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アカデミストのこれまでとこれから - 2020年以降は研究パトロネッジの多様化を進めます。

こんにちは!アカデミストの柴藤です。

このたび、1年間入居していた大手町のコワーキングスペース「Inspired.Lab」を卒業し、新しいオフィスに移転することになりました。2020年1月からは、西早稲田を拠点として業務に取り組んでいますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください(早稲田大学理工キャンパスから徒歩3分の位置です)。

アカデミストはこれまで研究者と研究者を応援する方々をつなぐために、2014年4月より研究費獲得に特化したクラウドファンディングサイト「academist」を運営してきました。立ち上げから6年弱で、およそ150件の研究プロジェクトに1万1,000件・1億2000万円以上の支援が集まりました。2018年11月には大学院生を継続的に支援する月額課金制のファンクラブ型クラウドファンディングを、2018年12月には企業マッチング型クラウドファンディングをスタートしました。2019年8月には学術系クラウドファンディングサイトとしては世界一の規模を誇る「Experiment」との連携を開始しました。また、2015年10月に立ち上げた学術系Webメディア「academist Journal」は、研究者自らが研究成果を一般向けに発信する場としてご活用いただいています。2019年末時点で掲載されている研究コラムや研究者へのインタビュー記事は500本以上にのぼります。大学や研究機関、企業様とのタイアップ記事の制作・掲載も行っていますので、ご関心のある方々はぜひご連絡ください。そして2020年。アカデミストは研究者支援をより一層加速するために、新たなMisson・Visionを掲げます。

Mission:研究者がいきる、私たちがつなぐ。

「academist」と「academist Journal」を運営するなかで、研究者ではない方々からは「募集を終えたプロジェクトに支援したい」「自社メディアでacademistにチャレンジしている研究者を取り上げたい」というような声を、研究者の方々からは「共同研究を見据えた議論をしたいので研究者を紹介して欲しい」「研究内容に関心があるので研究室セミナーに呼びたい」というような声をいただきました。企業の方々からは「最先端の研究内容を分野横断的に知ることができるので大変ありがたい」という声をいただくことも増えてきています。アカデミストが研究者と研究に関心を持つ方々との「つなぎ役」として少なからず機能していることの表れだと実感しています。

その一方で、研究者の存在はまだまだ社会で十分に知られていないと感じています。研究者と研究に関心を持つ方々が最適につながることができれば、クラウドファンディングで研究費が集まりやすくなったり、メディアの取材につながったり、分野融合型の研究を進めるきっかけが生まれたり、企業との共同研究につながったりなど、研究が発展する可能性が広がります。

私たちアカデミストは、研究者が従来のコミュニティを超えて多様なステークホルダーとつながり、より一層いきる仕組みを構築するために、「研究者がいきる、私たちがつなぐ。」をMissionに掲げます。

Vision:開かれた学術業界を実現し、未来社会の創造に貢献する。

大学院生の大学院生による大学院生のための異分野交流会

私は大学院生の頃、大学や分野の枠を超えて研究交流を行う大学院生対象の「異分野交流会」を運営していました。ここでは、他の大学院生の研究内容について詳細まで理解することではなく、研究で最終的に明らかにしたいことや解決したい課題、研究で一番面白いと感じるところなど、研究の大枠について共有することを目的としていました。

異分野交流会には、世界中を見渡しても数人しかいないニッチな研究対象を突き詰めている大学院生や、研究をはじめて数ヶ月で世界的な研究成果を出している大学院生などが集いました。具体的なプロジェクトが生まれたわけではありませんでしたが、研究交流を通じて、大学院生たちが自身の研究にフィードバックできる発見をしていたことが最も印象的でした。この経験は、アカデミストの理念を構成する重要な要素になっています。

アカデミストの立ち上げ

異分野交流会の体験から、私の中で研究者の魅力をインターネットを通じてより多くの人たちに届けたいというモチベーションが芽生え、academistを立ち上げました。当初はオンライン版異分野交流会を実現するために、研究紹介動画が集まるメディアを作っていたのですが、研究者の課題解決につながりにくいことに気付き、早々に断念しました。その後、研究を魅力的に発信すればするほど研究者の課題解決につながる方法はないかと考えているうちに、当時流行しはじめていたクラウドファンディングの考えかたにたどり着きました。学術業界でクラウドファンディングが使われるようになれば、研究者は研究費獲得の選択肢が増え、支援者は研究とつながり最先端研究を知る機会が生まれる。そして基礎研究費が不足しているという社会課題解決にもつながる「三方良し」が実現できると考えました。

さまざまな困難はありましたが、本当にたくさんの方々に支えていただいたおかげで、サービスは着実に成長してきており、冒頭に記載した実績を残すことができました。この5年9ヵ月で、実にさまざまな分野や立場の研究者や大学・研究機関の方々、産業界の方々と研究内容や研究環境に関する意見交換の機会をいただいたことや、大学や研究機関、イベント等で講演させていただいたことで、日本の学術業界の現状について多角的な視点から捉えることができました。これらの体験から気付いたことは、革新的な研究は専門領域や業種をも超えたコラボレーションから生まれるということであり、協働を生み出す方法論を確立させることが、日本の学術業界を活性化させるためにも、日本発の研究に独自性を持たせるためにも重要になることを確信しました。

「研究者プロデュース力」でコラボレーションを実現する

そして、研究者が「研究の魅力」を語ることはコラボレーションの第一歩として効果的であるように考えています。学術業界に限定した話ではありませんが、誰かと一緒に仕事をするときは、研究に必要なスキルはもちろん、スキル以上に一緒に働く人との相性やビジョンの共有が重要になります。そこが一致しなければ残念ながらコラボレーションはうまくいきません。研究の魅力を語ることにより、研究者自身の人柄やその人が持つビジョンを同時に伝えていくことで、協働の第一歩につながるのではないかと思います。

しかし、専門外の人たちへの説明に苦手意識を感じている研究者が多いのも事実です。私たちアカデミストの役割は、情報を届ける相手によって研究や研究者の魅力の伝えかたを設計し、的確につないでいくことです。私たちのコアバリューは、この「研究者プロデュース力」だと考えています。これまでの5年9ヵ月は、主にacademistやacademist Journalを通じて「研究者」と「研究ファン」をつなぐ取り組みを進めてきましたが、2020年からは既存サービスに加えて「研究者」と「企業」をつなぐ仕事も進めていく予定です。そして最終的には、異分野や異業種とのネットワークと学術業界を掛け合わせ、化学反応が生まれる場をつくり、新しい知の源が生まれ育つ基盤を作っていきたいと考えています。

運営費交付金の削減や選択と集中の施策により、研究アイデアを形にする機会はもちろん、研究アイデアが生まれる機会も減少してきているように思います。しかし国の財源が有限であり今後大幅増加の見込みが少ないことを考えると、民間で研究資金が流れる仕組みを時間をかけて作ることが必要です。

私たちアカデミストは、国だけではなく、国と民間企業、財団、個人などさまざまなパトロネッジが実現する仕組みを作ることで「開かれた学術業界」を実現し、いつの時代も未来社会の基盤を構築してきた研究者たちが最大限活躍できる世の中をつくっていきます。

研究者や支援者のみなさま、そして大学・研究機関や企業関係者のみなさま、私たちのVision「開かれた学術業界を実現し、未来社会の創造に貢献する。」の実現に向けて、ぜひアカデミストにご協力いただければ幸いです。

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