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弁理士の仕事、楽しいよ

弁理士を目指したきっかけ

私が弁理士登録をしたのが2003年11月なので、弁理士になって18年になるみたいですね。弁理士になる1年前に、特許技術者として特許事務所に入りましたので、特許の仕事にたずさわって20年近くになります。

大学卒業後は、化学メーカーの開発職についていました。はじめから弁理士になろうと思っていたわけではありません。企業で仕事をするうちに、いずれは独立したいと思うようになり、理系の知識が活かせて、独立できる職業はないかな? と探して見つけたのが弁理士の仕事でした。

特に知り合いに弁理士がいたわけでもなく、十分な情報もないまま、また、自分に向いているのかも分からず、若さゆえの思い切りの良さで、この業界に飛び込みました。

実際に特許事務所に入ってみて、思いのほか、自分には水があっていて、楽しい仕事だと気づきました。天職なんでしょうね。

中間対応ばかりの修行時代

特許の仕事でのキャリアのスタートは、大阪の特許事務所から。

多くの特許事務所では、未経験者は、中間対応から業務経験を積んでいくことが多いと思います。私もそうでした。日本の拒絶理由通知、拒絶査定だけでなく、米国、欧州、中国など諸外国のOAも経験をさせていただきました。

これは特許にするのは厳しいかなと思うものでも、自分で対応案を考え、クライアントからOKをもらい、そして特許になる、というのは、本当に楽しい経験です。

拒絶理由通知を読んだ瞬間は、「審査官殿のおっしゃる通り。これは無理だよ!」とあきらめそうになるわけですが、それでもあきらめずに考え続けてると、ふと、ひらめく💡瞬間があります。このひらめきが出てくる瞬間がすごく快感であったりします。これを文章に落とし込んでいる時は、アドレナリンがあふれ出します。

あるとき、厳しい拒絶理由通知が届いて、「これは特許にするのは難しい」とクライアントの知財担当者があきらめかけていた案件があったのですが、上司から、あきらめるかもしれないけど、念のため、意見書を書いてみてと。

もてる力を振り絞って、渾身のストーリーを作り上げます。

そうすると、その意見書を読んだ知財担当者の方から
「特許になりそうな気がしてきた」

これは、本当にうれしかったです。

文章1つで、特許にできないと思ってた人に、特許になりそうと思ってもらえたわけですから。練り上げた文章、ストーリーには、それだけの力があることを体験することができました。また、この仕事をやっていくうえでの自信にもなりました。

この時に感じた楽しさって、実は、今でも続いています。

うちの事務所では、毎週火曜日に、特許庁からの発送書類を受け取るのですが、実は火曜日が一番楽しみだったりします。特許査定、特許審決がくると嬉しいですし、拒絶理由通知、拒絶査定がくると、よしやったるぜ! となります。

独立してから明細書作成に苦労した話

大阪の特許事務所に2年弱、お世話になります。その後、新商品や新規事業の開発のコンサルティング会社に就職。そのタイミングで、東京にでてきました。このコンサルティング会社でもたくさんのことを学ばせていただき、その後、独立します。

実は、大阪の特許事務所時代、業務のほとんどが中間対応だったのですね。明細書を担当したのは、おそらく10件くらい。それもクライアントさんから届いた明細書案を修正することがほとんどだったので、ゼロから明細書を書いたのは2件ほど。

なので、独立してから、すごく苦労しました(汗)。
最初は、クレームを書くのも2日くらいかかっていました。
まったく筆がすすみません。椅子に座って、時間だけが過ぎていきます。
目の前には、ほぼ白紙状態のMicrosoft Word。

(こんなところに書いてしまってよいのか悩みましたが、)修業時代に化学案件しか担当してなかったのに、独立して初めてソフトウェア案件を受けたりしていましたから(汗)。

ごめんなさい。

クライアントさんに育てていただいたと思います。
ありがとうございました!


自分で満足のいくクレームが書けたときは、嬉しいですね。1つの製品は、複数の発明が組み合わさってできていることが多いです。そこに複数の発明があることに、発明者が気付いていないこともあります。それらの埋もれそうになっている複数の発明を見つけ出し、クレームとして言語化していく。

それらの生み出したクレームを、中間対応で大切に育てて、特許にしていきます。特許になった結果、お客さんにも喜んでいただけますし、自分もうれしいですしね。


この仕事をはじめてから20年近く経つわけですが、実はいまだに、自分の実務力が伸びていることを感じます。まだまだ伸びしろがありそうです。なので、飽きることがないですね。

世の中には優秀な人がたくさんいて、twitterやYOUTUBEを通して、同じ業界の優秀な方々からたくさんの新しい発見をいただいています。そういった新しい知識、情報、知恵を自分なりに納得できるまで考え、実務に落とし込む。そうすることで、昨日よりもできることが増えていきます。

今までできなかったことができるようになる、
今まで気づけなかったことに気付けるようになる、
いまだに、そんな自分に気付ける瞬間があります。

それは楽しいですよね。
20年近く経ったいまでも、それを感じることができるって、けっこう幸せじゃない? と自己満足かもしれませんが、思うわけです。

まとめ

一時期と比べると、弁理士試験の受験者数は3分の1になっているようです。特許事務所に就職する人も減っています。

でも特許事務所の仕事は楽しいですし、やりがいもあります。是非、一人でも多くの方に、特許業界(できれば、特許事務所)に来てもらいたい。

とりとめもない文章になりましたが、
この記事が、弁理士の仕事に興味を持っている人に読んでもらうことができ、ほんの少しでもいいので、「弁理士の仕事は楽しそうだな」とか「弁理士試験の勉強、頑張ろう!」とか思ってもらえるといいなと思い、書かせていただきました。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

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