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本『同志少女よ、敵を撃て』/逢坂冬馬

本『同志少女よ、敵を撃て』/逢坂冬馬、読了。

第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞。22/01/17現在、直木賞候補作。早川書房が今、大プッシュしている作品。本作がこの著者のデビュー作であるが、「驚愕のデビュー作」と書店にコピーが並ぶだけのことはある、充実の作品。

第二次世界大戦の独ソ戦、実際に存在したソ連の女性狙撃部隊をモデルとした物語である。

戦争孤児となった少女は「戦いたいか、死にたいか」と問われ、女性狙撃兵を養成する訓練校に入隊する。少女にとっての生と死とは、そして"真の敵とは"何か。

戦争もの、冒険もの、復讐ものであるが同時にシスターフッドの物語でもあり、戦場における女性への暴力に対してのレジスタンス小説でもある。

物語の壮大さ、狙撃シーンの緻密さ、心理描写の細やかさ、いずれも新人離れした筆致であり、すごい作家が出現したと思った。特に最終章の展開は、夢中になって読んだ。

そして胸アツの結末も良かった。あぁ、生き残ったのだと思った。

ストイックな内容ではあるが、読みやすい。長編ではあるが、飽きさせなかった。

この作家の次作を早くも読みたいと思った。


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