ピアノの鍵盤は見たことがある_2019123017320000

第15回 完全な音程って何だろう

📚[📖楽典]音程(完全音程)、ユニゾン

 前回は全音音階というものに触れて、導音を作ると増音程ができる、というところで授業が終わったよね。
 音と音が音階上、どのくらい離れているのかをあらわす言葉はいくつかあって、そのひとつが第2回と第14回で学んだ「半音」と「全音」なのだけど、ほかにも大事な数え方があって、それが「音程」なんだ。
 「音程」という言葉自体は前回出てきたけど、この言葉には大きく2種類の意味があって、ひとつは音の高さや音と音との離れ具合を漠然とあらわすこと。これが前回での使われ方だね。
 そしてもうひとつは、音階上の役割を込めて具体的に音と音との離れ具合をあらわすこと。今回から3回にわけて、これを勉強していこうと思うよ。

 さて、おなじみの長調(イオニアン旋法)の音階。音程では、この音階を基本として考えていくんだ。

ピアノの鍵盤_15_01

 まず、音程の数え方。単位は「度(ど)」を使うよ。
 ちょっと特徴があって、数え始める音を1として数えるんだ。0(ゼロ)は使わないよ。これは注意してね。つまり、同じ音同士ならば1度になる。オクターブ高い同じ音は8度だね。
 「ド」の音から数えたとき、隣の「レ」の音は2度。「ソ」の音は5度。ここまではいいかな?

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 つぎに、音程には5種類あって、それぞれ「長音程(ちょうおんてい)」「短音程(たんおんてい)」「完全音程(かんぜんおんてい)」「増音程(ぞうおんてい)」「減音程(げんおんてい)」と呼ぶ。「増音程」は前回の最後でちょっと出てきたよね。

 5つある音程のうち、今回は「完全音程」から勉強してみよう。これは特別な音程で、限られた音にしか存在しないんだ。
 具体的には自分自身の音。つまり数え始める音自体。もし「ド」の音から数え始めるならば「ド」の音自体。これは完全音程。だから正しくは「完全1度(かんぜんいちど)」と呼ぶよ。
 何が「完全」なのか、というのはちょっと置いといて、自分自身が完全音程ならば、オクターブ離れた同じ音も完全音程。つまり1オクターブ高い同じ音は「完全8度」だね。

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 そうそう、音程を数えるときは高いとか低いとか関係なく、あくまでも音の離れ具合、距離を数えるだけなので、1オクターブ低い同じ音でも「完全8度」。これも覚えておいてね。

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 もうわかると思うけど、1オクターブ離れていても、2オクターブ離れていても、それ以上であっても、オクターブ単位で離れた同じ音はみんな完全音程。
 さてここで問題。1オクターブ離れた同じ音は完全8度だったけれど、じゃあ2オクターブ離れていたら何度かな?

 16度…って答えたくなっちゃうところだけど、残念、不正解。0度というものが無くて、数え始めの音を1度とするのだから…、そう、完全15度と数えるのが正解なんだ。

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 ちなみに完全1度のことを「ユニゾン」、オクターブ単位で離れた同じ音のことを「オクターブユニゾン」というよ。

 完全音程にはあと2つあって、ひとつは5度。つまり「ド」から数え始めるならば「ソ」の音は完全5度だ。

ピアノの鍵盤_15_06

質問_2020012016400000

 よく気付いたね。こういうことだよね。

ピアノの鍵盤_15_07

 このことに気付いたならば素晴らしいよ、大正解。
 音程を数えるときは高いとか低いとか関係ないから、下のほうに数えていくならば「ファ」の音が完全5度。
 つまり「ファ」と「ド」の音の距離は完全5度、「ド」と「ソ」の音の距離も完全5度だね。

 そして「ド」の音から上のほうに数えていった「ファ」の音は4度。「ファ」と「ド」の距離が完全音程なんだから「ド」と「ファ」の音程も完全音程。つまり完全4度。これは「ソ」と「ド」の音でも同じだよ。

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 ここで、勘のいい人ならばわかったかもしれないけど、完全音程とは第11回で出てきた倍音の関係にある音のことなんだ。この図を覚えているかな?

五度圏_11_06

 もう少しあとになってあらためて触れるけど、倍音関係として完全だったんだ。
 「だった」と過去形で言ったのには意味があるんだけれども、これはまた別の機会にお話するとして、今は「完全にハモる」みたいに覚えておけばいいと思うよ。

 というわけで今回はここまで。
 次回は「長音程」と「短音程」について勉強するよ。あれ? 「長」とか「短」とか、どこかで聞いたことがあるような気がしないかな…?


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