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自分と家族のキャリアを長い目線で考える

あけましておめでとうございます。年末からひどい風邪を引いて家族でダウンしています。年末年始の大阪、めちゃ寒かったです。少しだけ良くなったので紅白(録画)を見て、年末に書いていた記事だけシェアします。2018年は、自分のキャリアと家庭の両立についてもよく考えたのでそういう話です。

人生とキャリアについて最近考えていることは、キャリアの成功と「自分も家族も幸せだった」「人生で得たいものの多くが得られた」ということはまた別なんじゃないかというベタなことです。きっかけとしては、昨年後半に自分の仕事の高繁忙状態が続いたことや子供達の喘息・風邪が2〜3ヶ月ループで重なったことで嫁さんがパンクしてしまったことでした。自分が転勤族で子供も小さいので元々就労意欲の高い嫁さんに専業主婦をしてもらっている訳ですが、「私のキャリアを返して欲しい気持ち。早く働かせてほしい」と切実に訴えられたこの時の話し合いで「自分がいくら外で仕事をバリバリやっていても家族が幸せとは限らないんやな(むしろ全く別問題なんやな)」としみじみ思ったのでした。そして、自分はこれまで10年間仕事も勉強も思い切りやらせてもらったので、今なら仕事のアウトプットを落とさずに家族にリソースを割くことは多分できるんやろなと(そういう働き方も今少し追い風でもありますし)。

それ以来、ビジネスだけのサクセスストーリーを聞いても「ほーほー」とは思うものの、背景としてのご家族との関係とかご家族の心境とか、ご本人の人生全部の満足度とか、そんなことを常に考えてしまうようになりました(もちろん、両立されている方も多いのでそれぞれ非常に参考になります)。原則として人生のポートフォリオをどう分配するのかは個人の自由ですので良し悪しの話ではありません。ただ「ビジネス以外に各人が抱えている問題って人生の大問題であることが多いのに、表立って語られることは多くないですよね(だけれどほぼ全ての人が抱えていることですよね)」ということをもやもやと考えています(下記に紹介した一作目に思い切り感化されていますが)。

思い返してみると、上記のことは過去にも「奥さんがうつ病になっても看病とキャリアを両立させました」という話(美談)を読んだ時に感じたもやもやとか、その昔女子サッカー日本代表の方が居酒屋バイトで生計を立てている話を聞いた時に感じたリスペクトとかにも通じることでもあり、自分の中で度々浮かんでは消えてきたことなのかなと思います。

自分の接する情報が偏っているだけの可能性もあるので、あくまで主観的な感想として受け止めて頂きたいです。ただ「幸福学」のブームもあったりして、似たことを考えている方も多いのかなと思っています。こうして書いてみると、ちきりんさんのどの本かに書かれていた「人生のポートフォリオ」の話そのまんまなのですが。自分としては今後深掘りしていきたい分野だと思っています。少しずつ補記訂正していきます。

※以下、書籍紹介です。

◆仕事と家庭は両立できない?(アン=マリー・スローター)

育児に疲れ果てた嫁さんがはよ復職したいと話すのを聞いて、あれこれ考えつつ読んだ本。2017年のベストセラーだそうです。
オバマ時代にヒラリー国務長官の中枢スタッフとなり「バリバリ働くお母さん」の象徴だった著者が、「思春期で荒れた息子2人を置いて単身赴任して働くのはさすがに無理だった(なので2年で辞めて大学教授に戻った)」とストレートに振り返るところから話は始まります。

要は、なんだかんだ言っても同時にやれることは限られているので、長いキャリアを家族やパートナーと一緒に考えてお互いに時々休んでサポートし合う等の柔軟な働き方をしたほうが叶えられることも多くなりますよね(だから専業主夫がハイキャリアの女性を支えることがあっても珍しいと思わないとか、子育てや介護を理由に一度転勤を断った従業員がいてもまたタイミングを変えてチャンスが与えられるとかが当たり前の社会にしたいですね)という話。殆どの人が会社の仕事以外に家庭でやらないといけないこと(これが原タイトルのUnfinished Business)を抱えているのに、それをオープンに語られることは少ないという話に共感しました。

自分のunfinished businessに今後どう関わっていくかだけでなく、例えば職場メンバーの今後のunfinished businessはどんなことになっていくか等についてを考える上でも大変参考になる本でした。Amazonのレビューだけ読んでもなかなか興味深いので是非どうぞ。(18.11.18)

◆OPTION B (シェリル・サンドバーグ)

リーン・インで有名になった働く女性の代名詞、Facebook COOのシェリル・サンドバーグさんが、私生活でご主人を亡くして周りのアドバイスに深く傷つき、そこから少しずつ立ち直っていった経緯を振り返っていった本。ビジネス面では明快さ・アグレッシブさのイメージがある著者が、傷つき苦悩する姿は非常に赤裸々で胸に響くものがありました。そして著者が受け止め乗り越えた喪失感や人間関係での疎外感、健康不安といった人生の問題に比べたら、仕事そのものはほんま人生のごくごく一部のことだったのだろう(むしろ問題としてはシンプルなほうだったのだろう)とも思います。自分自身だけでなく、仕事で接する人の数だけ人生の問題があるということをよくわかっておかなあきませんね。

友人の深刻な問題には「何でも言って」という漠然とした声かけよりも具体的な提案とアクションを、自分の深刻な問題にはユーモアを、といった話も参考になりました。(17.10.1 一部改)

◆転職の思考法

2018年のAmazon年間Kindleランキングトップ10にも入ったベストセラー。転職を考えなくても是非読んだほうが良いと思う本です。一言で言えば、「会社にしがみつく」思考から「キャリアチェンジも選択肢に持った状態で、今できる経験をする為に思い切り働く」思考へのマインドチェンジを促す本です。そして、後者のような(自分を保守する必要のない)マインドセットを持った人が集まる会社こそ、強い会社になれるんだろうと。就活の時に「本命だけでなく、色々な会社を見た上で志望したほうが説得力がある」という話を聞いたことがありますが少し通じる部分がありますね。

冒頭の人生とキャリアの話に結びつけて考えると、キャリアの目標を「自分と会社(会社でどう評価されるか)」に限定せずに「自分と社会(社会に自分が何をしていきたいのか)」の中で設定することで意思決定での迷いを減らしたり、時に柔軟なキャリア選択も可能になるのではという話でもあります。

考え方として非常に共感する部分の多い本でしたし、未読の方には「転職」というワードに過剰反応せず読んでみることを是非オススメします。20−30代の若い世代のキャリア観にも触れられるかもしれません。(18.12.31)

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