昔に戻りたい
私はいつだって前になど進みたくない。
いつも昔に戻りたい。
できたら2歳くらいの、自由で何をやっても許されていた時期に戻りたい。
夢を毎日見て、忘れて、その繰り返し。
現実に振り回されて、できるだけ覚えて、でも大事なことは忘れて、その繰り返し。
団地の棟の隙間。
破れた小さな金網。
潜り抜けて外に出ると太陽の光がシロツメクサの花畑に降り注いでいて眩しかった。
その後、何度もそこに行ったけれどもう見られなかった。
私には綺麗な記憶がたくさんあって、ときどき、それだけで生きているのではないかと思う時がある。
だからたくさん記憶が欲しい。
集めるだけ集めたら、
さっさと光の方に行かせてくれないか。
私の中の公式ではまかり通るのに、地球では通用しないようだ。
だからもういいや、ともう全部要らないと自暴自棄になる。
これだから未来ってやつがよくわからない。