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【リサーチ旅・鳥取】100年以上歌い継がれる鳥取のご当地ソング

6年ほど前、演歌の番組で鳥取・島根のロケが決まり、リサーチを頼まれた。島根は出雲大社のイメージなのでなんとなく構想が固まっていたが、鳥取には何があるのか想像がつかなかった。これは行って確かめてこなければと、自腹で行ってしまったことがある。

鳥取といえばご当地ソングの女王・水森かおりさんの「鳥取砂丘」が真っ先に浮かぶが、地元の人に聞くと、意外な答えが返ってくる。それは「ふるさと」だ。♪う~さ~ぎ追いし で始まる唱歌だ。作曲の岡野貞一氏が育った場所がここ鳥取で、少年時代に見ていた風景をイメージして曲が作られたという説がある。

そして、この曲が生まれた背景を教えてくれる施設が「わらべ館」だ。地元ゆかりの童謡や、昔懐かしいおもちゃが揃う公共施設。昭和15年当時の教室を再現したジオラマがあり、地元の小学生たちや観光客が社会見学に来ては、童謡唱歌を歌う。学芸員は、はいからさんのような袴姿。まるで昭和にタイムスリップしたような光景が見られる。

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ロケ当日は時間の都合で「わらべ館」には触れなかったが、個人的にはリサーチした中でここが結構面白かった。

今は「作詞家」「作曲家」と分類されるが、もっと昔はこの作詞家が「詩人」という分類だった。つまり、歌は歌である以前に、まずは詩だったはずだ。詩そのものとして、淡々と言葉に出して読むもの。そこに歌をつけるかつけないかは自由だったはずだ。歌をつけた結果、「ふるさと」は子どもから大人まで親しまれる名曲に生まれ変わった。唱歌「ふるさと」が初めて教科書に載ったのが1914年。もう百年以上歌い継がれている。若輩者の私が言うのはおこがましいが、百年歌い継がれる作品って、これからも生まれるんだろうか。

百年とまではいかなくても、50年歌い継がれれば十分名曲だと思う。30代の私が若手作家として番組に携わる令和の今、もし新たな曲が生まれてそれが50年歌い継がれればどうだろう。80歳になった老作家の私が「その曲が生まれたころの秘話を…」とか言って番組にしたりするんだろうか。私が今携わっている番組も、あと50年後「懐かしの映像」として使われたりするかもしれない。普段の仕事でも「貴重な財産を残している」という目線で取り組むと、日常が違って見えてくるものだ。


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