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ドラマ「映像研には手を出すな!」原作の勢いに任せて、作られた異空間。

原作とアニメは、傑作と呼んでいい面白さだった。それを実写化するというと、大昔の「月曜ドラマランド」か?とか思ってしまうが、映画版まで作る設定の実写化は、なかなかスピード感も、原作の妄想感もちゃんと封じ込めて、完成されていた。今までのテレビドラマにはないものが作られていることが大事である。

監督は、英勉。この間、公開された「前田建設ファンタジー営業部」もなかなかの出来だったが、これも、映画版まで期待はできる。

基本的には、原作の面白さをどこまで出せるかということなのだと思う。最初に、人の物量で、芝浜高校の異次元空間を明確にしているのはいい。これだけ、エキストラ使ったら、結構な手間がかかるが、CG抜きにこれだけ若者を絡ませてモブシーン作っているのは好感!

追いかけのアクションなどは、元々、そんなシャープな絵ではないので、ちょっとガタガタしているくらいがいいのである。スローを多用することなく、うまく編集している。

そして、この話の妄想で、アニメに入り込むシーンであるが、チョークで書いたような線を被せながら、ちゃんとできているのである。ここも、絶対的に全てがクールでなくても言い訳である。実写の中で、原作ファンをスムーズにシンクロさせることには成功していると思われる。

ただ、全体に音の使い方が、平板な気がする。後々、音響の話が出てくると、この辺は物足りなくなる気がするのだが…。映画版には、この辺りは期待する。

そして、主役の乃木坂46の三人であるが、アニメのあの、特徴的な声を聞いた後では、やはり物足りないところはある。まあ、水崎ツバメは読者モデルであるので、山下美月は適役と言えるかもしれないが…。目を飛び出させるような演技は好きであった。浅草みどりを演じる齋藤飛鳥だが、やはりアニメの伊藤沙莉の声になれてしまった後では、ちょっと可愛すぎるのはある。だが、これはこれで、ある違う方向から考えた浅草みどりが出来上がっている気もする。ただ、細かいセリフをいう滑舌がイマイチでわかりにくい部分がある。これは、先に書いた、音響の話と同時になんとかして欲しい。そして、金森さやか演じる梅澤美波も、アクがないのが難である。少し可愛らしすぎるのである。もう少し醒めた演技が欲しい。とはいえ、アニメのようなキャラを演じられる若い女子はそうはいないよねと思うので、妥協するしかないかというところ。

とりあえず、初回を見た限り、この作品は成功の域に達している。今の技術なら、このくらいのものは、それなりの予算でできるというのも証明している気がする。この題材、きっとハリウッドに持っていってもウケるであろう。(ただ、ハリウッドで作るとディズニーみたいになって、この原作の味は消えてしまうとは思うが…。)そのくらい原作のオリジナリティは圧巻である。

映画版の公開は、今の状況で、早くても夏というところだとは思うが、とにかく、その終着点まで、この実写版、楽しませてもらえる気がした初回であった。まずは安心!

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