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子供の頃に憧れた車窓からの絶景を追い求めて【僕らの忘れられない旅#3】

スイス・アルプス山脈 2019年4月〜5月
「子供の頃に憧れた車窓からの絶景を追い求めて」
神舎宏(28歳・会社員)


「山派? それとも、海派?」

そんな問いを、よく耳にするかもしれません。

僕は、瀬戸内海に面する広島で生まれ育ったので、その答えは断然、「海派」の人間でした。

そんな僕は、この旅でその考えを覆されるとともに、とても大切なあることを学びました。


2019年4月27日から5月6日の、GW10連休。

僕は、平成最後の日をスイスで過ごすことにしました。旅の目的は、子供の頃に「世界の車窓から」を見て、憧れを抱いていたスイスの美しい自然を見に行くためです。

スペイン・バルセロナ発スイス行きの機内からは、スイスでの旅の期待値を高めるには充分すぎる景色を見ることができました。

スイス初日(4/30)。ターミナル駅であるチューリッヒに到着後、まずは列車に乗り換えてインターラーケンという街へ。

インターラーケンに到着後、まずはじめに街の展望台へ。地上から力強くリフトが上昇するにつれ、素晴らしい眺望が見え始めました。
展望台からの景色は、澄んだ青空、コバルトブルーの湖、雪がかった山々、現地の方々が暮らす住宅が見事に溶け合う色鮮やかな眺望でした。

令和を迎えたスイス2日目(5/1)は、幾度となく登山家をはね返し、登頂困難と言われた北壁を誇るアイガーに向けて出発。そして、その麓町にあるグリンデルワルドという街からユングフラグ鉄道(登山鉄道)に乗車しました。

発着駅からぐんぐん上昇し、あっという間に、ヨーロッパ最高地点にあるユングフラグヨッホ駅(3454メートル)へ。

そして、その名の通り、ヨーロッパ最高地点に位置し"TOP OF EUROPE"と呼ばれる展望台へ。

真っ青に染まった空、険しく尖った山々、そして真っ白な雪に囲まれたその空間は、信じられない程に澄んだ空気と静けさに満ちていました。

そこは、まさに異空間。

その空間に圧倒されるのと同時に、100年以上前にこの鉄道を開業させてしまったスイス人の技術力と情熱に感動してしまいました。

夕方、その余韻に浸りながら、再び列車へ。次は、別名「鹿の角」と呼ばれる「マッターホルン」を目指すべくツェルマットという街へ。

夜、街に到着。僕が顔をあげるとそこには、マッターホルンが鎮座していました。

最初の印象は、まるで剃り立つ壁。加えて、月光に照らされ不気味ながら荘厳な雰囲気を放っていました。

3日目早朝、目覚めるとそこには昨夜と全く違う表情をしたマッターホルンが僕を迎え入れてくれました。

「もっと近くから見てみたい!」そんな衝動に駆られながら、僕は、ゴルナーグラード鉄道(登山鉄道)へ乗車しました。

マッターホルンを横目にどんどん登っていく登山列車はあっという間に標高3,089メートルのゴルナーグラード駅に到着しました。

そこには、360度の大パノラマでアルプス山脈の29の4000m級の山々と氷河に囲まれた展望台がありました。

やはり圧倒的な存在感を放っていたのが、マッターホルンでした。

景色を眺めながら展望台のベンチで飲んだホットコーヒーが、今までの人生で1番美味しかったことは決して忘れられない思い出です。

僕は、今年のGWの10日間でヨーロッパを5ヶ国旅しました。その中でもやはりスイスで見た美しい自然の数々は、深く僕の記憶に深く残り、遂には、「山」が大好きになりました。

それと同時に「海派」だった過去の僕は、ただ単に、「こんな世界がある事を知らなかっただけなんだ」ということに気が付きました。

日本にいれば生活には困らない程度にモノが手に入り、ネットで調べれば大抵の情報は手に入ります。僕は「山」を知っているつもりになっていて、勝手に「海」の方が好きだと思い込んでいました。

人は、過去に見たり聞いた体験したことからしか、考えたり判断ができません。

「だからこそ、自分自身が知らないこと、分からないこと、経験したことがないことにも、積極的にチャレンジすることが大切。そしてそこでの経験は、過去をも変えうるんだ」

この旅を通じて、このことを学びました。

僕は、まだまだ知らないことだらけです(笑)

世の中には、僕の未知なる世界がまだまだ沢山あるはずです。

そして、その未知に触れることで、自分自身の変わりゆく考えや感じ方、捉え方を楽しむことができるのも、旅の魅力の1つなのだと思います。

スイスの絶景の堪能し、大切な事を学んだ旅。

これが僕の忘れられない旅です。


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