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廣瀬俊朗とラグビー Vol.4

RUGGERSオリジナルコラム
「廣瀬俊朗とラグビー」
第4章 引退後

筆:廣瀬俊朗
1981年生まれ、大阪府吹田市出身
元ラグビー日本代表キャプテン
株式会社HiRAKU 代表取締役
NPO法人 Doooooooo 理事

1.コーチ
2015年のワールドカップから帰国後、トップリーグを経て、引退。燃え尽きてどうしようかと思って、しばらくラグビーから離れることに。その際に、色々な人にお会いする中で、ラグビーをコーチの視点から見てみたいと思って、ブレイブルーパスのコーチになった。
この経験は人生にとって、本当に良いものになった。これまで感覚でやってきたものが、言語化されていった。また、自分がやるのではなく、いかにして選手たちに自主的に動いてもらう環境を作るのかは、とても勉強になった。そのために、選手に自主運営してもらう ために、ミーティングを、監督やコーチではなく選手たちに自分たちで進めさせたり、試合で使うサインプレーを選手と一緒に考えて決定していくことを心がけた。そのために事前に映像を送って、選手同士の会話の場が増えるように働きかけた。
2年間のコーチを経て、いよいよ日本でワールドカップが開催される2019年になった。このまま1社員として、ワールドカップを迎えて良いのか、自問自答した。日本代表選手は全てをかけている。中途半端やと後悔する。そうなると行動は早かった。2019年ならなんとか1年間はお仕事をいただける。そう信じて、退社を決意して、退路を絶った。


2.ドラマ出演
 会社を辞めたら、ドラマ「ノーサイド・ゲーム」の出演の話がきた。「ノーサイド・ゲーム」は、本当にタフなチャレンジであった。初めての役者、芸能界。わからないことがたくさんあった。でも、今まで見たことのない世界を見たいと思い、飛び込んだ。必死に練習して、一度もセリフが飛んだり、詰まって、やり直したことはなかったと思う。上手でなくても良い。ただ、一生懸命準備して、本気でやっていることだけは伝えたかった。
このドラマでもラグビーの力を感じた。ラグビー経験者が多かったので、お互い助け合うシーンが随所に見られた。「七尾」役の眞栄田郷敦さんにラグビーを教えることや、裏方に気を使う元トップリーガーがいる一方で、元トップリーガーに演技を教えるラグビー経験者の役者さんもいた。監督の福澤克雄さんがラグビー経験者だったので、僕たち初心者の不安を取り除いてくれ、うまく乗せてくれた。過酷な撮影スケジュールにも皆が前を向いてやりきることができた。幸い、ドラマも成功し、胸をなでおろした。


3.ラグビーワールドカップ
 ワールドカップでは、世界各国からレジェンドが来日。色々な話をする機会があった。彼らは日本ラグビーをリスペクトしてくれていた。僕らがラグビーを始めたころ、日本ラグビーは世界からのリスペクトを得られていなかった。30年間で日本ラグビーは大きく変わった。とても嬉しかった。また、アジア初のワールドカップがここまで盛り上がっていることにとても喜んでくれていた。
一方、日本人のことを考えると、皆が日本代表のジャージを着て、国歌を歌って、日本代表を応援してくれていた。僕としては、特に日本代表のキャプテンになってから描いていた理想の世界があって、感慨深かった。個人的には、世界中にまた友達ができて、最高の経験になった。


4.現状
 ワールドカップが終わって、トップリーグも開幕。順調に来ていたが、新型コロナウイルスの問題があって中止。今は世界が不安定である。とにかく今は、規律を守って、我慢の時。次に飛躍する準備期間。この問題が終わった時に、人々はスポーツがあることに感動するだろう。アスリートはプレーする喜びをファンに伝えてくれるだろう。その時の興奮や美しい景色を楽しみに、今を一生懸命生きていこうと思う。


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(筆者の近影)

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