現代版・東海道中膝栗毛【6日目①】

安倍川の手前にある府中宿を出発して、いよいよ安倍川を越え、めざすは3つ目の大井川である。

安倍川を越えるときは、川の水かさが多かったため、2人は仕方なく人足の肩車で渡ったそうである。

人足の料金は64文だったそうで、今の時代でいえば2000円ほどであろうか。2人にとっては、高い料金だったそうである。

ただ、これは実はぼったくりであって、2人が川を渡ったあと、人足たちは、川の浅いところを歩いて戻っていった。

いつの時代も、金儲けのためにズルいことを考える人はいるものである。

川を渡り終えて、最初の宿場が、鞠子(まりこ)宿である。今では、静岡市駿河区の丸子にあたる。

そこは、とろろ汁が有名だったので、2人もごちそうになろうとするが、茶屋の亭主とかみさんがケンカをしたため、食べることもできずに退出したそうである。

その後、今でもハイキングコースとして親しまれている宇津ノ谷峠(うつのやとうげ)にさしかかるが、本降りの雨にあたるわ、ぬれた山道ですべるわで、引き続き災難に遭うことになる。

しかも、大井川が渡れないということを道中で聞き、結局、安倍川と大井川の中間にあたる岡部宿に泊まることになった。

岡部宿と大井川の間に、まだ藤枝宿と嶋田宿があるのだが、そこは大名が泊まっているから無理だとのことであった。

この日は、13キロほどしか歩くことができず、なんとも物足りない旅になったのである。



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