第22回 ビートを感じてみよう
📚[📖楽典]拍子、小節、記譜法(拍子記号、小節線)、連符
📚[🖋記譜法]拍子記号、五線譜(小節線)、ドラム譜、連符
📚[🎵ソルフェージュ]拍子、複合拍子、リズム
📚[🛡音楽史]記譜法(拍子)
今回は前回勉強したドラム譜を読んだり、音を聴いたりして、リズムを感じてみようと思うよ。
説明がいまさらになっちゃうけど、「リズム」というのは、いろいろな長さや大きさの音が組み合わさることで生まれる音楽性のひとつのこと。「音楽の三大要素」と言ったとき、そのうちのひとつが「リズム」として挙げられる、重要なものでもあるよ。
それから、これは第23回できちんと説明する予定なんだけれども、音の大きさにはいろんなものがあって、演奏上のそれは、一般には「強弱(きょうじゃく)」と呼ぶんだ。ピアノのような楽器ならば強く鍵盤を叩いたり、フルートのような管楽器ならば強く息を吹き込んだりすることで音は大きくなる。これを「音が強い」という言い方をするよ。
リズムを作る上での音の大きさは、この「強弱」のことだと思ってね。
さて、それでは次のドラム譜を読んでみよう。
録音されたもののことを「音源(おんげん)」とも言ったりするのだけど、ドラム譜を演奏した音源も添えてあるので、そっちも聴いてみてね。
同じリズムが3回繰り返されているのがわかるかな。
ここから、次のような楽譜の切り方ができるよね。
四分音符を1拍と考えたとき、縦線で切ったそれぞれが4拍ぶん。言い換えると、それぞれが全音符1つぶんの長さになっているよね。
こんなふうに、ある音符の長さを基準としたとき、その音符をいくつぶんか繰り返してできるリズム感のことを「拍子(ひょうし)」と言うんだ。
「拍子」はそのまま単位として使えるよ。上の楽譜の場合、四分音符を基準とすると4つぶんの長さで繰り返されるリズムなので「4拍子(よんびょうし)」になるわけだね。
もっと正しく言うと、四分音符が4つぶんの拍子なので「4/4拍子(よんぶんのよんびょうし)」と呼び、楽譜に書くときはこんな感じになるんだ。
その拍子が始まるところに書くことになっているから、ふつう、楽譜では音部記号の次に書くことになるよ。
それから、拍子で切った縦線のことだけど、これは「小節線(しょうせつせん)」と言うんだ。
「小節線」で切ったそれぞれを「小節(しょうせつ)」と呼び、これもまた単位として使えるよ。たとえば曲の最初の小節のことは「1小節め(いっしょうせつめ)」、そしてこの楽譜の場合は全部で「4小節」あることになるわけだね。
拍子は四分音符の長さでとるとは限らないから、こんなふうに八分音符を基準にするものもあるよ。
この場合は「12/8拍子(はちぶんのじゅうにびょうし)」になるわけだね。
拍子を分数で書きあらわすときは、下に基準とする音価を、上にその音符がいくつぶんになるかを書くんだ。
つまりこの場合は八分音符が12個ぶんで1小節になっているってことだね。
ちなみにこの楽譜はこんなふうに書くこともできるよ。
さっきの八分音符3つぶんを四分音符1つぶんと考えたとき、4/4拍子と数えることができる。
でも、もちろん八分音符3つぶんの長さは、四分音符1つぶんにはならないよね。だけど、四分音符の音価を3つに切り分けることができるならば4拍子にできる。
こんなふうに、倍々以外の音価をもつ音符のことを「連符(れんぷ)」と呼ぶよ。この場合は3つぶんで1拍になるから「三連符(さんれんぷ)」と呼ぶんだ。
連符のことは、また別の機会に詳しく取り上げるけど、リズムを作る上で三連符はよく出てくるから覚えておいてね。
1拍が3つぶんに分けられるのと同じように、拍子も3拍になることもあるよ。
たとえば「ワルツ」と呼ばれる様式は、代表的な3拍子のリズムだよ。
こんなふうな「ズン、チャッ、チャッ」というリズムは聴いたことがある人も多いんじゃないかな。
その質問に答える前に、さっきの12/8拍子の楽譜を4/4拍子に書き直したときとは違って、今度のは小節線の区切りも違っていることに注目してほしいんだ。
僕がワルツのリズムとして3/4拍子で紹介した楽譜は「ズン、チャッ、チャッ」で1小節になっていた。質問の楽譜では「ズン、チャッ、チャッ、ズン、チャッ、チャッ」と2回ぶんで1小節になってる。
一般の音楽理論では、2拍子、3拍子、4拍子の3種類を基本の拍子だと考えて「単純拍子(たんじゅんびょうし)」と呼ぶんだ。つまり「4/4拍子」や「3/4拍子」は基本的な拍子だということだね。
これに対して、「12/8拍子」みたいなものは「複合拍子(ふくごうびょうし)」と呼ぶよ。同じ音価の音符が3つで1組になるような三連符に直せるリズムは、まとめて1拍とみなすことができるから、記譜上は12/8拍子でも、実際には4/4拍子と同じだと考えることができちゃう。4/4拍子に書き換えても小節線の位置は変わらないし、曲全体の音符の音価を均等に変えるだけになるよね。
複合拍子とは、こんなふうに「楽曲的には単純拍子と同じだけど連符を基準とした拍子でとっているから3の倍数になっている」といったものをさすんだ。
つまり、「6/8拍子」と言ったとき、ふつうは三連符が6つで2拍子として数えるもののことを呼ぶんだ。一般的な音楽の考え方だと、これは「ワルツのような3拍でリズムをとる様式」とは、もう別のものになっちゃうんだよ。だから、質問のような切り方をしたらいけない、というのが、ほとんどの音楽教室や音楽について書かれた本での教え方なんだ。
でも、それはそれとして。
僕は「良い」とも「悪い」とも言えないと思っているんだ。なぜって、結局は作曲者さんがどういう拍やリズムのとりかたをイメージしているかが大事だし、優先することだと考えているからなんだけどね。それに拍子のとり方は時代とともに変化してきた部分もあるんだ。
今はほとんど、四分音符を1拍と考えて基準にするから「8/1拍子」なんて楽譜を見る機会はまず無いかもしれないけど、倍全音符がひんぱんに使われていた時代には出てくる考え方だったし、バロック時代には24/16拍子みたいな複合拍子の楽譜もそんなに珍しくはなかったんだ。
というわけで今回はここまで。拍子について勉強したよ。楽譜に小節線が入って、やっと、よく見る楽譜っぽくなってきたね。
次回は拍子についての補講をはさんだあと、音の強弱について勉強するよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?