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ランニングの21要素

「ランナーに影響を及ぼす21の要素がある。事実に基づくものもあれば、身体的なものもあれば、精神的なものもあるがとにかく21の要素だ。この21のすべての要素がその人がどれだけのレベルに到達し、どれだけ成功をおさめ、どれだけのタイムを出せるかということに影響を及ぼす。


下記がその21要素だ

・レースの日付け

・そのレースのレベル

・年齢

・素質

・体調

・栄養

・薬

・ホルモン

・体組成

・走技術

・有酸素ランニング

・体重

・体脂肪

・練習方法

・指導(指導者)

・戦略

・自律

・路面の状態

・気象条件

・ライバル

・有酸素トレーニングと無酸素トレーニングのバランス


 このうちのいくつかの要素はいつも固定的であるとは限らない。例えば、体重や体脂肪率は常に変わりうるものだ。そして、精神的な状態によって影響を受ける要素もある。そのすべての要素が互いに結びつき、そのランナーを形成しており、それを知ることこそがそのランナーをよく理解することにつながる。


 これら21の要素には基本的には優先順位をつけることは出来ないし、すべてが等しく重要だ。しかし、最も重要な要素が1つだけある―レースの日付だ。


 考えてみてほしい。レースの日付の重要性を理解するのにアインシュタインである必要はないだろう。そのレースが地域の選手権であれ、国の選手権であれ、オリンピックゲームであれ、すべてはその日の為にあるのだ。それが数週間にわたるものなのか、数年間にわたるものなのかはそのランナーの経験や野心によって変わるだろう。しかし、すべてが1つの競技会のためにあることに変わりはない。


 1990年、1992年の英連邦選手権とオリンピックの後には多くの言い訳がなされた。そして、ほとんどのオリンピックのタイトルは多くの競技者の自己ベストを下回る記録で獲得された。しかし、その日他の選手はそれだけのタイムを出すことが出来なかったのだ。1000mに関して言えば、非常に分かりやすいだろう。優勝タイムは27分46秒、そのレースには27分ちょうどに近い自己ベストを持つ選手がたくさん出ていたにも関わらず、その大半が28分を切れなかった。


 このことが示しているのは、レースの日付を理解することが適切なトレーニングの鍵であるということである。


「考えてみろ。去年君は人生最良のレースをすることが出来た。全てが上手くいったし、君は最高のパフォーマンスを発揮した。もし、なぜ全てが上手くいったのかを君が理解しているのであれば、君は今シーズン、勝ちたいレースでもう一度ピークパフォーマンスを発揮できるはずだ。もしそれが出来れば、君はトレーニングについて何かを理解していると言えるだろう」


 もしそれが、出来ないのであれば、君はトレーニングについては何も理解していないのだ。君も「何故上手くいったのかが理解できなくても、いつかは良いレースが出来るだろうと星に祈ることが出来るランナー」のうちの一人にすぎない。


 私はしばしば数シーズンにわたる故障により走れなくなった状態から再びオリンピックチャンピオンに輝いたラッセ・ヴィレンの話をする。アメリカ人たちは彼が血液ドーピングをしているというが、馬鹿げた話だ。私は彼に練習計画の立て方を教え、その実践の仕方を教え、ピークを持っていきたいときにピークを持っていく方法を教えた。そして、彼はよく私の話を聞き、学んだ。


 ヴィレンはオリンピックでメダルを獲るための練習計画を知っていたし、あとはそれを繰り返すだけだ。

 1992年のオリンピックでメダルを獲得した選手の大半は最高のランナーたちであるとは言い難い。しかし、彼らは最高の準備が出来た選手たちだ。このことは強調しすぎても強調しすぎることはないし、それが出来る選手と出来ない選手の間には深淵の溝が開けている。


 1992年のオリンピックはその最も顕著な例だ。いったんピークを持ってきたら、そこで終わりではない。ピークパフォーマンスが続く限り、それを維持すれば良い。そして、状態が落ちてきたら、もう一度基礎から組み上げていけば良い」

『Running to the Top』アーサー・リディアード著、池上秀志訳

 重要なレースの日にピークを持ってくることが出来なければ、あなたはトレーニングについて何一つ理解していないというのは陸上競技史上最も成功を収めたニュージーランドの名伯楽アーサー・リディアードの言葉です。


 このことは強調しすぎても、強調しすぎることはないのですが、別の言い方をすれば、こういう言い方も出来ます。


 年がら年中だいたい同じようなタイムで走れる人はまだあなたの可能性に自分で気づいていません。あなたはもっと速く走れます。何故なら、「レースの日付」を頭に入れずにただ漠然と走っているだけだからです。つまり、だいぶ損をしています。


 「そんなの、プロとか実業団みたいなレベルでやっている人の話でしょ」と思われるかもしれません。しかし考えてみてください。これは一般のランナーにも当てはまる話で、これを全く考えずにレースに出場したり、トレーニングを闇雲に行うと、ピークを作ることすらできないということです。


 つまり、これを理解しないままただ年がら年中同じようなトレーニングを繰り返して、そしてレースに出ていると、常に波のない状態で走っているようなもので、本当の100%の状態を作ることすらできていないということになります。せっかく常にトレーニングを頑張っているのに、常に60%程度の力しか出ていないのですが、ただそれがもはや普通になってしまっているため、そこが100%であると勘違いしてしまうのです。これほどもったいないことはないわけです。


 ではどうすれば自分の100%の状態を作り出せるのか?


 多くの方は、ある特定の狙っているレースで結果を出そうと思った時、レースの1週間前~2週間前程度にちょっと練習量や強度を下げて、疲労をちょちょいと抜いて調子を上げようとします。確かに直前に練習量さえ落とせば、疲労感は軽減され、なんとなく脚が軽くなったような感じは出ます。ただそれは、本質的に体がレースに向けて仕上がっている状態とは言い難く、それを調整と呼ぶには少しお粗末なのが実情です。本当の意味で最高の状態を作るためには、基礎構築の走り込みやそこからのスピードへの移行、最後の疲労抜きまで、すべてレースから逆算した何か月もかけて行う計画を立ててトレーニングを組んでいく必要があるのです。トップレベルの選手の多くがマラソンの準備に半年の時間をかけるのは、そのような工程を踏んでいくために必然的に半年の期間は必要になるから、そうなっているだけなのです。


 とはいえ、そんな半年スパンの計画なんてこれまで立てたことないし、逆算って言ったっていつの時期に何をしたらいいのかなんてわからないよ…と思われるのが普通です。ただ、今回そこであなたにお伝えしたいのが、「ピーキング」です。ピーキングとは、要するに狙ったレースに合わせて調子のピーク(頂点)を持ってくるという意味で、これはまさしく「レースの日付」を頭に入れ、一つのレースから逆算して、どのようにトレーニングを組んでいくのかという技術に他なりません。


 このピーキングという技術は、トップランナーたちは皆実践している手法で、市民ランナーにとっても非常に重要かつ有益な情報なのですが、残念なことにブログやYouTubeではあまり語られていないのが現実です。それはなぜか。理由は単純です。それは、ピーキングに関して発信しても、あまりにも視聴者や読者の反応が悪い(=再生回数や閲覧数が伸びない)からなんです。


 YouTubeやブログは基本的に、「広く浅い」初心者向けの情報が好まれます。市民ランナーは現在日本におよそ300万人いるといわれていますが、その大部分がマラソンでいうとサブ4よりも遅い記録のランナーです。サブ3ランナーは、全体の3%しかいないと言われています(ちなみに弊社ウェルビーイングオンラインスクール受講生様のサブ3達成率は50%を超えています)。


 つまり話を戻すと、このピーキングというのは巷にはほとんど出回っていない情報で、知りたくても知りえない情報です。95%のランナーやランニングコーチは、このピーキングの概念をきちんと理解しないままトレーニングをしているのが現状です。


 そこで今回あなたにご用意したのが、大阪マラソン日本人トップのランナーで、ウェルビーイング代表の池上秀志著の電子書籍「ピーキングの極意」です。これは、池上自身がプロとしてのキャリアの中で数えきれないほどのパターンのピーキングを試行錯誤しながら行い、世界的コーチやランナーから実際に話を聞いて、その経験と知識の全てを一冊の本にまとめたものです。


 この池上と私は高校時代からの仲で付き合いもかなり長いのですが、池上は遡ると高校時代からこのピーキングは意識していました。ただ、私たちのいた洛南高校はがっつり駅伝強豪校という感じで、自分で好き勝手にトレーニングメニューを組むようなことはできなかったので、高校時代はあくまで与えられたメニューの中でうまくさじ加減を加えて「なんちゃってピーキング」をする程度でした。


 しかし、池上は京都教育大学に進学し、大学2年時に陸上部を退部して一人でトレーニングを積むようになってからは、このピーキングをかなり活用したトレーニングをするようになります。最もピーキングが力を発揮したのは大学2年生の時で、このシーズンは春~夏にかけては5000mを3回走って15分を切ったのは一度だけ、秋以降も発熱や故障などのアクシデントもありました。


 しかし、その後年明けの1月に行われた谷川真理ハーフマラソンにて、池上は当時埼玉県庁職員として世界大会などに盛んに出場し、「最強市民ランナー」の名を欲しいままにしていた川内優輝選手を圧倒的に抑え、1時間03分09秒という記録で優勝します。5000m15分とは、1kmあたり3分のペースです。そしてハーフマラソンの1時間3分9秒は、1kmあたり2分59秒のペース。果たして池上は同じシーズン内に、5000mすら3分を切って走れなかったのに、そこから約4倍の21kmの距離をさらに速いペースで走り切れるようになるほど、この1年で劇的に力をつけたのでしょうか。

 答えは、半分イエスで半分ノーです。確かにそのシーズンの夏には月間1000kmを超えるような強烈なトレーニングを積み重ね、実力を延ばしたというのもありますが、それよりも大きな要素は、半年の期間をかけて行った「ピーキング」がうまくいったということなのです。というか、その夏場の強烈な走り込みも、このピーキングの一環として行っていたわけですから。


 このように、ピーキングとは同一人物が同シーズン内にまるで別人になったかのような劇的なタイム向上を実現することもあるわけです。正直5000m15分台というのは、プロの世界においては見向きもされない記録ですが、ハーフマラソン1時間3分9秒はその年の日本ランク69位にも相当し、実際に池上は実業団4社からもオファーを受けています。文字通り、ピーキングによって人生が変わっているのです。


 ここまでお読みいただいたあなたはすでに、ピーキングがもたらす効力を感じていただいていることと思います。トレーニングとはいわば、家を建てるときの材料づくりで、そしてピーキングは実際の組み立てです。どれだけ仕事の合間に時間を捻出してトレーニングを頑張っていい材料を作っても、それの組み方を間違えればいい家どころか普通に建てることすらままなりません。今、ここまで読んでくださっているあなたは、すでにいい材料は作られていることと思います。あとは、その組み立て方次第なのです。それ次第で、あなたが頑張って作った材料はビバリーヒルズの豪邸にもなるし、はたまた廃墟のような掘っ立て小屋にもなってしまうのです。


 そして、あなたの持つ素敵な建材を美しく組み立てるための知識をお届けするのが、本書「ピーキングの極意」です。これは1冊たったの1500円で、池上が世界的コーチやランナーから多くを学び、そして自らが何度も実践して作り上げたピーキングについても知識と経験を学べるものです。


 こちらのピーキングの極意では、そもそもピーキングという概念が生まれた経緯や、なぜそれが必要なのか、そして世界的コーチが実践しているパターンや問題点を解説し、最後には池上自身が編み出したピーキングの考え方を伝授しています。


 あなたがもし、今何かのレースに向かってトレーニングをしていて、タイムや順位などの目標を達成したいと思っていたり、トレーニングを頑張っているのだけれど、思うようにタイムが伸びないということでお悩みの場合、このピーキングの極意は間違いなくあなたの道を照らす一冊になります。


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ピーキングの極意を読む

必ずあなたにとっても役に立つ本です。

ウェルビーイング株式会社副社長

深澤哲也


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