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マスクの向こうの風景 #ハッピーになるかもしれない朝エッセイ

仕事を終えてオフィスのあるビルを出ると、速足で人気のないところへいって、マスクを外す。ひとつ深呼吸をすると、新鮮な空気とともに、閉じ込められた空間から、外の世界へ飛び出した解放感と安堵と高揚感が体の中を駆け巡る。
せき止めた時間が一気に動き出す。

7月のいまは、湿気と熱気のこもったオレンジ色の空気、
初夏は木々の青臭い緑色
春は舞い散る桜色
冬は鉛色の北風
秋の金木犀や刈り取って乾いた稲穂の黄色
どこかのおうちの晩御飯
エンジン音の大きな車の排気ガス
真っ赤な夕焼け
輝く月
いろんな色と景色の匂いがする。

当たり前を失くしたからこそ、自分が自然の中や、平和な人の営みの中で豊かに暮らしているのだと実感できるなんて、皮肉な話。でも、とても貴重な体験。

さて今日は、どんな風景が薫るのだろう。

あなたの街では、どんな匂いがしていますか?



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