シンガポール珍道中~2日目午後~古き良きもの
シンガポールの旅、お昼ごはんの時間。
今日のランチは、庶民の台所、ホーカーセンターで食べる。ホーカーセンターとは、簡単に言うと屋台村やフードコートのようなところ。
安くておいしいご飯を求めて、地下鉄に乗った。
駅のホームが見つからなくて苦戦。
マリーナベイ・サンズの地下から乗れるはずなのだけれど、探しても探しても「ホームC」が見つからない。駅員に聞いたら「この下だよ」と地下を指さすのだけど、地下に降りても「ホームD」しかない。広いマリーナベイ・サンズを上がったり降りたり。今度こそと期待して乗ったエレベーターは、階段数段分を降りただけで止まった。
お腹も空いてきて、「ここだってば!」「絶対違うって!」娘とのやりとりにも険が立つ。
果たして、Dより1階分深いところにCはあった。地下に降りるエスカレーターは2機あって、Cに行くには、改札から一番遠い、2階分を一気に下がる長いエスカレーターに乗らなければならなかったのだ。
改札はクレジットカードのタッチ決済で通過できる。Suica的なものは必要なかった。
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私のメインカードはJCBで、勇んで持っていったが、シンガポールでは使えなかった。VISAとマスターカードが最強。
余談だが、私のVISAカードは、楽天銀行のデビットカードなのだけれど、これが、私のような海外旅行に慣れない人間にとっては、結構優れものだった。
まず、デビットカードなので、使った瞬間銀行口座から引き落とされる。つまり、銀行口座に入っている分しか使えない。逆を言えば、もし盗まれても、口座に入っている分しか盗られない。旅行で使う分だけ入れておけば、無駄遣いの防止にもなる。(予備のクレジットカードも持っていったけど)
つぎに、現金をATMから引き出す際、クレジットカードのキャッシングではなく、自分の口座から現地通貨で出金できること。キャッシングではないので高い金利を取られない。
シンガポールはキャッシュレスの普及度が90%を超えている。空港で、念のために引き出した5000円分のシンガポールドルが、なかなか使えずに困った。小さな商店もフードコートもどこでもカードのタッチ決済で支払いできてしまう。レジで現金を出している人がいない。なので、「現金で」と言い出しにくくて、ついカードを使ってしまう。(慣れないお金を数えるのも面倒だしね)
3日目に行ったリトルインディアのスーパーマーケットで、なんとか全額使いきれてホッとした。
現地の方は、スマホ決済を使っている。何ペイなのだろう。
話を戻そう。
マリーナベイ・サンズから地下鉄で一駅。オフィスビル街を少し歩くと、ホーカーセンター「ラウ・パサ」がある。
さっきまで晴れていたのに、駅から外へ出るとシャワーのような雨が降っていた。でもすぐ上がった。
今日食べたいのは、海南鶏飯(ハイナンチキンライス)。
焼いた鶏肉と、白い鶏肉が選べた。ガイドブックに載っていた白いほうを注文。これで5ドル。約500円。安い!
鶏肉がふんわり柔らかい。なんといっても、鶏肉にかかっているソースが絶品だった。見た目よりあっさりしたしょうゆ味?で、あっさりしているのにコクがある。ソースをまとった鶏肉がおいしいのはもちろんだけれど、ソースがからんだご飯が、たまらなくおいしい。
ぱらりとした細長いお米なので、たくさん食べても胃にもたれない。日本のねっとりしたお米ならこんなに食べたらお腹いっぱいで苦しいと思うだろうが、全然そんなことはなかった。まるで、野菜を食べているような軽さ。
スープはチキンスープ。ほんのり漢方のような香りがした。
予備知識なしで、一口食べた娘の目が輝いたので、大優勝。
思わず、店のおじさんにサムズアップした。
「ふふん、当たり前だよ」と言わんばかりの得意げな笑顔を返してくれた。
お腹がいっぱいになったので、マリーナベイ・サンズのほうまで歩いて帰る。電車で一駅分なので、大した距離ではない。
次の目的地は、マーライオン公園。
シンガポールといえば、やっぱり「マーライオン」だ。
オフィスビル群から高級ホテル群の前を通り、マーライオン公園へ。
マーライオン公園は、湾を挟んでマリーナベイ・サンズの向かいにある。
人だかりの向こうに、いた! マーライオン。
「世界三大がっかり名所」なんて言ったのは一体誰だ!
マーライオン、すごく素敵。想像以上に大きい。神々しい。
まさにシンガポールの入り口の守り神といった風格。
何でも巨大で派手ならいいというものではない。日本の仏像も小さく簡素なものはたくさんある。だけど、どれもとても気高く崇高ではないか。
それと同じ空気を感じた。
いろんなもののスケールが大きいシンガポールだけど、神様の姿は、ちゃんとぎゅっと小さく堅実。
白く輝くマーライオンは、2023年にリニューアル工事を終えたばかりだそう。いいときに来られてよかった。
GoogleのAIが教えてくれた情報を載せておきます。
(厳密な考証は行ってません)
マリーナベイ・サンズまで歩いて帰ってきた。
喉が渇いたので、スターバックスでジュースを買って、フードコートで休憩。
ホテルに帰って、しばし昼寝する。昼間はやっぱり暑い。
ホテルの洗面所を見てびっくり。
バラバラに散乱していた私の化粧品が、整然と並べられていた。その上、下にタオルまで敷いてくれているではないか。なんという心遣い。清掃の方ありがとうございます。
このホテルが、ますます好きになる。
昼寝から起きると、もう夕方。
Grabでタクシーを呼んで、ホテルから乗り込む。
ここからは、私の行きたかったところへ行く。
ラッフルズホテル。
かの有名なカクテル「シンガポール スリング発祥のバー」である「ロングバー」でシンガポール スリングを飲むのだ。
ラッフルズホテルの館内には、宿泊客でなければ入れないけれど、庭園やホテル内のバーやブティックには一般の観光客も入ることができる。
クラシックなコロニアル様式の建物は、最近リニューアル工事を終えたばかりだそう。白い壁が光っている。
ロングバーの案内に従って、細い回廊を歩く。
宮沢りえさんと嵐の櫻井翔くんが、映画「謎解きはディナーのあとで」で会話していたのが、ラッフルズホテルだと思い出した。まさかロケ地に来られるとは、映画館で観た当時は思いもしなかった。
ロングバーは、回廊の2階にあった。
店内は夕方だけど、既に満席。(午前11時開店らしい)
入り口で「少し待って」と言われたので、ソファに腰掛けて待つ。お上りさんの日本人観光客の私たち、由緒正しいバーだけに、門前払いされるのでは? とヒヤヒヤしている。
10分ほどで、店内のカウンター席に通された。
メニューブックは、日本でロングバーのサイトから見てきた。
娘はお酒を飲まない。「バーで、私は何を飲めばいいのよ?」と言うので、「カクテルにもノンアルはあるよ」と教えておいた。日本にいるあいだに、どんなノンアルのカクテルがあるのか調べ、英語でどう言えばいいのかも予習してきたらしい。
メニューブックを渡されたが、すかさず「シンガポールスリング」を注文。娘が「ノンアルコールで何か」と言うと、「アルコール抜きのシンガポールスリングが作れますよ」との回答。そんな手があったのか。
店内を見渡してみれば、小さい子を連れた家族連れがたくさんいた。なるほど。ここでは、ソフトドリンクやノンアルコールのカクテルは、珍しいオーダーではないらしい。
このロングバーは大人だけのものではなく、だれもがリラックスして大切な時間をすごす場所なのだ。
子どもから大人、老人まで観光客、現地の人入り交じって、お酒とおしゃべりに皆夢中になっていて、とてもリラックスした雰囲気が漂っていた。
そう分かると、ここに来るまでの緊張が一気にとけた。
カクテルを作りながら、バーテンダーの男性が、
「日本からですか?」
「親子ですか?」
と気さくに話しかけてくれる。娘とのツーショット写真まで撮ってくれた。
こちらが、念願のシンガポールスリング。1杯39ドル。
見た目そっくりの、ノンアルコールのシンガポールスリング。
シンガポールの夕焼けをイメージしたといわれる、シンガポールスリング。
1915年に初めて作られた。
当時、女性が人前でお酒を飲むことはエチケット違反と考えられていた。そこで、ラッフルズのバーテンダー嚴崇文が、一見ただのフルーツジュースのように見えるのに、実際はジンやリキュールを混ぜたカクテルを作り出したとのこと。
ピンク色は、グレナデンシロップとチェリーリキュールの色。ジンベースでキリッとした味わいの中にパイナップルやライムなどのフルーツの甘みやうまみが加わったカクテル。めちゃくちゃおいしい!
日本で飲むシンガポールスリングより、フルーツジュースが多い気がした。
「初めて行ったバーがシンガポールのバーとは。私、かっこよくない?」と娘。
ポイ捨てに厳しいシンガポール、だけど「シンガポールで唯一、ポイ捨てが許される場所」が、ここラッフルズホテルのロングバー。
床に散らばるこれはなに?!
犯人は、おつまみのナッツ。食べ放題。
ピーナッツの殻を、床にどんどん落としていいシステムなのだ。
しかし、「床にものを落としちゃいけません」と教わっている日本人の我々、ついテーブルに殻を集めてしまう。だけど、そのほうが掃除の手間を増やすことになるので、郷に入っては郷に従えと、そっと手で払って床に落とす。「うーん、モヤモヤするー」と娘と言い合う。罪悪感との戦い。
でも、次第に慣れてくるもので、おしゃべりしながら、さらっと殻を落とせるようになった。
ほろ酔いで、いい気分。
帰りは歩いてショッピングモールを抜け、駅まで行って、電車でホテル近くの駅まで帰った。
今回はここまで。次回は夜編です。(多分、短いです)
これまでの旅行記はこちら。