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「コンフィデンスマンJP プリンセス編」いい話ですね。と日本的人情話に納得してしまった。

夏のお盆の始まりの三連休。シネコンは久々に賑わっていたが、ハリウッドの大作がない夏休み映画状況である。今週から「ドラえもん」が始まり、それとTV繋がり二本が営業的に主力なのだろうが、席数半分状況では上映回数を増やす状態で、いいのか悪いのか?TV繋がりの「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の入りは席数半分で6割程度、なかなか厳しい興行と言っていいと思う。

その映画は、一言「いい話だった。」という満足感であった。当初はお盆映画というよりGW狙いだった作品だと思う。いろいろ当て外れが多いのだろうが、作品の質はどんどん高まっているのはいいこと。おなじみのキャラが走り回るのが面白いのと、全ての流れが全てのセリフが嘘か本当か疑う客相手だから大変である。

そして、主演のダー子役の長澤まさみは「MOTHER」に続いての母親役?まあ、こっちの明るいまさみちゃんの方が断然いいですけどね。

舞台はシンガポール。今回は財閥の跡取り問題。誰も行方を知らない末娘に財産相続という遺書が残され、それを大きなお魚!ということでダー子が突っ込んでいく。行きずりの、まともに話すこともできないコックリと呼ばれる娘(関水渚)をその末娘に仕立て、財産をせしめようとの大作戦。

おなじみのキャラクター、赤星やジェシー、スターなどもうまく巻き込みながら、話が展開していく。脚本に緩みのない124分。観ている方も、騙されまいとするので緊張感が走る。まあ、最初から騙されるつもりで緩く観ていてもいろいろ気になって落ち着かない映画である。

今回はボクちゃん役の東出昌大の不倫話や、ジェシー役の三浦春馬の突然の死という現実もありながら、(作品を撮ったのはその遥か前だろうが)作品の出来はすこぶる良い。撮影は昨年だろうから、今ならできないと思うとすごい貴重な映画という感じもする。

今や、オールスター映画と言ったら、フジテレビだし、ある意味、裏切らない作品を作るようになったのも大したものだと思う。「南極物語」は本当にひどい映画だったものね。

何よりも、プリンセス役の関水渚がとても良い。乞食のような姿から、最後はプリンセスの姿に、日本映画が下手くそなこのシンデレラ的変身演技を見事に段階踏んでできている。メイクのうまさもあるのだろうが、育ちの悪い娘が最後はプリンセスの所作で長澤と別れるところを観て涙がこぼれた人もいたであろうと思う。この娘がいたから全てがまとまったといっても良い映画である。この娘のデビュー作「町田くんの世界」を私は観ていないので、チェックしなければと思わせた。

そして、デヴィ夫人のエピソードや、滝藤賢一のホテル支配人など、余計なゲスト的なキャラが浮いていないで、うまく溶け込んでいるのもよくできている。フジテレビの映画自体、こういう使い方がうまくなったとも言える。テレビ局が築いてきた、新たな映画の形が成就しているとでもいうのだろうか?その時に本家のTVが危険な状況とは皮肉なものではある。

最後に、ダー子がシンガポール観光してなかったというが、確かにそういうシーンがほとんどない。余計にそっちの観光映画的なものがない分映画としてのまとまりがあったということだろう。

あと久しぶりのビビアン・スー。少し貫禄ついた感じだが、45歳の彼女は若いままという感じ。ちょっと意地悪な役はもらい役でもあったかもしれない。

クレジットタイトルの後に何があるかと思えば、つかこうへい的世界。これ何?いらないでしょう。蛇足ですよね。次回の予告?いろいろ考えてしまう。本編のオチである「ロマンス編」の香港に戻して、話をつなげたところをクレジット後に持ってきた方が収まりは良いと思うのですけどね。

とにかく、このシリーズ、これで終わりはもったいない感じですね。真実と嘘が見分けのつかない今日この頃、もう1、2本はこのシリーズ作ってもいいのではないでしょうか?


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