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2021年新作テレビドラマ放浪記

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2021年のテレビドラマの感想記録です。
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2021年2月の記事一覧

「その女、ジルバ(第8話)」幸せの波が向かってくる時の逃げたい気持ち、受け止める覚悟。

なかなか毎回、濃い内容である、が、それほど新しい題材がドラマの中で示されるわけではない。でも、一人一人が幸せと孤独の中でもがいている感じがとても適格に描かれていることがこのドラマが秀逸なところである。そして、その後ろに演者の人生も見えてくるところだ。 今回は池脇が、オールド・ジャック&ローズの専属になる話と江口のりこの妊娠から結婚式に至る話。そして、そんな幸せの中で草笛光子が倒れるという、ラストに向かう展開が描かれた。 施設で育って、幸せというものに乏しかった江口が、恋に

「俺の家の話(第六話)」歌でまとめて、家族旅行は大成功?

連続ドラマにあって、旅行の回というのは、常に楽しい。多分、書いている側も楽しいのだろう。舞台は「スパリゾートハワイアン」西田が、そこに入る時に「蒼井優はいるか?」とテンションが上がるのもわかる。 というか、その前に、西田は、昔の女を訪ね歩くためにここまできたらしいというサイドストーリーが結構大事なところなのだろうが、その辺はくどくなく、ただただ流す感じがまた宮藤流なのかもしれない。もう少し、田中みな実のところで面白くして欲しかったけどね…。 まあ、昔の恋より、現在進行中の

「にじいろカルテ(第6話)」病気って面白い。確かに記憶のなかに病気はある。

ラストは悲しい終わり方だった。安達祐実の記憶が亡くなっていくことを予感させる。自分の病気が回復した後の出来事。そう、人が生きる中で、誰かがどこかでいつも叫んでいることを一番感じるのは、病院かもしれない。 今回は、最初に泉谷しげると水野美紀が具合が悪くなったのを知らせるために走る子供のシーンから始まる。日常の中で、この村の診療所は実に役に立っているということを見せている。そんな中で、村の写真を撮りまくる高畑。今の自分の状況を母の誕生日には伝えようとモヤモヤしている。そんな中で

「アノニマス(第5話)」居場所が広がって、居場所がさらになくなっていく世界

ネット社会が広がる前には、こういうドラマは、少しデフォルメしすぎだろうと考えることが多かった。だが、今回のYouTuberがネットサロンで会員をリンチして楽しむような話は、確かにありそうだし、実際、被害にあったものは、生きる意思をなくすこともあるのだろうと思う。 ネットの中で話そうとする人は、リアルな事とは別の世界でそれを行なっている人が多いのだと思う。つまり、リアルとネットはリンクしていないということだ。だから、二重人格的なことが生まれるし、リアルではできない攻撃もできる

「天国と地獄(第6話)」さらに混沌とする中で、ラストに向かうがもう一捻りという場面

新月の日に殺人が起こるというルーティンが見破られ、殺人はうまくいかなかった。だが、その先に、殺人犯が一人の行動ではないという事実、そして共犯が明確に姿を表してくる感じは、なかなか面白かった。 そのおかげで、視聴者の推理もリセットされていき、もはや、入れ替わりという事象の興味は薄められる。それも、主演の二人の演技が明確に入れ替わっているからだろう。この辺りは脚本を見事に具現化するキャストいてのことで、脚本家も想像以上と思っているのではないか? そして、歩道橋の数字の意味、そ

「その女、ジルバ(第7話)」それぞれの過去の確認、未来へのブリッジ

明らかに、最終章に向かうブリッジ会である。このドラマは、それぞれの人生の苦難に向かいながらも、笑顔で生きていくことの素晴らしさみたいなものを描きたいのだろう。そんな、全体のテーマが見え隠れする回であった。 まずは、ジャック&ローズを大晦日に訪ねてくる男(竹財輝之助)が、ジルバの過去について知りたいというところから始まる。そこで、その話の語りをするのは、お節料理を届けにきた中尾ミエ。そういえば、ジルバの話をパーティーでしたのも中尾だった。彼女の役回りはそこにあるようだ。 彼

「俺の家の話(第五話)」家族旅行に複雑化した恋愛模様に田中みな実?

今回は、戸田恵梨香の「好き!」というセリフが耳に焼き付いてしまった。こういうSPEC的な気の抜けた感じの演技が戸田の魅力でもある。ここで、言い終わって帰るときの後ろ姿の演技も好きである。戸田が、この家族の男たちをたぶらかしていく感じがスパイスになっている。 この話、基本設定が「カラマーゾフの兄弟」だとネットでは言われているが、まあ、それをアレンジする脚本力はすごいわけで。この男を翻弄する女に戸田を起用したのも、見事な配役である。 とにかくも、先週、桐谷が本当の息子だという

「にじいろカルテ(第5話)」人間とは面倒くさく、屈折しているのが普通?

ドラマの折り返し点ということなのだろう、先週の土砂崩れで、井浦新の過去が表面化してきて、それを高畑と北村に語ることで、ドラマの半分を使った回。多分、この話は、このドラマを作る上での大切なことなのだろう。そう、井浦は、都会から逃げてきたのだ。そういう忘れない過去を抱える人に田舎の生活は心を生まれ変えさせる。それは、高畑も同じであろう。 とにかくも、今回は新しいドラマはほぼほぼない。突然にテレビ局の訪問で賑やかな村の人々。そんな中で、高畑と北村が井浦の過去について「何があったの

「アノニマス(第4話)」誰もが、他人との距離感がわからないのが、ネット社会?

ラスト、香取の相棒であったシム・ウンギョンが生きていることがわかった。このドラマは、彼女をこうしたのもネットが引き起こしたものということなのだろうか?それはそれで楽しみではある。 そう言っても今回の題材は、不倫とストーカー。ネタ的にはあまり面白くもないし、筋書きも、結果的には嫉妬と口で言えないからネットで犯罪を犯してしまったという顛末。凡庸な話だ。 だが、そこにネットによるリークがあったり、マッチングアプリの人間関係のいいかげんさや、危うさがあったり、そこは今風なので、そ

「天国と地獄(第5話)」ドラマの折り返し点。新しい犯人の浮上で心がどう交わっていくか?

まずは、今回は前回、柄本佑が証拠の入ったロッカーを見つけてしまったことから、綾瀬と高橋の入れ替わりに気づくところからの導入。あまりにも簡単に信じる柄本を安易にも感じるが、人が人を信じるというのはそのくらい簡単なこととも言える。よく知っている人に対しては、外見よりも、日常の仕草やルーティン、表情や癖だけを五感として受け入れているということはあるということだそれを納得させるために綾瀬と高橋の演技がるということ。これで、この状況を知っているものが一人増えたということだ。しかし、柄本

「その女、ジルバ(第6話)」奇跡のクリスマスパーティーがある店が欲しいと思う現在。

今週のクリスマスパーティーが、終盤につなぐブリッジということなのだろう。ジルバの過去が、それなりに語られ、池脇の視点が会社のいざこざから、そちらに移っていく。 職場の中は、課長(山崎樹範)と江口のりこと、3人でお弁当を食べる関係に落ち着いている。そう、ここの不安定な状況は一段落?で年明けなのだろう。江口がバナナ+りんごになって、「ゴリラか」というように仲良くなっている。そういう雰囲気って、確かに昔の会社にはあったけど、今の会社ってこういう雰囲気も希薄なのではないかと思う。リ

「俺の家の話(第四話)」逃げるのも才能、残るのも才能。人生はその二択?

最後の父と息子の共演の舞は、平岩紙でなくても、涙が出てくるような舞に見えた。今回は、親子という概念と、生まれた場所は変えられないが、生きる場所は変えられるみたいなものを考えさせられる、地味だがいい回だった。 まず、流れとしてはある程度、西田が治ってきて、戸田と西田の夫婦模様も、もはや芝居だと戸田の口からバラされる。そして、プロレスのアルバイトなどの嘘は嘘のままにドラマは進み出す。だが、その嘘がバレるときにドラマが生まれるという流れの作り方は宮藤脚本のうまさでもある。 江口

「にじいろカルテ(第4話)」他人の過去、自分の過去、そして重なりながら現在がある

このドラマ、毎回、誰かを主人公にしながら綴られていく感じのようだ。今回は、井浦新の話。最初から、回想シーン。彼が何故、農業にこだわるのか?何故、ここにいるのか?辛い思い出の果てにここにいることが視聴者に語られる。 それと並行するように、北村匠海が、ぶよに刺されたあとが痛くて、のたうち回っている。彼は何も無いように嘘をつくが、同じように刺された村人たちが集まってくる。今回の村人たちの役目は、ここでの騒がしだけ。ジジイズも出てこない。伝えたいことを伝えるために、今回の出演者は至

「アノニマス(第3話)」正義感の曖昧なネット世界。リアル感のない他人。

今回も、香取慎吾が過去に、同僚を失ったシーンから始まった。多分、このバディを失った過去が、関水渚との捜査の中で今後シンクロしていくのだろう。関水の若くうざったい感じは、そのためにあるということを感じる。 そして、今回の本題の最初は、刑事とは思えない、モンスターピアレント化したMEGUMIが事件への枕を勤める。MEGUMIという女優さんも小池栄子とともに、最近はテレビドラマでは重宝される人になった。グラビアやっていたことには考えられないことだったが、本当に俳優の未来というもの