粉野瑠衣

片隅で書きます。

【短編】夢

先生へ  秋暑の候、いかがおすごしでしょうか。  最近よく夢を見るのです。私はどこかの温室にいて、色とりどりのバラが咲き誇っており、それらを眺め愛でています。 …

【短編】さらば、また会おう

 すがすがしいほどの快晴が続くが、朝夕は少しだけ季節が進んだかのような温度で、最後の休日が光の速さで過ぎ去る。  「もうヒナ、明日帰るんでしょ、荷物は?」少し苛…

平熱と微熱の間

 たまっていくウォッチリストの中で、何を観ようかな、と色々検索しているうちに、どういうわけだがふと知人が「“あなたのことはそれほど”が面白い」と言っていたのを思…

【短編】ワスレモノ

 ナツノシュウスケは8月31日になると思い出す。  それはもう暑さの峠も、宿題の峠も超えた、ある年の8月31日のことだった。もうこれ以上することのない日焼けも気にもせ…

【短編】晩夏

蝉と蜻蛉が交じり合う日。 僕はいつもどおり、すごして。 部屋の隅っこにあったギターを手に取って。 当てのない、途方もないメロディーをつま弾いて。 背伸びして買っ…

【短編】手紙

拝啓 夏の暑さが続きますが、お元気でしょうか。 私は元気です。気温が年々上昇していて、体温より暑い日もあります。 そちらは夏休みですね。 たぶん、周りはやれ海外旅…