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ラグビーワールドカップ2019を振り返って(前編)

RUGGERSオリジナルコラム
筆:廣瀬俊朗
1981年生まれ、大阪府吹田市出身
元ラグビー日本代表キャプテン
株式会社HiRAKU 代表取締役
NPO法人 Doooooooo 理事

ワールドカップ開幕を迎えて

 11月も後半。去年は11月2日に決勝戦があって、そのあともまだまだ余韻に浸ってましたね。テレビをつけたらラグビー選手が出ていたり、CMに出る選手も出てきて、日常にラグビーが溶け込みました。とても幸せな時間でした。僕自身の11月のカレンダーを見返すと、全国に行きながら色々と話をする機会が多かったですが、どこに行っても「ラグビーワールドカップ面白かったね!」「感動した!」と言って貰えて、忙しいけど充実した時間を送ることができました。

 ワールドカップが開催される直前までは「果たして盛り上がるのかな」「日本代表はどこまでいけるのかな」と正直どうなるのかと少し不安もありました。ですが、いざロシアとの開幕戦当日、本当に多くの方が日本代表のジャージを着て試合会場に来てくれて、日本では観たことがないような盛り上がりを見せ、ワールドカップが始まりました。あの時の光景はいまだに忘れられません。隣にいた五郎丸選手と感動していました。
 試合は、大きなプレッシャーの中で見事勝利。まずは良いスタートを切りました。すぐに南アフリカvsニュージーランドの試合があったりと休む間もないまま、次々と名勝負が繰り広げられていき、とても贅沢な時間が始まりました。

 日本代表の2戦目はアイルランド戦。アイルランドは初戦のスコットランド戦で強さを見せつけた印象。「日本代表どうかな、難しいかな」と正直思っていました。NHKの解説があったので、またもや五郎丸選手と一緒にエコパスタジアムへ。会場に入ってみると、日本代表の選手はチャレンジャーという立場で戦えることもあり、良い精神状態に見えました。選手たちの様子を見て、良い試合になるんじゃないかなとワクワクしてきました。
 試合前の国歌斉唱では、アイルランドアンセムも鳴り響きます。多くの日本人ファンもアイルランドコールを歌ってくれていました。敵であろうときちんとおもてなしをして試合を迎える。素晴らしい日本の文化が出来つつあるのではないかと思い、とても幸せでした。2月からScrumUnison(注1)を通じ、国歌を歌うことを提唱してきて、それが形になりつつあることもめっちゃ嬉しいなと思いました。
 実際試合が始まると、アイルランド優勢。このままやと厳しい、何か打開策が必要。と思っていたら、ナキ(注2)が怪我をしたので、マイケル(リーチ)が入ってきました。この時のマイケルがすごかった。激しいボールキャリーと強いタックルをしてすぐに立ち上がる様は、もはや何かが乗り移っているようでした。彼のプレーを感じて、日本代表が息を吹き返しました。その後前半35分のスクラムで日本代表がペナルティーを奪って、一気に流れが変わる。「もしかしたら行けるかも!!」という雰囲気が会場全体にも出てきました。その後は拮抗した状態の中でも日本代表がゲームをコントロールし始める。一方で、司令塔のセクストンを欠いたアイルランドは立て直せず、自ら崩れ出しました。後半の中頃、ついに福岡選手がトライを取って逆転。
 日本はそこからも安定したパフォーマンスを見せて、ラストワンプレー。相手は自らボールを蹴り出し、7点差以内の負けを選択することで勝ち点1を狙う終わり方を取ってノーサイド。一瞬なんで蹴ったのか分からなかったですが、頭をフル回転させて、「そうか次を見ていたんだ!」と納得しました。
 ここまで一気に書いてしまうほどのあっという間の80分間。日本はまた新たな歴史を刻んだ。そのまま余韻に浸りたいところでしたが、僕は翌朝のテレビ出演があったので、すぐに帰京。ホテルで一人で祝杯を上げました。

 この続きは、12月のコラムで!!


(注1) ScrumUnison…廣瀬俊朗・村田匠・田中美里で結成した、世界各国の国歌/ラグビーアンセムを、肩を組んで歌っておもてなしするプロジェクト。
(注2)ナキ…アマナキ・レレイ・マフィ選手

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(一人で祝杯を上げる筆者)

~後編に続く~


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