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都市の日常にコンテンポラリーアートを。ワタリウム美術館

「どんな美術館が好きなの?」
「んー、ワタリウム美術館かな」
そんな答えが返って来たら、この人マニアックだな!!と私なら思う。

現代アートにも色々あると私は考えていて、独特ながらもオープンで歩み寄りやすい(東京都現代美術館などは比較的そうだと思う)タイプがあるのに対して、ワタリウムはかなり尖っている。個性が強い。例えるならヴィレッジヴァンガードのような、あれに近い世界観がある。

青山キラー通り。
渋谷駅から旧宮下公園・原宿に向かって公園通りを行った先を、表参道方面へ繋いでいくストリート。この界隈も少し独特だ。飲食店、花屋、スナック、アンティークショップ……多国籍だったり風変わりだったり、≪文化の多様性を許容している≫ような自由さとオープンさ。港区にも程近い場所にありながら圧倒的SHIBUYAカルチャーの匂いがする、不思議な区域。

そんな東京都・青山の通り沿いに、この美術館はある。

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生きている東京展 アイラブアート15

展示室

2020年9月に開館30周年を迎えたワタリウム美術館。その歴史を、スイス人建築家マリオ・ボッタによる建築プロジェクト時点から振り返る。

三角形の敷地に立つ、特徴的な建物が出来上がるまでの道のりを辿れるような数々の図面展示。そこに紛れるようにして、これまでに接点のあるアーティストたちの作品を順に見ることができる。

共通するテーマは「都市の精神性」を捉え、都市の中のアートであること。

ここで言うアートは非日常としての体験や気づきではなく、ごく普通の日常の中にあるものと定義している。

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寺山修司の、屋外で一般人を巻き込んで展開する市街劇。
ファブリス・イベールの、『アートで街をやさい畑にするプロジェクト』。
ナウィン・ラワンチャイクンの、『マイペンライ東京』。

いずれも、都市《東京》に生きる人々の日常に"いかにしてアートを溶け込ませるか"を模索した取り組みが目立った。

そのせいだろうか。
高尚さや難解さではなく、大衆的なスタイルを存分に感じられる展覧会だった。


ミュージアムショップ

2階から4階までの展示を見終えて、1階のミュージアムショップ「オン・サンデーズ」を訪れる。

ミュージアムカフェ

ショップにはカフェスペース「オン・サンデーズカフェ」が併設されているので、鑑賞後にほっと一息つくのにもちょうどいい。

地下1階には併設ギャラリーの「オン・サンデーズ ライトシードギャラリー」があり、こちらの展示もチェックできる。

おわりに

コロナ禍で来客数が減り、一時は危機的状況からクラウドファンディングを実施していた当館。寄付金は瞬時に集まり、この場所の歴史の長さと根強いファンの存在を感じさせた。
この先もここが「美術館のある街」であり続けるように、そんな願いを皆が持っているのだろう。

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ワタリウム美術館
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3丁目7−6
TEL:03-3402-3001
公式ホームページ

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