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2021年新作テレビドラマ放浪記

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2021年のテレビドラマの感想記録です。
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2021年1月の記事一覧

「その女、ジルバ(第4話)」時代の苦難を越えて、人は気付くというお話

第4回にして、ジルバの命日ということで、ドラマタイトルの話になる。ジルバが、ブラジル移民としてブラジルで生まれ、帰還するときに家族を失い、そして、太平洋戦争を過ごし、焼け野原の中で、この店を開いた話。それは、日本人が忘れてはいけない歴史の出来事。 そこに、久本雅美が捨て子だったという話が入ってきて、江口のりこが自分と同じだと、共感する。その時、江口は、会社から思いも寄らない早期退職を迫られていたという話。いつの間にか、視聴者は、江口のりこに共感していたりする。退職を迫られる

「俺の家の話(第2話)」プロレスと能と介護と、これで話をまとめていく才能

第2話も面白かった。1話で振った、結婚詐欺話を、スピード感を持って回収。それによって、戸田恵梨香のしたたかさと、介護現場での必要性を強く訴える。それは、長瀬の介護に対する未熟さとの対比であり、その差異にドラマがある。だから、今回の最後は、プロレスでアルバイトする間に、西田が倒れるという具合に3話につなげる。 しかし、マスクマンとしてプロレス復帰とは、宮藤脚本らしさが感じられる。そして、今回も。ちゃんと長州力の見せ場も用意して、そして「セリフがはっきり聴き取れた」ことに感動し

「にじいろカルテ(第2話)」優しい温度、高畑充希の心のぎこちなさの表現に現在を思う

優しさを表現するということは、思いのほか難しい。それは、リアルな世界で私たちが気づいていることだ。気持ちと言葉が裏腹だったり、「そんなつもりではないのに」という受け取り方をされることも多い。 このドラマにある、地域医療の場合、地域の人々とのコミュニケーションがその価値を何倍にも倍増し、優しさを共有できるということはわかる。漫画で書かれた人々の健康の地図は、まさに、この地域の見える化である。それは、インターネットなどという道具を使わなくても、心は繋がっているという感じなのかも

「レッドアイズ 監視捜査班」刑事ドラマを撮りにくい時代に、監視システムを使うのはありですね

内容的には、猟奇殺人鬼を追うドラマのようで、あまり私が得意な分野ではない。だが、シシド・カフカが出ていることが気になって観た。オリジナルのドラマとして、刑事側の人物もキャラがはっきりしているし、脚本はスピーディーでわかりやすくそれなりに面白かった。 コロナ禍で、実際、刑事ドラマ撮るのも大変なのだと思う。街の人はみんなマスクしてる中で、マスクなしで走ったりはできないし、エキストラも雇えない状況もあると思う。つまり、なるべく画面に映る人は少なくして、ドラマチックにするにはどうす

「アノニマス 警視庁指殺人対策室」香取慎吾が俳優として目指す場所

久々の香取慎吾主演ドラマ。なかなか渋い感じの慎吾ちゃんを見ることができる。考えれば、一昨年の映画「凪待ち」では、ダメ男を見事に演じていた。それを見た私は、香取慎吾がこういうのできるんだと思った。そして、ジャニーズから離れることで、役者の幅は広がるんだろうなと思った次第だ。 今回の役も、過去を背おっている刑事。セリフ少なめで、無駄は排除して、確実に事件を解決していく刑事。その心には、明確な愛があるような…。この役も、ジャニーズにいたらあてがわれない役だろう。 その相棒役は関

「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」"気"を感じる必要性を描くの?

世の中は、「風の時代」に入ったと、語る人が、結構多い現在である。そのバックボーンとしてはコロナ禍がある。日常は、私たちに操作できるもので無くなってしまった。そう、この状況を占い師たちは、的確には当てられなかったはず。そんな中、やはり、日常の生活の中で、花や動物に話しかけられたという人も結構な数いる。信じていいのか、どうなのか?色々な人がいるので気をつけて! このドラマの主人公、モコミは、機械部品の不良品の選別作業をしている。彼女は部品と語るように、傷があるものなどを選別して

「天国と地獄 ~サイコな2人~(第2話)」溝端淳平のお手柄がどう事を動かすのか?

初回は導入部に過ぎなかったことがよくわかった。とにかく、2回目からは、演じる人と中身が違うという話。観ている方がなかなか慣れるまでに時間がかかる。だが、面白い。全ては二人の役者の勢いによるところのようだ。 まずは高橋一生、見事な女の子演技。ネットで「バスタオルの巻き方」とか騒がれていたが、とにかく、立ち振る舞いの見事さ、彼はこの役のためにいるようである。殺人鬼に追い詰められて、最後に溝端に理解された時の顔は見事な女の子そのもの。 そして、綾瀬はるか。実際に女でいた時より色

「その女、ジルバ(第3話)」役者たちの演技が光る、深夜に沁みるドラマ

金曜の23時代に、ずらりとドラマが並ぶ状態の中、このドラマだけは、時間にあった内容で、しっかりとした感じに仕上がっている。そう、深夜帯だから、こういう心に沁みる題材はいいと思う。多分、一緒にお酒を飲みながらでもちょうどいい感じである。 今回が3回目だが、今回のラストのパーティーシーンをみていて、このお店、広さといい、作りといい、とてもいい感じのお店だと思った。とにかく、お客さんが自由に動けたりするくらい広さがある。そして大きなステージ。広さがあると、ダンスもできる。昔の社交

「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~(第3話)」コンプライアンスを壊すことでエンタメは盛り上がる

3話目は、なぜか8チャンネルで放送しているという「ドクターZ・5」の現場から。導入のいかれた病院の話の数々。こういうドラマが観たいという人は多いはず。1970年代には、映画館ではもっと凄まじい世界が描かれていたが、本当に日本のエンタメは大人しくなってしまった。それがコンプライアンスのタメかどうかは知らないが、万人に迷惑をかけないのがコンプアイランスなのか?今回も面白すぎるお話だった。 昨今のテレビドラマがいろんなものに忖度して、書きたいものを書き切れていないと思うことはよく

「俺の家の話」宮藤官九郎のドラマに、なんとなく巨匠感が見える?

「いだてん」以来の宮藤官九郎脚本の連続ドラマ。「介護と遺産と結婚詐欺と」という話に、「プロレス」と「狂言」が混ざるという混沌とした感じが、彼らしい脚本だが、初回を見る限り、余計なものが削ぎ取られ、なかなか巨匠の脚本という感じの雰囲気が出てきた。 NHKで1年間、脚本を描き続けたということは大きな学習になったのだろうか?前はもっと無駄なシーンやセリフが多かったような気がするのだ。だから「あまちゃん」などをみていた頃、15分のドラマだと、そういう無駄が無駄に感じないで、彼の脚本

「にじいろカルテ」愛の表現の塩梅の良さ。そこに高畑充希の笑顔がうまく溶け込む

木曜の9時はテレビ朝日のドラマのメインタイムである。「ドクターX」の時間帯で、全く真逆の過疎地の地域医療ドラマをやる。なかなか面白かった。 脚本、岡田惠和は、「姉ちゃんの恋人」からの連投。新春ドラマ「人生最高の贈りもの」も含め、筆は絶好調のようである。言葉の選び方、シチュエーションの作り方、そして伝えたい世界の明確さで、今、この私たちの望む心のありかをうまく具現化して提示してくれている。とにかくドラマが初回から弾んでいる。 まずは、高畑が医者としてやっていけなくなって、途

「君と世界が終わる日に」テレビの連続ドラマでゾンビを扱うという面白み

日本テレビとHuLuの共同制作。前半は地上波で後半はネットというビジネスのドラマ。ストリーミング業界も客の取り合いの中で出て来た企画だろう。そういう意味では、視聴者の欲望に応えるように、「世界滅亡」「ゾンビ」という、テレビでは少しエキセントリックな題材の企画である。映画にしたら、それなりのファンを掴める題材でもある。 ゾンビものというのは、ゾンビがどれだけ出てくるかで、その映画の印象が変わってくるわけで、そういう意味では、なかなか頑張ってゾンビ役者を連れて来たようだ。メイク

「書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~」楽屋落ちも、キャスト次第ですね。

売れない脚本家の生田斗真が、突然のTVのゴールデンタイムのドラマに抜擢され七転八倒する話である。脚本家というものが主役になることも珍しいので、それなりに面白い。テレビ業界のブラックさを全面に出す気なのだろうか?でも、影の声のような浜野健太演じるツルツルの男など、道具はあまり新しくはない。一回一回、ドラマのニュアンスが変わっていって、いろんなものを生田が書かされるということなのだろう。 しかし、この少しケチくさい発想の中で出来たような内容のドラマの主役が生田斗真というのも、時

「天国と地獄 ~サイコな2人~」入れ替わり刑事ドラマ。綾瀬はるか&高橋一生というキャスティングの魅力

やる気はあるが周囲の信頼に薄い刑事の綾瀬はるかと、サイコパスな殺人鬼の高橋一生の身体が入れ替わるという刑事ドラマ?というよりは、この設定から、人の深層心理的なものを描くのだとは思う。脚本は、日曜劇場ではさまざまな傑作を残してきた森下佳子のオリジナル。初回の加速の付け方は流石である。そして、主題の入れ替わりシーンは、「転校生」からのお決まりで階段落ち。まあ、ここを凝っても意味はないのだろう。あくまでも、男女の俳優の演技にかかってくるドラマだと思う。 綾瀬はるかという女優さんは