるということで次期正捕手候補のアンドリュー・ナイズナーもメジャー昇格を経験。来年は積極的に起用される可能性もあるでしょう。

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また上の画像のように今年のカージナルスは走塁改革を行い、去年と比べて盗塁の数、成功率を上げることに成功。打てないながらも足を絡めることで点を取り、地区優勝を成し遂げました。

2.2守備

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チーム成績

DRS…+95(全体3位、NL共に3位)
UZR…+32.8(全体3位、NL1位)
守備率….989(全体、NL共に1位)

主力選手の成績(DRS/UZR/守備率)

捕手 Y.モリーナ(+2/情報なし/.999)
一塁手 P.ゴールドシュミット(+4/+2.5/.996)
二塁手 K.ウォン(+14/+5.2/.987)
三塁手 M.カーペンター(0/-2.1/.964)
遊撃手 P.デヨング(+14/+11.4/.989)
左翼手 M.オズーナ(+2/+5.7/.979)
中堅手 H.ベイダー(+13/+12.9/.984)
右翼手 D.ファウラー(-4/-1.3/.976)

まとめ

投手力と共に光ったのが守備力。こちらも全体でトップクラスの数値を残しました。カージナルス投手陣のゴロ率は高く(今年は44.9%、MLB全体4位)、堅守の内野陣と合わさり、高いディフェンス力を発揮。内野だけでなく、外野はオズーナも数値は+、ベイダーも圧倒的外野守備は健在でした。

来年引退を宣言したヤディアー・モリーナは流石に衰えが見え、今年の盗塁阻止率は27%と2016年の21%の次に悪い数値でした。それでも、フレーミング値は未だ+を記録し扇の要として今年もチームを引っ張りました。前述の通り、ゴールドシュミットは期待された打撃成績は残せませんでしたが、堅守は健在。守備面ではプラチナシュミットでした。ウォンとデヨングの二遊間は鉄壁で2人ともDRS+14を叩きだし、ゴールドグラブ賞候補とも言えるでしょう。カーペンターも衰えが見えますが、台頭したルーキーのエドマンもサードをする機会が多くDRS+5/UZR+0.1/守備率.972を記録。エドマンは他にもセカンドや外野を守り、どこのポジションでも良い数値を出しているのでユーティリティプレーヤーとしての活躍が望まれます。

3.来年は…

来年は有名な年で、レジェンドモリーナが引退を表明した年です。当然カージナルスは今まで以上に本気でナ・リーグ中地区を制覇、そしてワールドチャンピオンを目指すでしょう。今年の躍進も見事でしたが火力不足という課題が浮き彫りになったシーズン。まだFA市場に選手が出てないので分かりませんがどう課題を克服するか考えました。

3.1 若手、プロスペクト達

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前述の通り、今年は若手の成長が著しいシーズンでもありました。投手、野手共に来年シーズン通しての活躍が望まれる選手もいます。特に僕個人としては若手外野手達の活躍が楽しみです。オズーナの契約がまだ分からない、ファウラーやベイダーの打撃がイマイチなのを考えると来年は十分チャンスはあります。

 台頭した投手、ナイズナーやオニール、トーマス、アロザレナの若手はそれぞれの所で紹介しましたので、ここでは別の選手を書きます。カージナルスプロスペクト1位だったノーラン・ゴーマンを押し退け、今年1位になったディラン・カールソン外野手の活躍に期待です。カールソンの今シーズン始まるまでの評価はここに書いてあります。

https://note.mu/ryo0916/n/nff24757a0ac4

カールソンは今年21歳になる両打ち外野手。今年はAAとAAAで活躍しました。去年はAとA+でプレーするもイマイチの打撃成績でしたが今年は打撃が覚醒。上のレベルのAAとAAAでしっかり成績を残し、一気に球団トッププロスペクトとなりました。恐らく来年はある程度AAAで経験を積ませた後にメジャー昇格だと思いますが、スプリングトレーニング次第では早めのメジャー昇格もありえます。カールソン含めた若手の躍動に来年も期待です。

ディラン・カールソン 21歳 左投両打

AA成績…108試合、417打数、117安打、打率.281、21HR、59打点、18盗塁、OPS.882(出塁率.364、長打率.518)
AAA成績…18試合、72打数、26安打、打率.361、5HR、9打点、2盗塁、OPS1.098(出塁率.418、長打率.681)

3.2 補強

これを書く前に「カージナルスの補強ポイントは?」ということで1つアンケートを作りました。ご協力ありがとうございました。

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結果は外野手が1番多かったです。オズーナとの契約が不透明、ベイダーは守れるにせよ打てなくてファウラーは出塁率こそあるものの低打率。オズーナと契約出来なかった場合、外野はかなりレベルダウンするでしょう。

以前はオズーナと契約出来ればFAは投手に、契約出来なかったら野手にと思ってましたが、今はどちらになろうとも野手の補強にいって欲しいと思います。特にナショナルズのサード、アンソニー・レンドンを獲得出来ればベストだと思っています。レンドンはオズーナと同年代で今年打率.319、34HR、126打点、OPS1.010とMLB最強打者の1人として名を連ねました。サードということでエドマンをどうするかが問題ですが、前述の通り外野守備でもいい成績を残してるのでエドマンを外野にというやり方もあります。同じサードだとブレーブスのジョシュ・ドナルドソンを獲得する可能性もあります。今年打撃では37HR、守備ではDRS+15を記録しました。過去にカージナルスはドナルドソンの獲得競争でブレーブスに負けており、今度こそはというのもあるかもしれません。NLDSで死闘を繰り広げた相手と仲間になるという展開も熱いですね(?)。

アンケート通り外野を獲得するなら今年タイガース、カブスに所属したニック・カステヤノスが最適でしょう。まだ27歳とオズーナより若いながらも引けを取らない打撃成績を残しています。また、若手を使ってトレードが行われる可能性もあると思います。

FA投手に目を向けると、最強投手のゲリット・コールを始め、最優秀防御率の柳賢振、ジャイアンツのエースマディソン・バムガーナー、2年連続2桁勝利のザック・ウィーラーなどのエースクラスが市場に並びます。コールは西海岸希望らしいので獲得は難しいでしょう。左の先発がいないため、獲得するとしたらバムガーナーだと思います。

今年のカージナルスの総年俸は1億8343万8735ドルと贅沢税のライン(2億600万ドル)には届いてません。カージナルスのFAはアダム・ウェンライト(1000万ドル)、マイケル・ワカ(635万ドル)、マーセル・オズーナ(1225万ドル)の3人です。カージナルス一筋の功労者であるウェインライトはほとんどの確率で契約するでしょう。後の2人はまだ分からず、この2人の契約次第で動向が変わることもありそうです。上記の選手の他にもオプトアウトでFA市場に並ぶ可能性のある選手もいますし、誰を獲得するか分かりません。

終わりに…

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今年は惜しくもワールドシリーズ進出を逃してしまったカージナルス。ただ激戦の中地区を制したのはお見事でした。僕個人としてはゴールディやミラーを獲得し、ガチで勝ちにいってると思ったのでカブスやブルワーズとの激戦を制し162試合目で地区優勝を決めた時は嬉しかったですし、欲を言えばワールドシリーズ進出を期待していました。

実はナショナルズファンも兼任してましたが、やはり留学での体験が忘れられず、今年からカージナルスに専念することになりました(ナショナルズから離れて、ナショナルズがワールドシリーズ進出という疫病神っぷりを発揮)。今年は地区優勝の他にも、現エンゼルスでセントルイスの英雄アルバート・プホルスや、現アスレチックスで個人的に好きな選手のスティーブン・ピスコッティのセントルイス帰還もありました。この2人にはセントルイスのファンから大きな歓迎がありました。NLCSでは8回途中までノーヒッターだったナショナルズのアニバル・サンチェスが降板した時に敵ながらスタンディング・オベーションを行いました。カージナルスファンは世界一と言ってもいいでしょう。

MLBどこを応援しようか迷ってる人がいれば、是非カージナルスを。一部記事にモリーナが引退撤回するかもというのがありますが、来年は日本でも有名なモリーナが引退表明した年なので、ガチでワールドチャンピオンを狙いにいきます。セントルイスは田舎ですが、野球熱は世界一なので野球ファンはすぐにファンになると思います。

成績…
FanGraphs(https://www.fangraphs.com)
ESPN(https://global.espn.com)

年俸、FA関係…
spotrac(https://www.spotrac.com)
より

#野球 #MLB #セントルイスカージナルス

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