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灼熱のブラジルで迎えた、人生最悪の年越し/前編(2016年12月)


僕の2017年は、灼熱のブラジルで、花火の打ち上がる音、それを見て沸き上がる人たちの歓声、そして、たくさんの”悲鳴”に包まれて、幕を開けたのでした―――


世界一周の最後を飾る「真夏の年越し」へ

 2016年の10月から12月で、平日は日本でサラリーマンをして「トランジット」しながら、毎週末、海外旅行に行き、5大陸18か国を制覇した「働きながら世界一周」。その最後の国は、ブラジルでした。年末年始の休暇(12月29日〜1月3日)を利用して行きました。

 12月28日、無事、仕事を納めた僕は、その足で成田空港に向かいました。日本からブラジルへは30時間を超えるフライトです。中東のUAE・ドバイ、そしてブラジル・サンパウロを経由。サンパウロで一泊し、12月30日、ブラジルの最大都市であるリオ・デ・ジャネイロに辿り着きました。


 僕が2016年の年越しをリオに選んだ理由、それは、ブラジルは南半球にあるため、日本と季節が真逆。そう、真夏の年越しなのです。リオでは、街の中心にあるコパカバーナビーチに世界中から人々が集まって、砂浜でシャンパン片手に、盛大な花火とともに年越しをするそう。その数、なんと200万人を超えるらしいのです。

 加えて、ブラジルの年越しの素敵なのは、みんなが服の色に新年の思いを込めてビーチに出てくるところ。ブラジルでは特別な日には、服の色に願いを込める風習があるらしく、クリスマスにはカップルは赤い服を着て街を歩いたりするそう。そして、新年は「気持ちを新たに」という思いを服の色に込める人が多いため、ほとんどの人が白い服を着てビーチに集まるというのです。

 これは間違いなく、南半球、いや、世界最大規模の年越しイベント。そのうえ、陽気な国民性。盛り上がるに違いない。世界一周のフィナーレを飾るのにふさわしいと思い、渡航を決めました。


極小ビキニにフッチボール

 12月30日、真冬の日本から、リオに到着。そこでは、上着を全て脱ぎ捨てても暑いくらいの、肌を貫通するほどの日差しが僕を待っていました。なんと気温は40℃。日本とは30℃以上の差があり、これほどまで「溶ける」という表現がふさわしい状況は、他にはないでしょう。


 ホテルにチェックインし、まず向かったのは、街の中心・コパカバーナビーチ。4kmに渡る扇型ビーチで、その遊歩道には特徴的なモザイクが施され(ちなみに近郊のイパネマビーチの遊歩道にも、また異なるモザイクが施されています)、その向かいにはホテルやブティックが立ち並びます。

 いざ、砂浜に降りると、見渡す限り、人、人、人。潮が満ちて狭い砂浜はカラフルなビーチパラソルで埋め尽くされ、波打ち際では、極小のビキニを着た女性が日焼けをし、ブリーフタイプの海パンを履いた紳士達がフッチボル(ポルトガル語でフットボールをフッチボルといいます)を楽しみ、子供たちが走り回っています。僕も海パンになって、ビーチを端から端まで歩きながら、日焼けをし、女性に見とれて目の保養をしながら、時々足元に転がってくるボールを蹴り返しながら、真夏のリオを楽しみました。

▼賑わう、コパカバーナのビーチ。

▼フッチボールを楽しむ人々。当然のことながら、かなり上手い。


 歩き疲れたらクーラーでキンキンに冷えたレストランで休み、少し体が冷えてきたらまた街を歩き、ブラジルの肉料理・シュラスコを食べて、食べ過ぎて太りそうになったらまた歩き……そんなことを繰り返していたら、あっという間に大晦日が来て、気が付いたら、夜を迎えました。


白く染まったリオの街並み

 12月31日 20時頃、コパカバーナビーチの近くに取っていたホテルを出発し、ビーチを目指しました。道路に出てみると、既にたくさんの人が年越しに向けて、ビーチに向かったり、レストランやバーで食事したりしています。そして、噂に聞いた通り、人々は服の色に願いを込めて集まっていました。

 男性であれば、白いシャツやTシャツに白い短パン。さらに上級者は白い帽子や白い靴を履いたりしています。一方女性は、白いワンピースや白いTシャツ、白いスカートの人が多いです。白いアクセサリーをしている人も見かけます。

 地元の人だけではありません。観光客もこの日ばかりは白い服を着て繰り出します。日中はビタミンカラーが溢れカラフルだった街並みは、白一色に染まっていました。もちろん、僕もみんなと同じように白いリーマントラベラーTシャツに白い短パン、そして白いビーチサンダルで出陣しました。

 22時前に、僕はコパカバーナのビーチに着きました。そこはすでに白い服を着た老若男女たちで溢れ返っていました。昼間以上にビーチは人で埋め尽くされています。昼間のパラソルはビニールシートに変わっていました。

▼白い服を着て、ビーチ沿いの道に集まる人々。


 これだけ人が集まるとなると、どうしても気になるのが治安。ちょうど同年にはリオで夏季五輪も開催され、現地の治安に関する報道などもよく目にしていました。そのため、僕はかなり身構えて行きました。


 しかしながら、その不安は杞憂に終わります。道路には軍隊が配置され、マシンガンを持った警察も道路を頻繁に行き来して見回っています。そのため、浮浪者なども一切見かけません。

 やはり、かなりの人数が世界中からここコパカバーナビーチに集まることから、政府も万全の対応をして年越しカウントダウンに臨んでいるようでした。これなら安心です。


 しかし、このときまだ僕は、これから始まるブラジルの"本当の恐ろしさ"に気がついていませんでした。



▶︎後編へ続く


こんにちは、リーマントラベラーの東松です。サポートいただいたお気持ちは、次の旅行の費用にさせていただきます。現地での新しい発見を、また皆様にお届けできればなぁと思っております!