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紅茶詩篇『ブロッコリーとツナのパスタ』


 パスタを茹でるお鍋の中に
 一緒に入れて煮込むブロッコリー
 くたくたに茹で上がったところに
 ツナを入れて味付けをする
 母が教えてくれたレシピ
 今日の夕食は誰も居なくて
 私は私一人のために
 ワンプレートのパスタを作る
 寂しくなんかないよ
 美味しい手料理があるから

 パスタを茹でるお鍋の中に
 一緒に入れて茹でるさつまいも
 賽の目に切って火が通った頃に
 パスタとブロッコリーは柔らかくなっている
 母が教えてくれたレシピに少しばかり
 具材を足してさつまいも
 母のかなしげな食卓を見たことがなくて
 私は私一人の心のために
 美味しいものを作っている
 昆布出汁と牛乳に塩とお砂糖
 味を調えているから悲しくなんかない
 私のお料理は私の心にやさしい

 パスタとくたくたに茹でられたブロッコリーとさつまいも
 お味は昆布出汁と塩麹と牛乳で
 パスタがとろとろになった頃合いで
 母のことを思い出す
 教えてもらった数少ないレシピ
 お料理が上手なのに目分量のお母さん
 私は私の身体が喜ぶ塩味が分かる
 それはお母さんの美味しいごはんを食べてきたから
 悲しくなんかないよ
 仕事で草臥れても
 私はお母さんに愛されているから

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