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【スペイン】サッカー業界の実態

初めまして、スペインテルセーラ(4部)のAlcobendas Sportというチームでプレーしている宮川類と申します。


今回、私たちエージェント会社c.t.cがnoteを立ち上げたのは、あまりにも世界のサッカー界に関する「情報網」が少なすぎるが故に、日本のサッカー選手がプロ選手アマチュア選手を含めて「挑戦」しづらい環境下に置かれているからです。

これから海外サッカーに挑戦しようとしている人たちが、どのようにして具体的アプローチをしていき、どのようにしてチームとの契約を勝ちとっていくのか、そして這い上がっていくのかをこのnoteを通して吟味していって頂けたらと思います。

その一助となるようなnoteを発信していきます。


今回は、初回ということでまず、スペインのサッカー業界の実態を暴いていこうかなと思います。

プロやセミプロのチーム数がどれだけあって、プロやセミプロになれる可能性が日本と比べてどれくらい高いのか低いのかっていう情報は意外と知られていません。以前、スペインで5年間サッカーをした経験のある僕ですら、わかっているようでわかっていませんでした。一見、それらの情報を知らずともサッカーさえ上手ければ問題ないと思われがちですが、そんなことはありません。サッカーが上手くない選手にもプロやセミプロになる可能性があり、アプローチの仕方次第では、リーガ1部にいくことも可能だからです。しかし、その為にはスペインサッカー業界についてしっかり把握していないといけません。今の時代、情報社会ですから。

上記に載せた「スペインのサッカーリーグ構成」を見ていただければ分かるように、プリメーラ・ディビシオン(スペイン1部)のチーム数が20チーム。セグンダ・ディビシオン(スペイン2部)のチーム数が22チーム。セグンダ・ディビシオンB(スペイン3部)のチーム数が80チーム。テルセーラ・ディビシオン(スペイン4部)のチーム数が360チームです。

これだけの情報では、ああそうなのかって感じで終わってしまいますが、この数字が何を意味するかを知る為に「日本のサッカーリーグ構成」と比較する必要があります。

J1リーグ(日本1部)のチーム数が18チーム。J2リーグ(日本2部)のチーム数が22チーム。J3リーグ(日本3部)のチーム数が17チーム。そしてJFL(日本4部)のチーム数が16チームです。

いかがでしょうか。(笑) この圧倒的な数の差は。イコール確率の差(プロになる確率)の差は。

だいたい3部ぐらいから大幅に差がわかれます。4部なんていったら、スペインの方が日本より約22倍ものチーム数が存在しています。みなさん、知っていましたか?僕は、今回スペインに来るまで知らなかったです。詳しく調べて知ろうともしなかったです。単純に考えて、サッカー大国である「スペイン」でプロサッカー選手になるなんてことは夢のまた夢ですし、トライせずとも無理なものは無理だと決めつけている自分がどこかにいたのかもしれません。

故に、今回夏にセグンダB(3部)やテルセーラ(4部)の何チームかにトライアウトしてみて思うことは、セグンダBはみんなまあまあ上手かったですが、テルセーラなんかいくと360チームあるわけですから、みんながみんなイスコみたいに上手いわけじゃないです。イニエスタみたいにセンスがあるわけじゃないです。

ぶっちゃけ言いますと、ある程度の「技量」と「戦術理解」さえあれば、スペインのテルセーラ(4部)は誰でも攻略できます。もちろん、そこには「運」や「縁」も関わってきますが。それは置いておきます。

これがスペインサッカー業界の実態です。日本の大学サッカーの関東1部や2部のどこどこに属していようが、試合に出ていようが出ていまいが、スペイン人からしたら全くもって関係ないですから。彼らからしたらJ1やJ2にいた選手以外、みんな無名の選手です。もはやJ2すらも無名の類に入るのかもしれません。しかし、逆に言ったら、誰にとってもフラットであり、平等なわけですから。完全な実力社会となります。

テルセーラ(4部)までの攻略方法はこんな感じです。多少下手であっても、監督の目に止まり、輝く「モノ」を持っていれば、チームと契約できます。その輝く「モノ」とは正確にはわからないので言い兼ねますが、僕があえて何かというのであれば、それは「ゴリゴリさ」ですね。前の選手に限らず、ボランチやバックの選手でも「ゴリゴリ」した選手が重宝される。日本でよく勘違いしがちな「守備ができる選手」ではありません。「ミスをしない選手」でもありません。「勝負できる選手」です。仕掛けられる選手です。そこは断言したい。サッカーとは、攻めるスポーツだからです。

セグンダB(3部)までいくと、多少なりとも「コネ」と「知名度」が必要になってきます。コネとは即ちパイプであり、知名度とは即ち履歴です。日本でプロ選手だった人は、代理人や海外にいる友人のツテでトライアウトなりなんなりできますが、そうでない全くの無名の選手がセグンダBにいくとなると数年はかかるでしょう。パイプもなければ履歴(プロの履歴)もないわけですから。しかし、だからといって別に不可能というわけではなく、何故ならスペインは「学歴社会ならぬ経歴社会」であり、何を意味するかというと、1年ごと自分の経歴を更新していくことができるというなんとも素晴らしい社会だからです。例えば、テルセーラ(4部)と契約したとしたら早い話です。活躍して「知名度」を上げれば、すぐにオファーがきます。ビッグクラブの下部組織との試合でゴールを決めたとなるとあっという間です。そんな世界です。しかし、日本はというと、高校だったら3年間、大学だったら4年間、同じチーム・組織に縛られるわけですから困ったものです。経歴を更新できません。全てを終え、サッカー選手としてフリーになるのは大学卒業後の23歳。サッカー選手としての真っ盛りです。まあそこからでももちろん不可能ではないですが。

セグンダ(2部)になると、早い話です。セグンダBで活躍するか、否かです。しかも、活躍といってもテルセーラと違い、注目度も高いわけですから、常にスカウトマンがどこかで見ていると言っても過言ではないですね。ゴールやアシストなど目に見える結果を残せなくとも、「良いプレー」をし続け、目に止まればいいだけの話です。どうでしょうか。

プリメーラ(1部)なんていうのは、もうトントン拍子なので、セグンダまで辿り着けばあとはなんとかなると思います。(笑) そんな簡単な世界じゃないとツッコまれそうですが、僕はそんな世界だと思います。順応していくプロセスが大変であって、流れに乗ればいけるかと。

まあそんなこんなで、言うのは簡単ですので。僕が実験台となって証明していこうなかと。(笑)


【宮川類】元アトレティコマドリード下部組織出身。流経大柏高校を経て、慶應義塾大学に進学。大学2年で休学し、スペインへサッカーで挑戦。育成年代にスペインと日本のいわゆるトップレベルを経験。日本サッカー界の「革命」をすべく、環境の違いなども含めて発信できればと思いc.t.c.と提携。

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