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2021年新作テレビドラマ放浪記

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2021年のテレビドラマの感想記録です。
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2021年4月の記事一覧

「恋はDeepに(第3話)」ヘンテコなライトノベル的な流れに視聴者はどうついていけばいいのか?

確かに、前回からそうなのか?とは思ったが、完全に石原さとみは人間ではないようだ。今回は、流れ的には視聴者にそれを、完全にわからせようとしていた。海藻しか食べない、家族はいない、健康診断は受けない、履歴はない。それを勘繰る研究員もいて、興味はまずそっちの方に流れる。と思ったら、「流れてくるものに、みんなで一緒に乗っていくのが好きです」と本人に吐露までさせてしまった。そして、次回予告では「私、人間じゃないの」とはっきり言わせたりしてますね。しかし、体温が低いというのは、今のパンデ

「着飾る恋には理由があって EPISODE:2」今という時代から未来を見つめるドラマ

時代の変わり目を感じさせるドラマだ。原宿、渋谷を舞台の中心にした恋愛ドラマにしては、結構、若者の心の機微がちゃんと描かれていたりする(昔のトレンディードラマみたいなうわついた感がない)。いや、そういうものを描こうとしているのだろう。 田舎から出てきた、川口春奈の仕事に対する一生懸命さがなかなか刺さる。こういう一生懸命さは、時代とは関係ないとは思う。だが、昭和の時代に比べたら、今は着地点が見えない世界。そんな中で、会社のためにSNSをあげるという行為はなかなか辛いかもしれない

「大豆田とわ子と三人の元夫(第3話)」器の小さい男は、結局使いやすいということ?

このドラマ、一回、一回は、とても面白い。それは否定しない。そして、おしゃれでないことをおしゃれに見せるような感じは大好きだ。でも、この恋愛ドラマの落とし所は、どこにあるのか、回が進むごとに謎めいてくる。そういうのは、最近の坂元裕二脚本のうまさなのかもしれない。 そして、松たか子という女優は、他の女優とは絶対的に違う味を持っているということを再確認したりする。基本、お嬢様な方なので、貧乏な役をやらせると、今ひとつフィットしないのは昔からだが、このドラマのように、「社長」という

「珈琲いかがでしょう(第4話)」珈琲の香りと青山の生き方が近づいてくる。

4回目になって、主人公の青山(中村倫也)の過去の顔がだんだんと曝け出されてきた。この辺のドラマの導き方は、荻上直子の脚本はなかなかうまい。だいたいこのドラマ、1時間に二本の話を仕込むという変則な感じなのだが、そこがうまく流れているのも脚本のうまさだろう。 今日の最初の話は、コーヒー断ちした、野間口徹が現実に向き合えるまでのお話。妻の死を受け入れられなかったというオチは、なかなか沁みる話であり、珈琲とはそんな当たり前の日常にある飲み物だという話である。そこに、青山の過去を知る

「ドラゴン桜」阿部寛の存在感の迫力に生徒たちがどこまでついていかれるか?

東大合格まで今度はどう持っていくかという興味を視聴者に思わせながら、始まった久しぶりのこのドラマ。前作が2005年放送だから、16年ぶりの続編だ。まずは、阿部寛扮する桜木建二の現在、そして復活へのアプローチの初回というところか?最後は、阿部寛のワンマンショーみたいで、好調なスタートといったところだろう。 最近は、こういう暴走族シーンはなかなか描かれないので、それはそれで気持ちよかった。ただ、不良の描き方は昔から変わらないと思ったりもしたが、裏ではジャニーズの高橋海人が手引き

「コントが始まる(第2話)」小気味良い脚本は、2021年を代表する青春ドラマを創る

今期のドラマではダントツに面白い。オリジナルでここまで小気味良いドラマを久々に見ている感じがする。第2話は自殺をテーマにした「屋上」というコントを交えての3人の友情譜。 まずは、この3人のチームワークが本当によく見えることがこのドラマの成功の最高の要因であろう。これ以上ないというキャスティングは、彼らが築いてきたキャリアもあって、脚本家が望んでいた以上の有機性を見せているのだと思う。 今日の話は、マクベス結成の時の話であり、そこに仲野大賀の恋話や、神木隆之介の自殺話が絡ん

「生きるとか死ぬとか父親とか(第3話)」美容ビジネスに男も女もなく、気分の問題なのでは?

今回は、ラジオの相談コーナーの、スキンヘッドの夫が突然、かつらを被ってきたという話から始まる。そしてドラマは、父親の國村隼から、身体がかゆいという電話。食物アレルギーではないかという父だったが、結果は乾燥肌。その上、父は少し前に食物アレルギーの検査をしていたというオチ。ここは、父親の物忘れも描いているのだが、そこで、場が悪そうになった父は、「顔のしみをとってくれ」と言い出す。そこで、娘は、「このじいさんが、何を考えてるんだ!」と思ってしまう。そう、「男の美容は無駄」という、世

「恋はDeepに(第2話)」石原さとみの可愛さにドラマの中身がついていけない

ラストにYouTuberが、初回のラストに戻すというのは、ドラマの作りとしてはかなり変な感じがした。確かに初回の最後にビデオを撮るシーンはあったが、その話をここの最後につなげるのは流れとしては変だ。なんか、こういう辻褄合わせ的なものでくっついているシーンがいくつかあり、脚本がよく練られていないのが見え隠れする。こういうのが目立つと、ドラマのダイナミックさがなくなっていく感じである。まあ、スタッフは時間と格闘しているのかもしれないけどね。 そんな中で出来上がったドラマは、明ら

「着飾る恋には理由があって」シェアハウス、インフルエンサー、そんな現代のアイコンを使って、どんな新しいドラマが作れるか?

タイトルからは、フランス映画風のものを作りたいのかな?と思ったりもする。主人公はSNSを使いこなし、フォロワーの数を気にしながら生きるインフルエンサー。決してそれで多くの金を稼いでいるわけではなく、それだからこそシェアハウスに住むことになる。 そこに住む、他の3人も今風な感じはする。(見る人によれば、昔と同じと見るかもしれないが、今はこういう時代なのだ) まずは、主演の川口春奈。大河ドラマを終えて、一つ株が上がった感じだが、芝居に少し余裕ができてきた感じには見えた。ただ、

「ガールガンレディ(第3話)」仲間を護ることも戦闘の一つという思想

たかが、プラモデルのガンでのサバイバルゲームの話なのだが、パラレルワールドで3回撃たれると、本当にリアルな社会からいなくなるという話。子供騙し的な発想の中でも、ちゃんと戦闘の哲学を埋め込んでくる。ガールズアクションで、こういうものを作れる時代なのだなと感心したりする。 3話目は、前回死んだメンバーの代わりに生徒会長の石井杏奈が加わる。そして、彼女は白石聖にプラモデルの作り方を教えた友人であったという事実がわかる。そして、指揮を取るビアンカ(寺本莉緒)を無視して勝手に指揮をと

「大豆田とわ子と三人の元夫(第2話)」日常の中の会話の洪水の果てに、すき焼きの肉を買い忘れるドラマ

観ている方が、会話の中身を聴き逃さないぞという感じで、じっくり観てしまうドラマである。そう、初回はそれが少しイライラにもなっていたが、2回目まで観ると癖になっている。坂元裕二の脚本の筆の走りが視聴者に伝搬してくるような感じ。それだけでも傑作なのかもしれない。 そんな、慌ただしいドラマの最後は、今日も三人の元夫と新しい女たちの対峙シーンで終わる。ある意味、大豆田とわ子に喋りたいだけ喋らせた後で、日常に戻るような感じでドラマを収束に向かわせ、ラストに、ヒロインにタイトルを言わせ

「珈琲いかがでしょう(第3話)」中村倫也の過去が見えてきて、先が見えなくなってくる

3話は監督も荻上直子氏。荻上ワールドは、どちらかといえば、日常をまったり描くイメージだが、今回の最後は中村倫也の過去が見えてきて、反社会勢力が絡んでいる感じ。そういうのを荻上監督がどう料理するのかはかなり興味がある。彼女がヤクザ映画とか作ったら、それはそれで面白そうだ。 今日の二つの話は特に繋がっていない。前半の戸次重幸、演じる、今更ヨン様気取りの男の話は、少し古臭い感じはした。私も、こういう蘊蓄振り回して、他人の欠点をついて喜ぶような男は願い下げである。組織の中にいたら、

「イチケイのカラス(第3話)」小日向文世という役者の振れ幅の魅力

第3話は、部長である、小日向文世が以前、関係した人間(岡田義徳)が殺人犯として再び法廷に送られてくる。小日向は、岡田の人間を知っているだけに納得がいかず、(自分の保身も見え隠れするが…)法廷で職権発動する前に捜査を始める。結果、岡田が、愛する娘を護るために、嘘をついて身代わりになっていたという話。そう、こういうドラマは冤罪をひっくり返す話がほとんどであるが、ここでは、わざと罪を被ってきた男を見破るという話だ。ある意味、新しさを感じた。 そして、今回の主役は竹野内豊というより

「ネメシス(第2話)」物語の全体を作ろうとするあまり、個々の事件解決が甘い感じがするのが難点。

第2話は振り込め詐欺の話である。そして、新しいキャラクターとして、上田竜也扮する、駅弁好きの道具屋が出てくる。毎回、櫻井と広瀬の周辺に仲間が増えていく感じは面白い設定。前回のスピード狂の大島優子も出てきたが、やらせる芝居が同じなのは、少しネリが足りない感じ。 そう、ドラマ全体に言って、「もう少し考えたら?」という部分を多々感じる。いわゆる探偵ものにしては、1話1話の事件に対する捜査のコクがないのだ。全ての結果は、広瀬がインドで会得したであろう、透視的な技によるものであり、ド