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芸術はやっぱり爆発だった。岡本太郎記念館

「もっと自由でいいじゃないか。みんなが自分の自画像のような、ユニークな鯉のぼりをつくって上げればいい」

岡本太郎

東京都・表参道。駅から地上へ向かい、渋谷方面に歩いていく。賑やかな青山通りからハイセンスな骨董通りへ。細い道を左折すると雰囲気は様変わりし、閑静な住宅街に入り込む。

この辺りは美術展や画廊も立ち並び、アートが息づいている。近隣には根津美術館もあるし、ヨックモックミュージアムやワタリウム美術館などモダンな美術館が揃っている、心躍るエリアだ。

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「芸術は爆発だ」などの名言で知られ、パリで最先端の芸術運動にも触れてきた岡本太郎の作品は、エキセントリックで前衛的だ。その数々は、彼の自宅兼アトリエで生み出された。没後、岡本太郎記念館として現在の形になっている。

「鯉のぼり、いいねえ。あんな大きな魚が空を泳ぐんだよ。凄いイマジネーションじゃないか。それも、ひとりの芸術家の創作じゃない。普通の民衆がみんなで自然に持っているイメージなんだ。世界中にひろめたいな」

岡本太郎

企画展 暮らしのなかの芸術

展示室

受付を終えて階段を登ると、そこに広がっていたのは圧倒的な岡本ワールド、完成された空間だった。

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訪れた5月、ちょうど鯉のぼりの季節。彼の代表作とも言える、大阪万博の『太陽の塔』のミニチュアもあった。

キャットウォークのような渡り廊下を進んでいくと、もう一つ展示室がある。スケッチから具現化したトランプ、食器、ネクタイ。絵柄や造形、どれも見入ってしまう。ありふれた対象をこれほどまで独自にデフォルメして、さらに別の何かとして表現できるのは本当にすごい。

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階下の小さな入り口を進むと、応接や打ち合わせに使われていたサロンがある。実際に過ごしていた場所がそのまま保存されていて、等身大の岡本太郎にも会える。壁掛け時計とうちわ、とてもかわいかった。

小さい頃に遊んだことのある「こどもの城」のモニュメントもあった。2015年に閉館してしまったけれど、この像の実物は今も青山で見ることができる。

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さらに奥には、アトリエが。
膨大な数のハケ、画材、キャンバス。吹き抜けから今にも岡本太郎が降りてきそうなリアリティがあった。

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ミュージアムショップ

岡本太郎記念館のミュージアムショップは、作品にちなんだグッズが所狭しと並んでいて見ているだけでも楽しい。ポストカード、ステッカー、Tシャツ、トートバッグ、マグネット……日用品としてすぐに使えるラインナップ。「芸術とは生活そのものであり、生きること。」と発言していた岡本太郎へのリスペクトが感じられる。
書籍の数も充実。

カプセルトイも4種類あり、作品のフィギュアやミニタオル、マスキングテープなど素敵なアイテムに思わず目移りする。

ミュージアムカフェ

隣接するミュージアムカフェ「ア・ピース・オブ・ケーク」はチケットを持っていなくても利用できる。鑑賞のあとゆっくり過ごしたいときにはぴったりだ。

一番のメイン商品はパンケーキ。パンケーキ好きには一度ぜひ行ってみてほしい。
フレンチローストコーヒーは苦味のあるコーヒーが好きな方におすすめ。

年間パスポート

特典の付いた年間パスポート「TARO PASSPORT」も購入できる。何度でも展示を見たい、記念館に遊びに来たいと思っているファンには嬉しい。

入館チケットを持っていれば、庭園にも入ることができる。岡本が手がけた彫刻と、鬱蒼と茂る熱帯植物。異世界感に溢れる小さな庭に迷い込んだ私たちを、《太陽の塔》がひそかにじっと眺めている。

《坐ることを拒否する椅子》に座ってのんびりしてみれば、都会の喧騒から逃れて芸術や哲学に思いを馳せられる。

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おわりに

自由で想像力豊か。彼のクリエイティブは生命力に、輝きに、太陽のようなエネルギーに満ちていた。しかしそれは彼にしかないものではなく、誰もが持ちうるものなのかもしれない。

“TARO”の芸術——それは21世紀を迎えて、現代社会に生きる私たちにも活力を与えてくれる。

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岡本太郎記念館
〒107-0062 東京都港区南青山6丁目1−19
TEL:03-3406-0801
公式ホームページ

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