今週のライオンズ
昨日ハイテクハーフマラソンに出場していたため、お届けするのが一日遅れてしまいましたが、今週のライオンズをお届けさせて頂きます。歳が明けて気持ちも新たに走り始めた方も多いと思いますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
中学生の頃は短距離の顧問の先生から「何も咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ」とのお言葉を頂き、ひたすら冬季練習と呼ばれる地道な練習に励んだものですが、大人になると記録が狙えるようなマラソン、ロードレースは全て冬場に開催されるので、この時期日本では主要大会が多く開催されます。
一方のライオンズの選手が滞在するケニアではどうでしょうか。ケニアでもいくつかのロードレースが開催されますが、それよりも冬場はクロカンがメインです。そもそもの話をするとケニアでは最も標高の低い町の一つである首都ナイロビでも標高1700m程度で記録が狙えるようなレースはありませんし、賞金の額も多くありません。
重要なレースは全てヨーロッパのレースです。ヨーロッパのレースはというと、1月、2月はクロカンくらいしかありません。音楽の都ヴィーンも花のパリもで北緯48度、札幌で北緯42度と言えば、なんとなくその極寒度合いが分かっていただけるでしょう。そんな訳で、ヨーロッパの春の主要マラソンはほぼ3月と4月です。ケニアの選手も当然ここに向けて練習を積みます。
そうすると、3月下旬から4月上旬のマラソンに準備をすると考えると、年明けくらいから本格的にマラソントレーニングを始めるとちょうど良いんです。そんな訳で、今週のライオンズも本格的なマラソントレーニングの練習内容に移行してきております。
1月3日月曜日
午前 20キロ低強度
午後 10キロ低強度
1月4日火曜日
午前 トラックセッション 2000m7本2分つなぎ 70’’/400m
午後 10キロ低強度
1月5日水曜日
午前 16キロ低強度
午後 休養
1月6日木曜日
午前 ファルトレク5k-4k-3k-2k-1k/3’
午後 10キロ低強度
1月7日金曜日
午前 16キロ低強度
午後 休養
1月8日土曜日
午前 35キロロングラン
午後 休養
1月9日日曜日
休養
だいぶ練習がきつくなってきた感じがしますね。練習の密度が落ちて、かなりスピード持久力に重点を置く練習になってきたように感じます。木曜日のファルトレクはマネージャーのタイタス氏からは1キロ3分半のペースというふうに聞いていますが、おそらくそういうふうに指示をしても結局勝手にペースが上がっていっていると思います。
ちなみにですが、ライオンズの選手たちがファルトレクを行うイテンという町は非常に起伏の激しい町なので、正直1キロ3分半のペースでもかなりタフなトレーニングだと思います。しかし、まあそれでもトップ選手たちにとっては多少物足りないペースですし、結局競い合ってどんどんペースが上がっていくことになるでしょう。
ちなみにですが、現地で何年も練習を見ている外国人コーチたちの間にはこんな話があります。
「イテンでのファルトレクで真ん中よりも前にいる選手は強くなる、しかし、最前線にいる選手は強くならない」
本当に力のある選手なら前でガンガン走っても大丈夫なのかもしれませんが、イテンという町のレベル自体が相当高い中で最前線で毎回本当にレースさながらの練習をしていると回復に時間がかかるので、継続的に良い練習をこなすことが出来ずに強くなれないそうです。
これは市民ランナーの方にももちろん、同じことが当てはまります。練習会に参加するなら、自分がそのグループの中のどのくらいのレベルにいるのか冷静に考えることも重要です。自分よりも強い選手と一緒に走ることで、一段、二段上の練習が出来ることは事実ですし、そこから大きなメリットを得られることも多々あります。しかしながら、いつもいつもそれが良いことだとは限らないということは覚えておいた方が良いでしょう。
そして、これも外国人コーチの一部の間で言われていることですが、「ケニア人にトレーニングプログラムを渡しても、その通りにやっているとは思わないことだ」とのことです。日本人は高校生でも強豪校のレベルになれば、機械のように設定タイムを刻んでいきますが、ケニア人選手は3分半と言われていても途中で誰かが飛び出せばレースになることもありますし、400m70秒と言っていても、74秒になったかと思えば、66秒になったり、2000mも6分5秒になったかと思えば、5分40秒になったりとペースが安定しないことも多いです。
必ず、トレーニングプログラムを渡すだけではなく、実際にその練習を自分の目で見るか、練習が終わってから選手に話を聞かないといけないと言われます。
1月13日はウィルフレッド・キミテイ選手がヒューストンハーフマラソンに出場します。結果を楽しみにお待ちください。
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