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2021年新作テレビドラマ放浪記

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2021年のテレビドラマの感想記録です。
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#鈴木亮平

「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第11話)」医者も政治家も、仕事は国民の命を守ること

なかなか、気持ち良い終わり方ではあった。それだけに、先週の鈴木亮平の妹、佐藤栞里が亡くなるシチュエーションは、なかなかキツい。多分、そのこともあって、賀来賢人は、MER側に着き、そのことで、厚生労働大臣の渡辺真起子の心を動かし、そのモヤモヤを都知事の石田ゆり子に誘導され、国としてMERを支持する側につかせる。こんな、ファインプレーのような政治の動きは、実際にはまずないだろう。ここは日本だ。もはや、利権が先にたつ国だからだ。つまり、そこを逆手にとって理想を語るドラマだから、多少

「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第10話)」テロリストをあくまでも残忍に描き切る先に語られることは何なのか?

来週が最終回。あまりにも残忍な最後だった。MERが勤めた現場での最初の死者が鈴木亮平演じる喜多見の妹だったとは。そして、テロリストの城田優からは冷たい返礼。もはや、ここでの城田演じるツバキは人間ではない。そう描くことでドラマがリアリスティックになるという構図。しかし、ここで鈴木の医療への思いは断たれてしまうのだろうか?それであったら、MERというものをここまで描き続けた意味はないだろう。 先週までは、一緒に働くMERのメンバーたちが、鈴木のスーパーマンぶりに感化され、自分の

「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第9話)」人の過去でレッテルを貼るということが、いまだにドラマになるという虚しさ

このドラマは、総じて言えば、医療ドラマではなく、政治ドラマだということなのだろう。人の命を守る組織を作ること、そしてその組織が活躍することは政治的な力をしめすということだ。ここの都知事である石田ゆり子は、自分の命と引き換えに置き土産を残したかったということなのだろう。 そういう、ある面から見たらスタンドプレーは、敵にしたら「潰すしかない」。私たち国民は、昨今、常にこういう、自分の生活には関係ない戦争の結果として苦渋しか味わっていない気がする。だから、ドラマくらいは、そこのと

「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第8話)」人の命を守る信念と、世の中の道理に従うこと

鈴木亮平の過去が自分の口から離される。海外でテロリストの城田優の命を助けたために、テロリストの一味と誤解され、投獄されたという話。ただ、彼がテロリストだという証人もいない中で、政治的に解放され、そのままMERを任されたというもの。そこには、都知事の石田ゆり子の思惑もある。そして、彼女がMERを作った理由は今回のドラマ内では視聴者には開示されなかった。しかし、思ったよりも重い感じの秘密ではなかった。そして、それを公安が調べられないというのは何かおかしい。その辺の内情を私もよくわ

「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第7話)」新章開始で、日本の本質の劣化を描こうというのだろうか?

ラスト、新たなる人物として城田優が出てくる。彼が何者なのか?テロリスト?その向こうにある現在の日本への危機感の提示?今回を見ることで、ドラマのニュアンスが少し変わりつつあるのはわかる。 今回から出てきた公安の稲森いずみは、ビザなしで不法な就業をする外人の命など護る必要はないとはっきり言いのける。実際の日本でも、ホームレスの命を必要ないと言う人がいて問題になっているが、なんか心の中でシンクロするものがあった。「命」とは何か?それは、人種や貧富の差で分けられていいのか?実際の日

「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第6話)」チームがチームであることで奇跡は起こせる

今回のTOKYO MERはチーフがいなければ動けないという過程のもとに、起こったような事案対応。小学生11人が山で遭難。チームは、三班に別れて行動することになる。ドラマ自体が、ロールプレイングゲームのように動いていく感じで面白かった。 そして、部下たちは、いつの間にか、人の命を救うことを諦めないチームになっていたということを結果として示す。スーパーマンが周囲をもスーパーマンにしていたという話だ。 まず、冒頭で渡辺真起子と鶴見辰吾の悪巧みの現場から始まり、賀来賢人が、皆をバ

「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第5話)」利権と比較される命。澱んだ心が命を軽くする

今回の舞台は病院のエレベーター。車の出動はなく、病院の中で起こる救命事項。しかし、タイムリミットが厳しく、胎児の命が危ないという状態。そんな危機的状況の中で、仮病の政治家が自分の命しか考えていないという現状の日本の縮図を見せられるような状況。このわがままな自己保身しか考えない政治家を桂文珍が好演。というか、この使えない男という役をいやらしく演じていた。彼が騒いで、エレベーターの紐が切れるというのは、政治家が騒げば騒ぐほど国家の命づなが切れていくという皮肉のようにも感じた。

「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第4話)」パラレルで動く救命と、医者としても葛藤と命への想い

ラスト、敵であるはずの賀来賢人が眠っている鈴木亮平に握り拳を差し出す。ある意味、徐々に、賀来は鈴木をリスペクトし出している構図だ。どこで、賀来が鈴木側に着くのかは興味深いところ。 今回はトンネル崩落現場の救出と心臓移植手術がシンクロしてしまうという状況。崩落現場の救出と、そこからの移植心臓の救出と、移植患者の命と、優先順位がわからなくなるような中で、全てを救おうとするスーパーマンの物語である。まあ、エキサイティングな1時間だった。 そして、今回は仲里依紗の医者としての演技

「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第3話)」事件は会議室で起きているのではなく現場で起きている!ということですね!

今回は、居酒屋に立て込もった銃撃犯との格闘!こうなると、医療ドラマというよりは刑事ドラマだが、視点を「人の命」というところに置き換えたところで、なかなか目が離せない展開に。このドラマ、1時間の中での必死の対応の中に視聴者が放り込まれる感じが心地よい、というか、終わった後に「見たな」という満足感につながる感じが良いのだろう。今回なら、ラストの警察の敬礼シーンに、一緒に敬礼する視聴者が見えるような感じである。 そして、今回の主役は、菜々緒。もはや、こういう役ができるのだ、と思わ

「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第2話)」研修医のやる気とプロの洗礼と人の喜びと

ラスト、仲里依紗が鈴木亮平の元妻だったという事実はなかなか衝撃だった。次週見ないわけにはいかない状況を作るうまさ。そして、早々と鈴木のやったことがドラマ上でバレてくるというのなら、その先で官僚たちが何を行うのか?なかなかそこが深い構成には見える。 ドラマは今日も2つの事故現場で見事な救助活動を見せる。しかし、こういうチームの話で、最初からここまでチームワークを見せる部隊という設定はなかなか珍しい。その中で最も浮いていた研修医の中条あやみが今日の主役。無謀で的確な鈴木のやり方

「TOKYO MER~走る緊急救命室~」日曜劇場的なエキサイティングな医療ドラマの登場

今期の医療ドラマ2つ目。先出しのCX「ナイトドクター」のへっぽこ医師物語に対して、こちらはスーパー医師物語である。見ている者としては、この非日常的なスーパーストーリーの方が面白い。日曜劇場的な派手なシチュエーションと音楽で、一回めは2度のクライマックスを見せてくれた。黒岩勉の脚本は、その見せ方を心得ている。 まずは、最初の事故現場で、全てのスタッフのキャラをしっかり見せている。鈴木亮平の異次元な対応に、集められたスタッフが驚くとともに、対応しようとギアをトップに上げていく様

「レンアイ漫画家」疑似恋愛からリアルな愛が生まれ、仕掛けた人間が惚れる話だよね。

山崎紗也夏 原作の漫画「レンアイ漫画家」のドラマ家。漫画のような漫画の話。それなりに面白そうなラブコメには仕上がりそうな感じはした。 鈴木亮平と吉岡里帆という組み合わせも結構新鮮だった。最近の日本のドラマは、同じようなメンバーを取っ替え引っ替えで作る感じがするので、新しい雰囲気はそれで面白みがある。 少しいかつい感じの漫画家役の鈴木は、漫画家としては男性ということは隠して仕事をしている。まあ、最近では、「鬼滅の刃」の作者が女性だったという驚きのニュースもあったから、一昔前