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聖なる

映画でも観に行こうかしらむ、と思っていた休日。頼んでいた本が届き、2、3ページ読み進めると同時にあっという間に読み込んでしまい、とっくに出かける時間が過ぎ去り、日も傾き始めたのですごすごと夕飯を買いに行った。

 先日、久しぶりに話した知人から興味深かった、とおすすめしてもらった「聖なるズー」(濱野ちひろ/集英社)を読んだ。

 話を聞いたときに、小さい時に世界まる見えか何かで見た「エッフェル塔と

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わたしも、スキ。
2

食いしん坊

小学生のころ、国語の文章題で向田邦子さんの「父の詫び状」が出題された。抜粋されたもので詳細は忘れたが、酔った父親が寿司折を土産に帰宅し、寝ている子らを叩き起こそうとした挙句不機嫌になってその寿司折を庭に放り投げ、翌日庭の石にこびりついた寿司のネタを眺める、という描写だったように思う。挿絵にちょこんと寿司折の絵があって、食いしん坊の私は食べ物を粗末に扱う向田さんの父親に勝手に憤怒の情を覚え、またお土

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わたしも、スキ。
7

門前払い

思い立ってカント入門(石川文康/ちくま新書)を読んだ。
 ここ数年、海外の作品(映画やドラマや本等々)に触れる機会が増加し、そのたびに作品たちの根底に脈々と受け継がれる西洋哲学を学ばないと真に理解できないのではないかと思ったからである。学生時代はほとんど国内の娯楽小説ばかり読んでおり、哲学に関してド素人で、ニーチェとかパスカルとかサルトルとかスピノザとか名前は存じ上げていますよえぇ、センター試験で

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臓物、表現

中学生の頃、1年間だけダンスの授業があった。その先生は厳しく、恐ろしかった。コンマ1秒の遅刻も許さず、私語厳禁、準備体操で1ミリでも美しくないステップを踊ると連帯責任でそのグループは最初からやり直しをさせられた。
 2学期か3学期の頃にグループでテーマを与えられ創作ダンスを踊るという課題があった。テーマと曲は4種類ぐらいあって、例えば生命、爆発などといった抽象的なもののような記憶がある。それに伴う

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わたしも、スキ。
3

軽さと重さ

存在の耐えられない軽さを読んだ。ただの恋愛小説ではなく、人間の根源、思想や言葉について、これでもかと投げかけてくる文体に普段いかに思考せずに暮らしていたかつきつけられる。
軽さと重さ、無知か博識か、楽観か悲観か、あらゆる二項対立を超え歩み寄ろうとするトマーシュとテレザ。

こんなことを考え、書き連ねることですら少し俗悪的なのではないかと軽い罪悪感を覚える。
一見フランツに対して不誠実(という言葉が

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