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人材紹介会社の取引ガイドラインってどうなってる?

こんにちは、RtoRの井川です。
 
前回のnoteでは「付き合うクライアントを選んでいますか?」をテーマに書かせていただきましたが、今回はそもそも「人材紹介社における取引基準」について書いてみたいと思います。
 
こちらの内容に関しては、私が見聞きしてきた範囲でのものとなりますので、各社の「線引き」は異なるという前提でお読みいただけると幸いです。
 

「取引ガイドラインは必要なのか?」


 
そもそも求人自体は「全件受理」の大原則があります。つまり、依頼された求人は基本的に違法性がない限り受け付けないといけないというものです。
 
しかし、例えば金融業界特化のエージェントに「ITエンジニア」を紹介して欲しいと言われても紹介できるわけがないですし、その逆も然りです。
 
ある程度各社の得意分野があるわけですから、全く扱いのない分野の求人を依頼されてもお互いに時間の無駄以外のなにものでもありません。
 
また、「扱えなくもないものの、登録者が受ける印象などを考慮し積極的な紹介を控える(=紹介しない)」という基準が各社にはあると思います。それが取引ガイドラインにあたると思います。
 

「積極的紹介することが難しい業界あれこれ」


 
では、人材紹介会社が積極的に取引しない業界はどのような会社があるのでしょうか?
 
まずは「風俗・エロ業界」です。そもそも風俗関連企業からの求人依頼自体は滅多に来ないのですが、問題はエロ業界です。
 
例えば今までの経験で言うと、
「一見すると普通のゲームや出版会社に見えるが、事業内容を深ぼっていくとバリバリの成人向けゲームや雑誌・出版事業で売上の大半が成り立っている」
「一見普通の飲食チェーン店に見えるが、裏ではキャバクラやホストクラブなど風営法に基づく営業を行っている店舗展開をしている会社」などがあります。
 
私の経験上、これらの企業は現在進行形でそのような事業を行っていたため、判明した時点で積極的な紹介は行わないことにしました。
 
例えば、有名な会社でDMMという会社がありますが、今では金融・ITなど多角的な経営をしており、様々なエージェントを使って中途採用をしていますが、いまだにアダルトビデオ配信による売上割合が大きいため取引を積極的に行っていないエージェントもあります。この場合、創業時のビジネスモデルや今の売上比率を見るのか、今と未来に向けた事業をみるのかで判断が分かれています。
 
同じように、昔はやっていなかったが、今は取引している業界としては、「消費者金融」があると思います。
 
一昔前は審査も緩く、高利で金を貸し、借りた金を返せず、複数の消費者金融で金を借り、借りた本人が追い込まれる印象が強かった業界です。
 
現在は、10数年前に法律が改訂されたのと、同時期から大手メガバンクなどが系列化したことで信頼度が上がったことなどから、大手エージェントなどでもメガバンク系など大手子会社の消費者金融会社との取引は始めているように思います。
 
最後に、パチンコ・パチスロ業界です。
特にパチンコ・パチスロホール運営などをしている会社と積極的に取引をしているエージェントは少ないと思います。三点方式の営業方法が明確に合法とされていないのが大きな理由だと思います。

 
一方で、パチンコ・パチスロを製造するメーカーや機械の中のソフトウェアやゲームを開発する会社などは取引対象になるのは、人材紹介を20年やってもなお不思議だと感じる部分です。パチンコ機器で上場している会社はありますが、パチンコホールで上場している会社はありません。そんなものなんですね。
 

「取引ガイドラインには社風や決裁者の価値観が反映される?」


 
これら以外にも人材紹介会社が積極的に取引をしない業界はあります。
しかし、人材紹介会社によっては、これらの業界とは全く取引をしないという会社もあれば、積極的に取引をしている会社もあります。
 
「社会的にも認知されている会社であり、積極採用中なのでどんどん紹介したい」

「積極的に紹介したら、一定割合の求職者は良い印象を持たない可能性があり、ブランドイメージを毀損する可能性が高いので積極的に紹介するのは止めておこう」とエージェントの判断もまちまちです。
 
この辺りの判断は、過去から現在にかけての業界の変遷、その時点における世論、その会社の業界内での位置づけやなど、様々な観点で判断しますが、決裁者の価値観も大きく絡んでくるためエージェントによって判断はまちまちです。
 
緩いエージェントもあれば、硬いエージェントもあります。
 
世の中には「必要悪」という言葉がありますが、「害があるから悪い」というならば、タバコや酒なんかもそれに該当するでしょうが、誰がJTやサントリーを取引停止と判断するでしょうか?いいえ、むしろ人気企業です。
 

「善悪で仕事をしてもいいんですか?いいんです」


 
個人的には、昔はイメージの悪い業界でも今は法律など整備がされて、イメージが良くなっている業界や、創業事業がイメージの悪い事業やサービスでもそこから脱却している会社(脱却しようとしている会社)などは応援したいと思いますし、一方で電通のような違法な長時間労働を強いる会社は、人材紹介のみならず求人媒体や派遣会社も含め、求人を不受理にすることもできると思います。
 
「大企業なら許される」、「金払いが良ければいい」などだけで判断していては、自分の仕事に自ら泥を塗るようなものです。
 
「ヒト」の相対的価値が上がる中で、人材業界がどの会社に注力するのか?
どのエージェントはどの企業と取引をしているのか?という点でもそのエージェントのカラーが出るかもしれませんね。
 
人材紹介の仕事は、自分の価値観を出たところでは勝負できない仕事だと思います。

自分の価値観を磨き、世の中の動向を学び、何が正しいかを鋭く見抜く力が欲しいです。

 
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