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神奈川県内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の日別新規感染者数を症状別に可視化

1. はじめに

本記事は筆者(福本 塁)が神奈川県内の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 感染者数マップを自身で運営する研究室WEBに公開しており、そのデータを眺めている中で「ん?」と思ったことを書いているだけの記事です。ある程度の事実に基づいてはいますが、科学的な正確性や議論の正当性について、時間をかけてしっかりと精査したものではなく、あくまでも個人的な思いつきの域で私見を述べている点にご注意ください。

2. 神奈川警戒アラートの発出

2020年7月17日、神奈川県より神奈川警戒アラートが発出されました。

直近7日間における平均の新規陽性患者数が33人を超えた場合に、直ちに神奈川警戒アラートを発出して、県民や事業者の皆さんに警戒を呼びかけることにしています…(神奈川県公式サイト 知事メッセージより引用 2020年7月18日最終アクセス)

そして、個人レベルの感染対策の徹底と感染防止対策がなされていない場所へ行かないよう行動が要請されています。さらに、事業者側にはテレワーク・時差出勤等を通じて接触機会を減らす取り組みと「感染防止対策取組書」「LINEコロナお知らせシステム」の掲示を徹底することが要請されています。7月16日の新聞記事にGoToキャンペーンの事業実施に対する神奈川県知事や横浜市長の賛成意向が掲載されていた翌日ですので、神奈川県民のみなさまはさぞ戸惑っているのではないかと思います。


3. 正しく恐れ、感染予防につとめる動機を得るためのデータ

戸惑っている…状況を指摘したところで、一個人である自分になにができるというわけではないのですが、先日のエントリ「神奈川県内の新型コロナウイルス感染症(covid-19)の感染者データに見る「第一波」と「第二波」の比較について2020年7月16日に思ったこと」で

ご自身の関わりの深い地域で集積されたデータに基づいて、「年代」や「時期」などを見極め、正しく恐れ、各自が予防につとめていただく動機とすることが重要ではないかと思います。(福本のnoteより引用 2020年7月18日最終アクセス)

と意見を出したばかりでしたので、その足しになるような情報を提示できないかなと考え始めていたところ、上記エントリの読者の方から

新規感染者数から第二波の山が見えますが、これまでの日別新規重症者数も相似的に増加しているのでしょうか?見える化できますと良いですね。

とコメントを頂きましたので、「神奈川県内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の日別新規感染者数を症状別に可視化」することにしました。


4. 神奈川県内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の日別新規感染者数(症状別)

・・・というわけで、chart.jsを用いて可視化してみた結果が以下です。

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図1 日別&症状別の新規感染者数(神奈川県)

グラフに5色も入っているとかなり見にくいですが、凡例は以下の通りです。

濃い緑:無症状
黄 緑:軽症
 黄 :中等症
 橙 :重症
 赤 :死亡

神奈川県内の感染者データに基づき第一波と第二波(のはじまり)を比較すると、第一波は死亡・重症・中等症が多く見られ、第二波(のはじまり)には少ないことが読み取れます。これまでのところ、神奈川県内の感染者のうち、死亡・重症・中等症の感染者の方の多くは60代以上の高齢の方でした。(詳しくは神奈川県内の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 感染者数マップの「症状別感染者数」で年代別に図示するボタンがついているのでご覧頂ければと思います。)

ここで、新型コロナウイルス感染症に関する「重症化と年齢の関係」についてデータや文献を見てみましょう。


5. 日本国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19) による年齢別の重症化率・致死率の割合

日本国内の感染者データに基づく第一波と第二波(のはじまり)の比較はデータが公開されておらず(見つけられておらず)まだわかりません。

公開されている統計資料(2020年4月17日18時 時点の厚生労働省の統計)より把握できる第一波の動向としては、以下の図に示すように60代以上で重症化率が高まるデータ(感染者数9284名)が示されています。

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図2 日本国内の年代別重症化率(厚生労働省の資料より作成)


6. 中国の感染者データに基づく重症化のリスク因子

また、中国の感染者データ等に基づく重症化のリスク因子は厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引・第2.1版」で紹介されており、具体的には「重症化のリスク因子」や「要注意な基礎疾患」が以下のように示されています。

重症化のリスク因子
・65歳以上の高齢者
・慢性呼吸器疾患
・慢性腎臓病
・糖尿病
・高血圧
・心血管疾患
・肥満(BMI30以上)
重症化のリスク因子であるかの知見は揃っていないが要注意な基礎疾患
・生物学的製剤の使用
・臓器移植後やその他の免疫不全
・HIV感染症(特にCD4 <200 / L)
・喫煙歴
・妊婦
・悪性腫瘍


7. 神奈川県内の第二波に死亡・重症・中等症が少ない理由

神奈川県内の第二波(のはじまり:2020年7月17日時点)に死亡・重症・中等症が少ないのは先日のエントリでも紹介したように感染者の多くが20代・30代であるためである可能性が一つ考えられます。

今後、20代・30代の感染に伴い、そのまわりにいる高齢者の方・慢性呼吸器疾患・腎臓病・糖尿病・高血圧・心血管疾患・肥満の方生物学的製剤使用者・免疫不全・HIV感染症者・喫煙歴のある方・妊婦の方・悪性腫瘍のある方への重症化する感染リスクを高める可能性につながりかねません。

このことに留意頂き、ご自身の関わりの深い地域で集積されたデータに基づいて、「年代」や「時期」などを見極め、正しく恐れ、各自が予防につとめていただく動機として頂ければ幸いです。

筆者も30代に該当し、感染拡大を助長する世代の一人であるという認識を以て自身の体調管理・感染予防行動に努めたいと思います。


8. おわりに

本記事は神奈川県内のデータに基づいたものですが、いつまで続くのかわからないコロナ禍の状況下において、情報収集の足しに頂ければ幸いです。


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