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夢039

小学校の校舎で中学生の制服を着て、高校の卒業を迎えている夢。一人一人最後のスピーチをさせられる地獄のような時間は、紛れも無く中学生の頃の記憶。また私の番がめぐってくるのだ、と思うと息が詰まり、じろじろ見られるのも構わず教室を出た。誰もいない廊下と階段の手間でぶらぶらしながら、誰か私を発見するだろうか、と不安に思いつつも、半ば期待混じりに歩いていても、結局誰に会うこともなかった。もし、「あなた何をしているの」と聞かれたら、「教室の中は感情の圧力が凄いんです。」と答えるつもりだった。(私は卒業式の日に泣いている人たちに一切共感ができなかった。卒業し、つまらない学校からおさらばすることは嬉しかったが、それと同時に、これから私はどうするのだろう、という将来の不安がズン、と重く心にのしかかっていた。)教室の後ろのドアからまた室内に入り、「○○さんがいません」「そこにいますよ」と名指しされ、ついにあの最悪のスピーチの番が回ってきてしまった。私はこう言った。「この学校では面白い友人に恵まれて良かったです。だけど、学校は嫌いなので、今日こうして無事に卒業できることを嬉しく思います。」もちろん、教室の空気はしらけていた。私も、凄く嫌な気分だった。

(実際のスピーチはもっと無難にやった覚えがある。学内の合唱コンクールで優勝できたのが嬉しかったとか、そういうありふれた話。でも、心の底では学校そのものや、クラスメイトにさえ何の感情もなく、ただただ早く帰りたかった。そういう思い出が、まだこうして夢でしつこく引きずられている。)

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