「病院の治し方」経営側面から病院を描く興味深さ

テレビ東京の月曜10時枠の「ドラマbiz」は、最初の「ヘッド・ハンター」から見続けている。恋愛もの、医療もの、刑事もの、で8割は締めるであろう今のテレビのゴールデンタイムのドラマ枠でビジネスを扱うという視点のみで作り続けられるこの枠は、異端でいて、結構、身にしみる話も多く、面白く見ることができるからだ。

2020年、最初のクールの舞台は病院。他局でも4つのドラマが病院を舞台にしている中で、医療が主役ではなく、その立て直しが主軸であるというのはとても面白い。そして、このドラマのモデルはスピードスケートの小平奈緒選手が所属していることでも知られる相澤病院。脚本は山本むつみ氏ということで、まずは興味をそそられた。

とはいえ、主役が小泉孝太郎と見たときに、ちょっと不安であったが、昨日放送された二回目まで見る限りは、これもなかなか良い。どちらかというと、ドラマのヒール役的なものが多かった彼であるが、結構、堂々と主役をやっている。まあ、彼が医者らしくない部分が、モデルのスーパーマン的な男にちょうどいいのかもしれない。

自分の父親の死に対峙し、その病院の再生をしたいと思う息子(小泉孝太郎)、そして、その病院案件に絡んだことから、一緒に病院を再生することになる(高嶋政伸)の、ビジネス書を繰るような事業再生指南ドラマと言ってもいい。一回目では、文房具や機材などの経費削減を、そして二回目では、人件費の見直しという厄介な案件を片付けていく。普通のビジネスドラマと違うのは、プライド高い医者が相手にこれをやっていくということだ。ドラマで敵対する医者たちは、皆、紋切型の演技で特に記することはないが、まあ、テレビドラマとしてわかりやすく、一回一回問題が解決されていくことはわかりやすい。

二回目の最後に救急の様子が出てくるのは、これがこの病院の特色になっていくからだろう。まあ、テレビドラマは、少し先がネタバレしているくらいが面白いと思う。

昨今のテレビドラマには、中身がないとは一般的によく聞く話である。見た後の充実感があまりないものが多いのは事実である。そんな中で他ではやっていない題材を見つけることは大事である。こういう題材は、NHKなら可能だが、民放がなかなか手が出せない領域だったわけである。テレビ東京はバックに日経新聞があるということで、こういう枠を作っているのだろうが(多分、「ガイヤの夜明け」や「カンブリア宮殿」の延長線上にある)そういうチャンネルとしての方向性や色は重要だし、見るに値するドラマに仕上げていることは評価に値する。

世の中は、30年来の不景気から抜ける感じがしない。だからこそ、この時間帯の再生話は結構見ると元気が出るのだ。気持ちが後ろ向きになると、どんどん悪い迷路に入っていくのがビジネスなのだ。しかし、ビジネス再生書など読んでも、最後に役に立つのは個々人の直感である。不景気な頭にはネガティブなものしか浮かばなくなる。体質改善は頭からやるべきである。

そういう意味でも、このドラマの小泉孝太郎が、自分の直感ではったりも含めた上で、目標を持って動いていることはかなり重要なことだ。案件を次々に成功に導くことが会社や個人の肥やしになり、また、違う直感をもたらす。そして、それが世の中の「運」と呼ばれるものに繋がると私は自己の経験からもそう思う。

途中から見ても、面白いドラマだと思います。まあ、紋切型だ、出来過ぎだというご批判はあると思いますが、印象的なスターが出ていなかったり、美女が出ていなかったりする分、肩を抜いて見られる佳作には仕上がっているとは思いました。


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