30歳。挑戦。

私は平成元年生まれのエンタメ業界で働くサラリーマン。私には学生時代にやり残したことがあります!それは……

箱根駅伝を走れなかったこと!!!

私の人生は陸上一色。小学2年生から走り続けていました。親に仕組まれてやらされた手前、走ること自体が好きというわけではなく、日課のような感じ。練習で朝は早いし、夜は遅い、球技と違い単調で面白さに欠ける。ただただ辛苦しい。唯一の救いといえば、結果が出た時に「承認欲求」を満たせることだけ。でもそれは他のスポーツも同じだし、今となっては何で続けられたのか分かりません! 一応インターハイに出場できるくらいの力はあったので、スポーツ推薦で高校も大学も進学。しかし、競技生活12年目の法政大学1年時、そんな惰性の日々が一変します。

箱根駅伝予選会との出会い

1年目の予選会は補欠でした。  1年で補欠は上出来上出来  という軽い気持ちで会場である立川昭和記念公園に到着。そこには信じられないほどの箱根ファンが押し寄せていました。各大学の応援団、テレビ局、人が途切れない沿道。この中を走ると一体どれほどの優越感を得られるのか。想像しただけで私の胸は高鳴りました。そんな私の心境を悟ってか、当時のエースが話しかけてきます。

「大事なのは本番。箱根を走ったもん勝ち。連れてったるからちゃんと心構えしとけよ」

エースの言葉にこれが予選会であることを思い出しました。予選でこの規模。本番の箱根駅伝は一体……! ここで初めて箱根に興味が出ました。しかし予選会の結果は……

敗退

誰もが法政が落ちることを予想していませんでした。その年は記念大会で出場枠も増枠。安心しきった気持ちが油断を生み、足をすくわれた形に。閉会式はまさにお葬式状態。予選通過ラインまで6秒。20km走って1人0.6秒を絞り出せなかった。ほんの10mの明暗。

涙にあふれる閉会式の中、私は一切泣けませんでした。泣く権利がないと思っていました。周りの先輩からは「お前が走ってたら通過できた」と声をかけられましたが、現実は走っていない。走っていない私が泣くのはお門違いのような感覚がありました。ただただ放心状態でした。

そんな状態で一人トボトボと帰路へ。立川駅に向かう途中、監督に出くわしました。

「お疲れ様です」

目上の人がいると思わず情景反射的に出る言葉に監督が気づき近づいてきました。すると背中をバシッと叩かれました。

「来年はお前がやるんだからな!」

それまで抑え込んでいた感情が涙とともに吹き出し、監督の前で泣き崩れました。この監督のたった一言でスイッチが入りました。頭の中で音がするほど明確に。心の底から箱根駅伝に出たいと思いました。


しかし

私の夢は叶いませんでした。


自分の甘さ。そこからくる故障。予選会は2~4年で3回走ったものの本番は走れませんでした。


卒業から8年。いま私は30歳。職業は漫画編集者です。私は未だ、あの頃に囚われています。年月が経つにつれその想いは薄れるものかと思いきや、毎年テレビで箱根駅伝を見る度に胸が締め付けられます。その度に思う。

このまま箱根駅伝を走らずに死ねるのか

走った者にしか見えない景色がそこにはあって、それを見ないことにはこの苦しみは消えないし、我が生涯に一片の悔いなしとは言えない。

安定した仕事や家族などができることによって、将来の像が明確に見える。それによって人は夢を追うのをやめる。そんなことを考えるのがだいたい30歳と誰かが言っていました。

しかし、私は箱根駅伝を走らない限り前には進めない気がします。

仕事を続けながら大学に通い、家族サービスも怠ることなく、練習に励む。衰えもあるし、一流の素質を備えてるわけではないのでタイムリミットもある。

一見ムリゲーで、やろうとしてること自体が漫画みたいだけど、挑戦してみようと思います。この人生に後悔したくないから。もしうまくいったら漫画にしよう!笑

大学時代、心の弱さに定評のあった私だからこそ、こうして文字に起こしました。逃げ場をなくすために。

若さはなくなりましたがそのぶん経験は増えた。その経験を生かして過去の自分を超えられるよう頑張ります。

その過程を毎週ここに書き込んでいきたいと思います。あと練習内容や速く走るためのコツ。尊敬している恩師や先輩方とのエピソードなど。最低週1以上!

これからよろしくお願いします。


ちなみに

「親に仕組まれてやらされた手前、走ること自体が好きというわけではなく、日課のような感じ。練習で朝は早いし、夜は遅い、球技と違い単調で面白さに欠ける。ただただ辛苦しい。唯一の救いといえば、結果が出た時に「承認欲求」を満たせることだけ。でもそれは他のスポーツも同じだし、今となっては何で続けられたのか分かりません!」

この辺りを落とし込んだ漫画があります。

加治佐治さんが描く「スリースター」

陸上じゃなくて卓球漫画だけど、黒いスポーツ漫画。面白いのでぜひ読んでみてくださいー!

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