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「最愛(第7話)」15年前のことを追ううちに現在に殺されるという悲劇。田中みな実の女優としての行く末?

今回は、田中みな実のモノローグから始まり、彼女の死で終わる。彼女は、15年前の悲劇から逃れられないままに、時代に引き摺られ、吉高由里子を追い続けることで、知らなくては良いことを知って、殺されたというストーリー。及川光博がやった不正が、彼女を死に追いやったわけだが、これがドラマ全体の本質を描くためのフックな気はするが、それだけでもない気がする。だが、後3回くらいで収束するこのドラマの最後の展開へのブリッジ回であることは確かなようだ。

そう、今回は田中が何を追っていたのかは明確になった。そして、吉高の会社の不正を田中が掴んで、及川は握り潰そうとさせたが、雑誌社から受け入れられなかったことで、田中が死に至ったのだろう。そこは、酒向芳の死とは近くて遠いところにある気もする。田中が酒向を殺したのか?とも思えるが、真実はまだ開示されていない。そう、謎が膨らんだだけ。

そんな、田中の悲劇の一方で、松下洸平は捜査から外され、吉高とまた近づくという設定。そして、弟の生活も未来が見えるものになる。彼が、吉高の開発している薬の治験者になることも、幸せな未来への伏線なのか?いや、そんな単純でもないだろう。今回のこの三人の描かれ方は、嵐の前の静けさみたいに感じるし、だからこそ、スリリング。

そんな中で、今回は田中みな実の最後の演技だったのだろう。私的に見れば、やはりこの人は役者の素養はないように思える。表情の変化が足りないのだ。とても一生懸命にやっている感じはわかるが、役にシンクロできていないように感じる。役としては、社会の悪を追うと同時に、自分の怨念も晴らしたいというところなのだと思う。だが、その怨念の部分が、表しきれていない。最後に吉高と対峙するところは、役者としてためされるようなシーンな気がしたが、田中みな実がそれ以外の人には見えなかった。まあ、これを乗り切ったら、役者として大きくなれるようなシーンだったのかもしれないが、まあ、そういう事はない気がする。やはり、アナウンサーは声の仕事なのだろうと思ったりするのである。

そして、ドラマは15年前の事件と、今の当事者を結んで、何を暴き出すのか?松下が現場を離れることで、彼自身はもっと深淵に触れられるようになるのであろう。吉高自体は、周辺で起きたことに振り回されているだけに見えるし、まあ、ここからが脚本、演出のお手並み拝見というところですね。

そして、「最愛」というタイトルが光るようなラストを期待したいものであります。

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