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若者にメッセージなんて「ない」

私は坂本龍一さんが好きです。
今も坂本さんの音楽を聴きながら原稿を書いています。

2年ほど前の春、「J-Wave」を聞きながらドライブしていたら、色々なジャンルの有名人がこれから社会に出る若者に向けてメッセージを送るという特集をやっていました。
その中でメッセージが「ない」と言った人がいます。
坂本龍一さんでした。

『若者が大人の言うことなんて聞くもんじゃない。
僕も若い頃は聞かなかった。
でも、そのためにはものすごく勉強が必要ですけどね。』

そんなお話でした。
私はすごくいい言葉だなぁと思いました。
自分が何者で、何がやりたいのか、自分で考えて、それを信じなよということだと解釈します。
そして自分が「いい」と思ったことを実行すればいいんだと。

大人の言葉には、過去の経験や固定観念がどうしても入ってくる。
もちろん、それが役に立つこともあるし、そこから学ぶこともある。
でもまずは、自分の中から湧き上がるものは何なのか。
誰に何を言われても揺らがない、自分の中の何かを貫きなよということだと思います。
中途半端ではなく、「ものすごく」勉強をした上で。

最近思うのは、年齢を重ねても、そんな柔らかい心と頭でいるためには何が必要なのかということ。
経験を重ねれば自分のスタイルが確立して、だんだん硬くなってきます。
新しいものを受け入れたり、新しいことに挑戦することに対して、柔軟性を失っていく。
コンフォートゾーンはその名の通り「心地がいい」のだし、そこを脱却するのは簡単ではありません。
その時に大事なのが「思い」でしょう。
心地よさを手放し、でこぼこ道に突っ込んで、挙句の果てに誰にも感謝も賞賛もされない。
それでも実現したいこと、自分が「いい」と思うこと。
世の中が理解するのは100年後かもしれない。
感謝や賞賛をされるのは200年後かもしれない。
しかしそれは、結果であって目的ではないのです。

強い思いは自分を突き動かしていく。
それさえあれば、何だってできるのだと思います。

ちなみに、写真のサインは私の夫が上京したばかりの東京駅KIOSKで坂本さんに遭遇し、お願いした時のもの。小さな安物のメモ帳に、しかも鉛筆でサインをお願いした若者にきちんと対応してくれたそうです。

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