クライアント担当制とキャンディデート担当制、どっちがいいの?
こんにちは、RtoRの井川です。
人材紹介は色々なやり方によって分類することができます。その一つが、「クライアント企業を主に担当し、クライアント企業が求める人材を探すことに重点を置いたクライアント担当制」と「求職者(キャンディデート)ごとに担当がいて、求職者にあった企業を紹介していくキャンディデート担当制(キャンディデートオーナーシップ)」です。
更には、キャンディデート担当制でありながら、特定の取引企業に対して母集団形成を強化しているキャンディデート担当制を取っている人材紹介会社もあります。
例えば、コンサル領域やM&A、ITやベンチャー領域など、その領域でそもそも優秀な方が少ない、若しくは、その領域に転職する人が少ないけど、企業側からのニーズが熱烈にあるマーケットなどの人材紹介会社はそのようなやり方をとっているケースもあります。
では、それぞれのやり方においてのメリット、デメリットはどのようなものがあるでしょうか?
「クライアント担当制のメリット、デメリット」
クライアント担当制と言えばJAC Recruitmentが真っ先に思いつきます。JAC Recruitmentは両面で人材紹介を行う会社としては日本最大の人材紹介会社ですが、その顧客担当方法がクライアント担当制です。
そのため、基本的にはコンサルタントごとに担当するクライアントがあり、そのクライアントから依頼を受けたポジションが決定すると、担当コンサルタントの売上として計上されます。
クライアント担当制のメリットとしては、複数名、若しくは会社全体で担当するのと違い、全てのプロセスは担当者自身が行うことになりますので、その担当者に全ての情報や集約され、求職者担当制よりも1社に対する理解が深まることが考えられます。
1社を1人で担当するのと、1社のクラアントを10人で担当するのとでは、10人で担当したほうが情報量は多いと感じる方もいるかもしれませんが、結果的に10人分の情報が各人に共有されていればの話で、どうしても複数名、若しくは会社全体で担当している状態だと1人1人が持つ情報量は薄くなってしまいます。
クライアントの理解度が上がるタイミングとして考えられるのは、①採用部門にヒアリングをする、②社長や役員と繋がりを持つ、③内定フェーズまで数多く経験する、などのケースが考えられますが、どの項目も1対多数よりも、1対1の方が粒度の高い情報を得ることができることが多いと思います。
一方、デメリットとして考えられることは、求職者へのフォローが手薄になり、自分が担当するクライアントにマッチしないキャンディデートにはフォローしなくなる可能性があります。
また、中長期的に転職を検討したいケースなどにも不向きかもしれません。あくまで求人ベースでのマッチングを想定していますが、「今動かない求職者」に対しては、関心度低くなってしまいます。
「キャンディデート担当制のメリット、デメリット」
他方で、キャンディデート(求職者)担当制の場合、求職者ベースで案件をマッチングしますので、その求職者に紹介できる案件の幅も広がり、自分が主に担当する企業以外で転職が決まっても、その求職者を担当するコンサルタントに売上が計上されます。
そのため、社内で保有している全求人は紹介の対象になり、コンサルタントも「自分の求人」「他人の求人」と区別することなく案件紹介をフェアに行えます。
また、上記のような中長期で転職を検討している求職者に対しても、長期的にフォローした分、自分の数字として還元されますので、クライアント担当制よりもフォローする動機になります。
昨今、求職者獲得が最大課題の一つとして考えられている人材紹介業界においては、求職者との関係性を強化して、売上を最大化する動きは今後も続くのではないでしょうか?
一方、キャンディデート担当制のデメリットとしては、求人企業は会社が元々保有していたりしますので、個人として法人開拓への意識が向きません。
また、個のコンサルタントとしてクライアント企業の社長にアポを取ろうとか、採用部門長に会いに行こうといった、法人営業活動に手薄になりがちです。
そのため、キャンディデート担当制をとっているエージェントは、決まりやすい注力企業への紹介が多くなり、新しい顧客層の流入が少なく、特定の取引先に依存してしまう傾向もあります。
「それぞれのデメリットを解消するために」
このように、クライアント担当制もキャンディデート担当制もデメリットがあります。そのようなデメリットを解消するために、下記のような取り組みをされている会社もあります。
1、売上の分配を考慮しどちらかに偏らないようにしている
→例えば、決まったクライアント担当者と求職者担当者で売上を案分する(50:50)や、キャンディデート担当制だが求職者側に70%、企業担当者へは30%など
2、新規クライアント開拓社にはインセンティブが入る
3、社内(他者)との成約決定数に応じて賞与でプラス査定される
4、社内(他者)で発生したコラボレーション数が評価される
5、大手企業や特定の企業のみキャンディデート担当制にして、それ以外はクライアント担当制にするなど、各コンサルタントがマーケット開拓に取り組む土壌を作っている
など、上記以外にも様々な取り組みをして、最大限の成果が出るように工夫をしています。このようなことを考えるのも営業戦略上非常に重要なことです。
個人においては、どのような担当制を取っている人材紹介会社で働くかによって身につくスキルも変わってきます。法人営業力を高めて成果を上げたいのか?個人に寄り添って成果を出したいのか?バランスよくやりたいのか?など、どの人材紹介会社に転職するかを考える際の参考していただければ幸いです。
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