ピアノの鍵盤は見たことがある_2019123017320000

第5回 ドレミを歌ってみよう

📚[📖楽典]五線譜
📚[🖋記譜法]五線譜
📚[🎵ソルフェージュ]読譜

 今回から数回に分けて、楽譜の読み方について勉強するよ。楽譜って言ってもじつはいろんな種類のものがあるんだけど、ここでは楽譜と言って誰もがイメージする、あの5本の横線におたまじゃくしを描いていく「五線譜(ごせんふ)」というものをやっていくね。

 ちなみに楽譜の書き方や読み方のことを「記譜法(きふほう)」と言うんだけど、数ある記譜法の中から、どうして五線譜が一般的になったのかと言うと、じつは15世紀頃のヨーロッパでは、扱う楽器や音楽ジャンルごとに楽譜の書き方が違っていたようなんだ。今と違って楽譜なんて誰もが見る時代じゃなかったから、それぞれが独自の記譜法で楽譜を書いていたから、ばらばらだったんだね。
 でも音楽家たちが世界を行き来して、おたがいの国や町の音楽が演奏されるようになると、共通の楽譜が必要になってきた。だって、自分の知らない記譜法で書かれた曲は演奏できないし、相手の人が知らない記譜法で書いていたら演奏してもらえない。こんなのでは困るよね。そこで、それまでに使われてきた記譜法の良いところをまとめていって、より洗練された楽譜の書き方を整理したんだ。それが今の五線譜のはじまりだよ。
 ヨーロッパ全土で使われるようになった五線譜は、今の言葉でいうところの「デファクトスタンダード」というものになっていった。つまり、たくさんの人や国が使うから、それ以外の地域にも広まっていったんだね。

 さて、五線譜って言っても、じつは何種類かあるんだけど、今回はその中でもよく見掛けると思う「ト音譜表(とおんふひょう)」について取り上げるよ。ト音譜表というのは五線の一番左側に「ト音記号(とおんきごう)」と呼ばれる大きな記号が書いてある、こういう楽譜だよ。

譜例_04_01

 この五線に書くおたまじゃくしにも、いろんな種類があるんだけど、それは次回に勉強するとして、そのおたまじゃくしの頭の部分が五線のどこに書かれているかで、何の音なのかを書き表すのが五線譜の記譜法なんだ。
 おたまじゃくしの頭。音符の頭だから「符頭(ふとう)」と言うよ。もっと簡単に「たま」という呼び方をすることもあるね。
 ちょっと算数みたいな言い方をするならば、五線譜はグラフのようなものだと思ってくれればいいかな。5本の横線は音の高さを表す目盛りで、符頭が実際の音の高さを示している。
 一部の鍵盤楽器では「C」記号が書かれていたりする、「ド」の音の位置はどこかと言うと…

譜例_04_02

 なんと五線の中には収まらないで、下にもう1本、線を引いてその上に符頭を書くんだ。
 ここでは一気に、1オクターブ上、2オクターブ上の「ド」の音の位置も覚えちゃおう。たった3つなんだから、すぐに覚えられちゃうよ。

譜例_04_03

 さっき五線はグラフみたいなものって言ったけれど、ふつうのグラフと違って五線には数字が書かれていないよね。だからパッと見ただけでは音の高さがわからないかもしれない。でも、この3つの「ド」の位置さえ覚えておけば、もう大丈夫。高い音が出てきても一番下の「ド」の音から横線を数えなくても済むようになるよね。楽譜が読めなくてつまずく人のほとんどは、五線のどこが何の音なのかわからなくていやになっちゃったということが多いんだ。

 ところで、この3つの「ド」の位置が書かれた楽譜をもう一度見てみよう。

譜例_04_03

 一番下の「ド」は五線のさらに下にもう1本、線を引いた上に書かれているよね。そして1オクターブ上の「ド」は五線の、線と線の間に書かれている。さらにオクターブ高い「ド」は五線の上に2本も線を引いて、その上に書かれているね。こんなふうに、五線では線の上か、線と線の間に符頭を書くことになっているんだ。

 5本の線には、下から順に「第1線(だいいっせん)」「第2線(だいにせん)」と名前が付いている。5本目の線は「第5線(だいごせん)」だね。そして、五線の線と線の間は下から順に「第1間(だいいっかん)」「第2間(だいにかん)」と言う。
 一番下の「ド」が書かれた線は「下第1線(しただいいっせん)」と呼び、もしこれよりも低い音が必要になったらどんどん下に線を書き足していって「下第2線(しただいにせん)」「下第3線(しただいさんせん)」と数えていくよ。
 「下第1線」と「第1線」の間を「下第1間(しただいいっかん)」と言い、これもさらに下になるにつれて「下第2間(しただいにかん)」「下第3間(しただいさんかん)」と数えていく。
 そうなると、2オクターブ高い「ド」が書かれた場所の名前ももうわかるよね。五線の上に2本の線を引いた上に書かれているから、これは「上第2線(うえだいにせん)」だね。

譜例_04_04

 この「第1線」とか「第1間」といった言葉を使うことはあまりないんだけど、「高いドの音」というよりも「第3間のドの音」と言ったほうが勘違いが少なくなるから、音階を説明する場面では使うこともある言葉なんだ。だから頭のすみっこに覚えておくといいと思うよ。

 そして、さっきの3つの「ド」の位置を覚えておけば、例えば上第1線に書かれた符頭があっても…

譜例_04_05

 上第2線のこの「ド」の音から数えれば、「ドシラ…」と逆に数えて、「ラ」の音だってわかるわけだよね。すごい! 楽器を勉強していてもすぐには読めないような高い位置に書かれた符頭がすぐに読めちゃうんだから!

 じゃあここでちょっと変わった曲の楽譜を紹介しよう。いろんなかたちのおたまじゃくしが書かれているけど、それは今は気にしなくていいから、符頭、つまりおたまじゃくしの頭の位置だけ読んでみよう。

譜例_04_06

 これは僕が知り合いの人と作った曲…というか歌でもあるんだけど、音がわかるかな。じつは音階を読むとこんな感じになるんだ。

譜例_04_07

ミレドミラレド ソシラレド
ソファ シミ ソファ シミ
ソファ シミシミ ソファ シミ
ミレドミラレド ソシラレド

見れど見られど 誹られど
ソファー染み ソファー染み
ソファー染み染み ソファー染み
見れど見られど 誹られど

 ソファーを汚しちゃったか何かしたんだね、あはは。そんな歌が浮かび上がるんだ。

 それじゃ、最後にこの曲の伴奏付きの楽譜と演奏を紹介するね。「ドレミファソラシド」全部が入っているので、新しいドレミの歌にもなっているし、ちゃんと曲になっているから歌うこともできるよ。伴奏の楽譜はまだ読めないかもしれないけど、これからこういう勉強もするんだっていう予習みたいな感じで眺めてみてね。
 今回はここまで!

譜例_04_08


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