心休まる場所へと帰る旅

帰省ほど、「旅の心配」をしなくて済む旅はない。

検索せずともわかる帰り道。見慣れた風景は、考えずとも記憶の中から道順を引き出してくれて、自然と脚が動く。

定番の食べ物。これは地元で食べるのが一番というものを、外の世界にいる間にひしひしと感じているので、そこの狙いは外さず、ピンポイントで、物足りていなかった胃袋の満足度を満たすよう、目一杯楽しむ。

安心感に包まれた寝床。かつて使っていた、いつもの布団といつもの枕と、そこで暮らしていた時ずっとそうしていたように、豆電球をつけて眠る。

話し慣れた方言。ここで暮らしていた間は方言とさえ気付かなかった言葉たちを今は封印して生活している反動で、なんてことない会話の中で自然に口をついて出てくる訛りが愛おしく感じる。

そこでしか得られない安心感を求めて、また来年も大事な人たちが待つ地元へ帰ろう。