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音楽に救われ、笑いで救う

"ラジオパーソナリティ"とはよく言ったもので、一つのラジオ番組を長年聴き続けていると、その人のパーソナルな部分に詳しくなっていく。

自分の家族よりも、会ったこともないラジオパーソナリティの方が趣味嗜好や「この場面ではこう出るな」といった先読みが容易な瞬間もある。

自分が毎週聴いているラジオ(20番組ほど)の中でもトップクラスに好きな番組の一つではお笑いコンビが毎週深夜に2時間の放送枠を持っている。

若手の頃は大手事務所に所属していたがその後独立し、事務所の力がほとんどない状態でも現在までテレビのレギュラー番組が途絶えることもなく、二人とも50代後半に突入している男性コンビだ。

もう一つ特徴的なのは、それくらいの年齢になるとテレビ番組のMC業が中心となる芸人も多い中、彼らは今もテレビのネタ番組も事務所ライブもこなす、バリバリの漫才師でもあるということ。

それゆえにラジオ番組の冒頭の話題でもネタ作りに関する裏話を語ることも多い。

事務所を独立しているせいか、現在もネタ作りの手法が我流もしくは手探り状態で、「コンビのネタを作る方」からすれば相方・作家・マネージャーに対して不満は多く、それを笑い話に変換して語るものの、あくまで変換前は不満だらけの状態なので、ストレスがはっきりと滲み出ている。

さらに彼らに追い討ちをかけるのは、世の中が求める「お笑いの形」が長い芸歴の中で時代とともに変化していて、傷つけないお笑いであったり、相方イジリにしても差別用語が使えず、従来の芸風が通用しない、と言うより従来のままテレビで披露すれば問題視されてしまうのだ。

だからこそ漫才やコントを回避しMC業に方向転換する芸人さんがいるのも頷けるし、それでも苦悩とともに漫才を続ける彼らのことを自分は尊敬している。


ラジオ番組の冒頭はフリートークだが、ネタを作る方は「語気は荒いが、荒すぎることで笑いに繋げるスタイル」もう一人は「沸点は高く呑気だが、相方に行きすぎた発言があれば普通に怒ってしまう性格」ゆえに公開喧嘩に近い瞬間にもたびたび遭遇する。


時折心配になるそんな2人だが、今週の放送では仲良く和気あいあいとしていた。

コンビ揃ってファンを公言する(以下敬称略)桑田佳祐と、佐野元春、世良公則、Char、野口五郎の同い年5人が勢揃いし、チャリティー・ソング「時代遅れのRock’n’Roll Band」が配信リリースされたという話題だ。

パーソナリティの芸人2人にとっては10歳ほど年上で、桑田佳祐のみならず若い頃からずっと聴き続けてきたそれぞれのミュージシャンが2022年に初めて一堂に会し 一つの楽曲でコラボレーションする。

しかも、時代の変化に苦しむ2人へ宛てたかのような「時代遅れの」というワードが盛り込まれている。

今までも、桑田佳祐が楽曲をリリースするたびに2人が楽しそうに話すことがあったが、今回のことはさらに2人にとって大きな励ましとなり、活力となったようだ。

「(この曲のように)俺たちは俺たちのやり方で良いのかな」と1人は語り、「もう既に何回も聴いてるけどね」ともう1人は笑いながら曲紹介をし、楽曲がオンエアされる。


自分はあまり知らないミュージシャンたちの、その時初めて聞く楽曲が流れている間、なぜか目から涙がこぼれていた。

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