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亡くなった祖母の話

 つい最近、小説書写を始めるにあたり、実家に残っていた使わない原稿用紙をもらった。そのついでと、真っ新のノートやレポート用紙の小さな山も貰い受けた。全て亡くなった祖母が残したものである。

 今朝、その中身をバラバラとめくっていたところ、縦書きのノートの後ろに1,2ページ書き込みがあることに気がついた。

 祖母が亡くなった年の正月の書き込みであった。

 数年前に亡くなった私の祖母は、現役時代国語教師だった。定年後も地元の神話を語り継ぐ語り部として活動したり、俳句を毎月寄稿したり、あちこちの会の会長を務めて毎日忙しく走り回るようなパワフルな女性であった。

 そんなパワフルな祖母も最後の3,4年は大病を患い、みるみるうちにしぼんでいった。それと同時に認知症も進行し、最後は私や家族と会っても、いったい誰なのかもわからない有様であった。

 まぁそんなことなので、祖母が亡くなる年の文章が残っていることに大変驚いた。

 ということで読んでみた。達筆で読むのに苦労した。生涯を振り返るとともに戦争の悲しみが書き綴られており、最後にこう書いてあった。


一生懸命 生きたい 誠実に、


 父も仕事で文章を書く人なので、私がnoteを書いているのももしかしたら代々そういう血なのかもなとか、

私も誠実に生きたいと思っているけどこれも遺伝かなとか、

文章を書く人は本当に最後まで書くんだなとか、ぐるぐる考えた。

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