朝5時起きの思考法ーー"精神と思考のゾーン”に入り、”自分だけの王国”を建立する
新しい朝が来るたび、私たちは生まれ変わる。今日なにをするかが一番大切なのだ(Each morning we are born again. What we do today is what matters most. )
大好きなブッダの言葉です。
昔むかし、あれはたしかまだ僕が大学1-2年生だった頃。ソフトバンクの孫さんが、ツイッターで呟いたこんな言葉があります。
今日は、人生で最も素晴らしい日になる。毎朝その様に願う事が大切だと思う。
きっとブッダと同じく、孫さんにも何気ない朝に、毎日祈りを込め続けて生きて来られたのでしょう。
ツイッターのタイムラインに流れてきたこの言葉は、未だ脳裏にこべりつき、僕を離しません。
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大学を卒業後、就活をしていなかった僕はインドへ、ヴィパッサナー瞑想の修行の旅に出ました。しかも選んだ地は「ブッダガヤ」。
釈迦が菩提樹の下で悟りを開いたとされる「八大聖地」の1つであり、仏教では最高の聖地とされています。
滞在での出来事や思考録は「インド瞑想記(2013)」として、全10回(長い)にまとめています。
その第7回で、アリストテレスの言葉を引きつつ、「人間の適応能力は思うよりも高い。習慣は人間の根幹部で、習慣化するまでの時間を努力と呼ぶのではないか」との言葉が残っていました。
繰り返し行うことが、人間の本質であり、 美徳は、行為に表われず、習慣に現われる(We are what we repeatedly do. Excellence, therefore is not an act but a habit. )
大学時代も“春休み”のような、つかの間の期間に、ストイックな生活を送っていたことがありました。
“精神と思考”の深度と回転数を上げる、
朝5時起きのルーティーン
ここ数ヶ月、何時に床に就いても、デフォルト値として朝5時頃には目が覚めます。ちょっとベッドに入る時間が早いと、平気で3時には起きる。28歳のおじいちゃんです。
以下では、起床してからのルーティーンをまとめています。
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朝4-5時の間に起床。夢日記をつける(noteでも『夢日記の臨界点』として週次で内容公開しています)。
お風呂に入ったあとは、全身をストレッチ。簡単な体幹トレーニングも行う。その間は、LinkedIn創業者のリード・ホフマンが、アメリカの超有名起業家招いて対談するポッドキャスト番組『Masters of Scale(マスターズ・オブ・スケール)』や『バイリンガルニュース』を流しながら。
ストレッチで身体をほぐした後は、瞑想アプリ「Calm」(※英語が苦手な方は僕の友人がやっている「Relook」というアプリをお試しください)を使うか、Sportifyのプレイリスト「Deep Focus」を流して10分ほどマインドフルネスに取り組みます。
刺激を与えてあげることで、意識のみならず、身体も起動します。それによって、頭が冴え始めるので、2時間ほど読書。
言語学習アプリ「Duolingo(デュオリンゴ)」で、スペイン語の短いワンセッション(5分くらい)をこなす。アメリカに住んでいた頃に勉強していたので、忘れないようにというより、頭の体操として。身体と同時に、頭もほぐしておきます。
その後、必ず有酸素もしくは無酸素運動を1時間挟んでから、スケジュール確認&組立、メールなどマイクロタスクさばいて仕事開始。
このライフスタイルに切り替えたのが、2-3ヵ月ほど前のこと。以来、明らかに精神が研ぎ澄まされてる感覚を覚えています。
思考の回転速度と深度も明瞭に向上し、森の目と木の目が同時に働き、集中力が格段に深まりました。睡眠の質も自然にグッと上がります。
大学生時代の春休みとはまったくと言っていいほど質の異なる、境地にいま達しています。いうなれば、“精神と思考”が明敏に働き続けている、“ゾーンに突入した感覚”です。
今回のnoteでは、ありがちなHOW寄りの「朝早起き」Tipsではなく、何段階か抽象度をあげ、「早起きがどうして、思考や精神に影響を与えるのか」にフォーカスしながら考察を深めていきます。
静謐な時間のなか、
自分だけの”精神的な王国”を建造していく
ひとつひとつの”無意識”が”意識化”していく感覚、ささいな”選択や判断”を”意思決定”と自覚し、戦略を介在させてグリップし切っていく。
毎日、”生きていること”に武者震いできているかどうかを点検する。なんとなく無思考、惰性になっていないか、船の舵を手放していないか。問い続けながらも、動きを止めない。
そんなことを頭に思い受けべ、己との問答を「あーでもない、こーでもない」と繰り返しながら、上述したルーティンを淡々とこなしていきます。
朝5時の静謐な時間に毎日起き続けることは、ひとつひとつの煉瓦ブロックを積み上げながら、自分だけの堅牢な”精神的王国”を建造していくイメージ。
学生時代に繰り返し読んだナポレオン・ヒル『思考は現実化する』に、多少なりとも影響を受けているのでしょう。
同書のなかには、こんな言葉があります。
潜在意識は海面下の王国である。<略>潜在意識とドッキングせよ。
別の箇所でも、「頭脳は宇宙が宿る小さな器である」との印象的な言葉が並んでいます。
果てしない営みを、実直に孤独に、淡々と。
一面に霧が広がっていて、その先に何が待ち受けているか、どんな完成形になるかはみえない。それでもやっていく。
時間あたりの思考密度を高め、
1日24時間の限界突破を試みる
朝目覚めてから30分ほど経過すると、頭がすごく冴えた状態になる。それを午後以降にも引っ張り、拡張して、夜まで持続させる訓練を1日1日、絶やすことなくつづける。これはもはや“己との闘い”である。
その先にだれも決して崩せない、精悍で強固な自分だけの思考集成ができあがるはず。
5分後、5時間後、明日、3日先のこと。どれか一つではなく、全てを同時にイメージしながら感覚が複数化し、思考が走ってるイメージ。
短中長期の事柄を並列に、圧倒的な先回り思考で捉える。
それでも、ストレスなく集中力の水面がピンと張っているから抜け漏れがないし、常に先回りの行動をとれてる気がする。とはいえ、この思考サイクル自体をメタに点検し、リーンに改善する必要ある。
これは”考え方”というより”生き方”、あるいは”マインドセット”かもしれない。“イマココ”で流れ続けている時間を、自分が主体となって掴み取る。時間の相対性に抗うかのように、時間あたりの思考密度を高める。すると同じ24時間なのに、時間は伸び縮みすることに気づき、体感として24時間以上になる。
明日ひとつでも楽しみなことがあれば、人間は苦なく早起きすることができる。毎日、自分なりに”小学生時代の遠足”にも似た、なにかワクワクするレクリエーションを予定にハメ込むこと。それが結果的に、早起きにつながるのではないか。少なくとも僕はそうやって、目覚ましもなしで起きられている。
「爆早起き」×「激筋トレ」×「ふんわりマインドフルネス」
から成る三角形
弊社モメンタム・ホースのビジョンのなかには、「モメンタム」「コミットメント」「マッチョイズム」から形成される三角形への言及があります。
最近、この三角形の土台を下支えし、ブーストしてくれる新たな三角形を見つけました。
それが、「爆早起き」×「激筋トレ」×「ふんわりマインドフルネス」です。
それぞれが掛け算として連動するから、思考と精神が鋭敏になる。
たとえば、筋トレをしているとき。ベンチプレスを上げれば、胸や腕、筋肉の部位単位で刺激に感覚が向くことはあるでしょう。
ただ、上記の三要素が掛け算のゾーンに入っていると、それこそ筋肉単位ではなく、一本一本の筋肉繊維にまで感覚が及ぶのです。
マインドフルネスのトレーニングでは、「食」に関するレクチャーがありました。
目の前の料理や食材に五感を働かせることはもちろん、一つ一つの素材が誰の手によって育てられ、どんなプロセス・流通を経て、イマココに至ったのか。
あるいは、ウェイターやシェフは連続する瞬間のなかで、どのようにこの料理をここまで運んだのか。途方もない細部にまで、マインドフルネスを働かせるのです。
そのため、限界ギリギリのウェイトと戦いながらも、いま側についてくれているパーソナルトレーナーの表情や動き、気分や感情にまで絶えず意識が向かっています。
その意味で、マインドフルネスを突き詰めていくと、精神的・物理的な視野が広がっていくのかもしれません。ありていにいって、「人に優しくなれる」気がします。
こうしたマインドフルネス効果もあってか、先日ふと頭によぎった事柄がありました。
毎日新しいアプリが生み出され、毎日アップデート・改善される。「この機能便利だな」「あ、ページ読み込み速くなってる」そんな感触を覚えたとき、「あゝ、世界はこうして間違いなく1秒づつ、1日づく着実に確実によくなっている」と思うとたまらなく幸せになる。茫漠に、無限に、同時に、広がる幸福に溢れたファクトフルネスに気づく。
ジムで筋トレ中の身体が動いているときも、整体でマッサージを受けて身体が身動きをとれないときも、思考は自由に走り続けている。(このことに関しては、来週公開予定の『記憶力を拡張するー構造・マトリクス・物語』というnoteにまとめました)
カフェで考えごとをしている自分の姿さえも、もうひとりの自分が見つめているのです。
「知覚力」を鍛える
ーー感知・パターン認識・予測
人の思考とは入力された情報を単に処理することに留まらず、そもそも人が何を「知覚」するかこそ、知性の核心であると言う。知覚とはインプットとも感覚とも異なる概念であり、この知覚の質こそ、いま求められている課題解決の質を決めるという。(「知性の核心は知覚にある AI×データ時代に人間が生み出す価値とは」Harvard Business Reviewより)
今回のnoteで僕が「精神と思考」と呼んでいる感覚は、上記の論文で安宅さん(ヤフー CSO)が使用している「知覚」という言葉に近いのかもしれない。
この点をちょびっとだけ深掘りしてみる。
いま話題のビジネス書『直感と論理をつなぐ思考法』のなかで、センス・メイキングの3プロセスとして、「知覚力」は以下の構成要素から成り立つと紹介されています。
①感知ーーありのままに観る
②解釈ーーインプットを自分なりのフレームにまとめる
③意味づけーーまとめあげた考えに意味を与える
また、近しい整理として、メタップス・佐藤航陽さんが2015年に上梓した『未来に先回りする思考法』でも、同様のステップが冒頭に書かれています。
私たちも何かを実行するときは、 ①学習、②パターン認識、③予測、④実行
という4つのプロセスを通過しています。
「爆早起き」×「激筋トレ」×「ふんわりマインドフルネス」から成る三角形は、両ステップの各工程で効力を発揮してくれると実感していますが、とりわけ前者の①感知と、後者の②パターン認識と③予測に、絶大な力を与えてくれるのではないかと考えています。
たとえば、ウサギとアヒルのだまし絵を差し出されれば、0.5秒で「あ、ウサギもアヒルもいるな」と気づくような。
大げさにいうのであれば、先ほども紹介した『思考は現実化する』にある「第六感は英知の殿堂への扉を開く」とも言えるのかもしれません。
身体から精神をハックしてみよう
(まだ一回も日中に眠くなったことがない!マジ!)
「つか、そんな早起きしたら日中眠くならんの?」と突っ込みが絶対に来そうですが、マジのマジで、一回も眠気が来たことがありません。(2-3時間睡眠でも睡魔に襲われないのが、自分でも信じられない...)
これはきっと既述したように、「早起き」に「筋トレ」と「マインドフルネス」が掛け合わさっているからだろうと推察されます。
まず、筋トレによってドーパミン、βエンドルフィン、ノンアドレナリンが分泌されているため、多幸感や効用に気分が落ち着きやすい。加えて、マインドフルネスによって、平穏でありながら鋭敏な意識が立ち上がっている。
筋トレに関しては午前中(なるべく朝)に、45-50分ほどの短時間にできるだけ高負荷のトレーニングをしておくと、午後以降が眠くなりません。
そして、夜はベッドに入った途端、するりとスムーズに眠りに落ちる。このライフスタイルによって、睡眠の質が実感として間違いなく爆上がりしています。
とはいえ、どっかでいきなりぶっ倒れないか、自分自身心配でもありますが、今のところなにも予兆がない。むしろ、幸福感と身体的な快適さは増していくばかり。(怖いんで、ちゃんと健康診断行きます笑)
こうしてみると、改めて、精神と身体が不可分であることに気付かされます。なんとなく気分が落ち込んだり、憂鬱、倦怠を覚えることは誰しもあることかと思います。つまり、精神はハックしづらい。
それでも身体のハックは可能です。ハッカブルな身体をコントロールすることで、三段論法的に精神をハックしてみてはいかがでしょうか。
偶発性に左右されそうな、いわゆる「ゾーンに入る感覚」を意図的学習(deliberate learning)でハック、デザイン、ブラッシュアップしていく。アスリート達がやたら願掛けやルーティンを大切にしているのもよくわかります。一般人である僕もそれくらい本気で向き合ってゾーニングをコントロールしたい。
物理的に超忙しくても、
精神的に超ヒマでいられる
(眠気は来ないのですが)朝4-5時起き生活の鬼門として、眠気とは異なる質のMP切れが訪れるのがだいたい午後4時頃。
ここの過ごし方の最適解は模索中です。シエスタなのか、思考を要しない系タスクに全振りするのか、逆にここに運動を組み込むか。いろいろ実験していきます。
まあでも、落合さんが取材してたときだったか、一緒にご飯を食べていたとき、「物理的には超忙しいんだけど、精神的には超暇なんだよねえ」とおっしゃっていて。「ワーク・アズ・ライフ」ってそうゆうことだよなあ、とめちゃ納得したのを思い出します。
それにしてもGW、都内のカフェは軒並みガラガラだし、Slackやメッセンジャーは鳴りを潜めている。仕事が捗るったらありゃしない。
この静謐に流れる時間と比べると、ひっきりなしにメッセンジャーが飛び交う平常時の平日がいかに殺人的に思考する時間を奪っているかがわかる。だから朝5時に起きて、その時間を確保していきましょう。
偏在を普遍化し、
自分自身を征服する
もちろん僕がいま一時的なのか、ゾーンに入っているのは、入れているのは単純に先述した掛け算からなるトライアングルを実践してるからだけではないかもしれません。
いままで読んだ本から得た知識の集積や、出会った人々とのコミュニケーションの連なりの総合として、いまの状態にいるからかもしれないからです。
村上春樹作品のなかで、僕がもっとも愛好している作品『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のなかに、こんな言葉が出てきます。
行動の反復によってのみ偏在的傾向の普遍化は可能なのだ。
これはまさに、先ほども説明した「身体のハックによって、精神をハックする」にも通じる考えではないでしょうか。思考を現実化させるため、まず身体を動かしていく。自らの行動規範=マスタープランに則り、地道に1日1日を成し遂げる。
それをつづけていれば、自然と精悍な顔つきになっていくはずです。
最後に、プラトンの言葉も紹介しておきたいと思います。
最初で最高の勝利とは、自分自身を征服することである。自分に征服されることは、最も恥ずかしく、卑しむべきことである。
皆さんも一緒に早起きしていきましょう!次回【筋トレ編】
力を込めて書いていたら、それなりの分量になってしまいました。
そして、はやくも続編を書き始めています。
今回は比較的、やや抽象的でかつ、「早起き」にフォーカスした内容だったので、次回は「筋トレ」に焦点を当てます。今回とは対照的に、具体のHOWもバキバキに盛り込んだ内容になる予定です。
「早起き」に関して、より具体的なHOWについては、けんすうさんがまとめられていたので、参考になるかと思います。
あくまでも個人的な取り組み、習慣としてやっていた、この生活。最近では、弊社内でも5時に起きるメンバーがちらほら出てきました。
内部以外でも何人かの方から個別に、「アレまじ?負けてられないわ!」と連絡をいただいたりしています。
「啓蒙」にも似た、だれかに影響を与えられている気持ち良さに似た感触を覚えています。これまさに、早起きコミュニティ「朝渋」を運営する、早起きエバンジェリスト・5時こーじがやっていることですね。
彼と対談した「『早起きは、サウナと一緒です』夜型だった長谷川リョーが見つけた早起きの”脳内麻薬的”効果」との記事は明日公開される予定です。(公開されましたら、また告知します)
ALL PHOTOS via UNSPLASH
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