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文学作品は避けてきたが...

 一ヶ月ほど前、ツイッターでウィリアム・トレヴァーの「ラスト・ストーリーズ」を絶賛している連続ツイートを見かけました。そこにあった紹介文は私好みの内容ばかりでした。
 エンターテイメントな本しか楽しめないんだと思っていた私ですが、俄然、興味を持ちました。

 実際に本屋で現物を手に持って見ました。綺麗な装丁で高級感があります。ストライプとはいえ、全面金箔押しです。初版限定らしいです。お値段も高いですね。今までの読書歴からすると少々気後れしてしまいます。
 でも興味深いです。思いきって買いました。

感想

 読んでいて心地良い文章が静かに、静かに続きます。特別気取った表現もなく、気の利いたセリフや教訓めいたセリフも出てきません。難解な文章とか、お高くとまった文章とかも感じさせません。
 ところが退屈だとも言えないんです。なんと伝えれば良いのか...

 文章を読むこと自体を楽しむ。穏やかな時間を過ごす。そんな感じです。

 良い作品だと思います。あちこちのレビューを見ても高評価が圧倒的に多いんですね。私にとっては高額な書籍でしたが、買って良かったと思います。

 でもなんでしょうかね? 私は本当にこの本を楽しめたのか? 自信がありません。皆さんの高評価に釣られてそう感じているだけなのか。それとも心の底からそう思えているのか。
 エンターテイメント作品で楽しんでいる時の面白さとはなんか違う。 

◇ ◇ ◇

文学の読み方

 そんなモヤモヤした状態をスッキリさせてくれたマンガが、グッドタイミングで note に公開されました。


その点 文学って
トリックも伏線も
何もなくて
書いてある文章を
ただ読んでいるだけで
おもしろいから
楽なんですよね

 上のセリフが私の頭の中では「文学はトリックや伏線を楽しむのではなく、そこにある文章自体を楽しむんだ」と、そんな感じに変換されております。

 そうなんですよ。これだ、コレ!
 エンターテイメント作品を読むイメージのまま、常にどこが伏線なんだろなんて考えながら読んだり、トリックなんて期待するものなら「なんだ、つまらん!」の感想しか得られません。

 文学はただ読んでいるだけでいいんだ!と私も思いました。

 ひょっとして自分は文学もイケるのではないか? と思うこともないのですが、でも、それはないな :-p
 きっと、ウィリアム・トレヴァーは例外なのかもしれません。他のトレヴァー作品にも興味を持ってしまいました。

 しかし、ちょっと待て。もしかしたら翻訳が素晴らしかったのかもしれない。翻訳者が変わったらどうなんだ? そもそも英語はどんな感じなのか?

原作に手を出す

 しかしこの日本語翻訳、優しい文章ですね。原作の英語はどんな感じなんでしょう。多分、この小説なら英語でも読めるのではないだろうか? と思い、Amazon でチェックしました。

 Kindel ならデジタルでありました。しかも安い! 試し読みで一章が読めます。難しくない。思わず買っちゃいました。

 やはり、他のウィリアム・トレヴァー本も買う予感がしてきました。もちろん、翻訳本高いから Kindel です。でも翻訳本も欲しいな。だからお金も欲しいな。

 なんだか新たなジャンルが開けた気がします。文学作品を避ける必要はないみたいです。嬉しいです。
 「ラスト・ストーリー」は大切にします。初版本を買えて良かった!

続く