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誰も僕の資料には興味がなかった

駆け出しクソガキだった頃、僕はロールモデルに餓えてました。なので例えば「福岡の大きな仕事のために東京からわざわざやってきたプランナー様」
など、ロン毛で見るからに仕事が出来そうで、僕とは住む世界がむちゃくちゃかけ離れてそうな人の企画書などを拝見する機会があれば、僕は目を皿にして、何が書いてあるのか必死で読み取ろうとしてました。

しかし毎回毎回、ゲロ吐いて失神しそうになるくらい、なにも頭に入ってこず、理解したのは

「企画書の最後にはお礼の言葉で1ページ作るのがかっこいいんだな」

とか、そういうことくらいでした。
なので「俺はものすごいバカなんかもしれん」と早くも己の脳力の限界を見ていたんですが、ガッツだけはありましたので、チャンスをいただいた時には一生懸命考えて、いろんな思いや文字を書き込み、或いはいろんな方向に矢印を配置し、時にはぐるぐるの螺旋矢印を埋め込んでは

「熊日新聞広告賞をゲットしたグラフィックデザイナーである俺の右に出るものはいまいフフフ」

と思ってたりしました。
もちろんその資料を発表する前日はドトールコーヒーにICレコーダー持ち込み、ブツブツ読み上げながらリハーサルをして自分のダサさに絶望しつつも「頑張るぞ!」という自分だけは充実した日々を過ごしていたと思います。あの頃の僕にチャンスを与えてくれた社内外の方々には本当に感謝しています。全くの役立たずで本当にすみませんでした。

そして、全然僕の気持ち、僕の資料は相手に伝わりませんでした。
まぁ当時の僕は本当にカミカミのカミカミで下を見ながら資料を棒読みするくらいしかできず、ふと目をあげると相手は違うページを見てるとか、もっとショックなのだと資料じゃなくて窓の外を眺めてるとか、そんなの日常茶飯事でした。

めちゃくちゃ準備して、華の東京へ出張してプレゼンしても、相手は窓の外の東京タワーを眺めている。僕は頭が真っ白になり、同行してくれてた社長もショックだったのか、くそでかいビルを出た後に社長はソッコーで足を挫きました。あれは多分僕のせいです。

「なんて俺は雑魚なんだ。。。」「しかしなぜみんな、資料を読んでくれないんだ(プンプン)」と悩みましたが、要するに相手の心を動かすようなことは何も書いてなかったわけで、当然といえば当然でした。

ただある時、ものすごく簡単な言葉で、短く、
要点をズバッと魅力的に書いている人々の存在に気が付きました。
しかも、最初から最後まで、芯が通っている。ストーリーになっている。

「あー、これな。マジでこれ」

おそらくIQが低いであろう僕の、大きな気づきでした。

人間の脳は、楽をしたがるっていうことを今は知ってますが、当時は知らなかったので結構大きなターニングポイントでした。

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written by RYDEN
戦略とクリエイティブの両面から、
強靭なブランドづくりを支援する
株式会社ライデン
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