日常にスパイスを加えた“非日常体験”である「合宿」を世に広める
前職では、山のガイドやジビエ解体施設の運営などをしていた壽榮松さん。2021年に高尾山口駅前に誕生した体験型ホテル「タカオネ」の開業にあたり、仲間から相談を受けて提案をともにしたことでR.projectとつながり、入社することに。入社当初より合宿事業部に所属し、今は事業部長として事業全体を統括する壽榮松さんに、合宿事業のことや、一緒に働きたい人物像など、たっぷり語っていただきました。
合宿事業について
━━合宿事業の内容について、オフィシャルサイトにある「合宿施設の運営」「合宿イベントの企画・制作」「合宿事業者への送客」を詳しく教えてください
壽榮松:「合宿施設の運営」面では、海・川・山のそばを中心とした13施設を運営しています。東は栃木、西は大阪まであり、2025年には熊本も増える予定です。自己保有している「サンセットブリーズ」を除いた12施設は自治体や大学、企業などの施設を管理・運営しています。もう使われていなかったり、使われる機会が減ったりした施設の利用を促しています。
利用シーンは、こども達を中心としたスポーツ合宿が約6割で、残りの4割は企業研修や大学生のサークル合宿、青少年自然の家として体験学習の受け入れもしています。観光地でなくても、合宿は豊かな自然と必要な設備、良い運営の形があれば多くの人を集客できますし、地域や大学などにおいては“遊休不動産活用”という目的にマッチした事業だと思っています。
「合宿イベントの企画・制作」という面では、サッカーを中心としたスポーツ大会・イベントの企画・制作を集客・運営まで自社で行っています。
また、まだまだ発展途上ですが、各施設で体験することのできる、スポーツの分野に限らないアクティビティやプログラムの提案をしています。
例えば、とある施設では、火を囲んで対話を促す「焚火ダイアログ」、山でごみを拾いながらポイントを競って楽しむ「クリーンアップハイク」、地域に棲む夜の生き物を観察する「ムササビナイトハイク」などのアクティビティを提供しています。そういった提案を積極的に行うことで、私たちが考える“合宿”というものを世の中に発信していきます。
極端な話、サッカーチームがサッカーをせずに帰る、それもひとつの“合宿”です。利用者の方々に新しい過ごし方を提案するようなプログラムを提供したり、豊かな自然のなかで仲間との語らう時間を生み出すことで、合宿を通じて得ることのできる価値を提供したいと考えています。
「合宿事業者への送客」面では、例えば私たちの施設が定員200人だとして、全国のクラブが集まる1000人規模の大会やイベントを企画すると、自施設だけではキャパシティが不足してしまいます。そのような場合は近くの合宿所やホテルなどを紹介することで、地域全体で受入が可能となり、それらの施設や地域のお店の売上げにも貢献ができます。日ごろから地域と連携することで受け入れ態勢を整え、地域全体の集客力の強化を図っています。
━━サッカーチームがサッカーをしない合宿、これもR.projectが掲げる「エデュテイメント合宿」のひとつですか?
壽榮松:そう考えています。サッカーチームがサッカーをしたり、企業が座学で会社のルールを学んだりするような、日々のルーティンを場所を変えて行うだけではない、合宿ならではの時間も私たちは提供していきたいと考えています。
日常から距離を置いた場所で、楽しみながら(=entertainment)、何かを得ることができる(education)という意味で、「エデュテイメント合宿」と呼んでいます。
━━合宿や研修のポテンシャルをこれからどう伝えていくか?も重要ですね
壽榮松:リモートワークやオンラインが定着した今、一緒に会って話すというハードルが上がっていますよね。ゆえに、日々のなかで人と会う、そこで濃密な時間を過ごしてパフォーマンスを上げる機能のひとつとして合宿を提案していきたいと思っています。
チーム力を上げるだけではなく、ちょっとした気づきを得られるのも合宿の強みです。“忍耐”のようなイメージが強い合宿というものの定義を私たちが変えていきたいですね。決して普通のサッカー合宿を受け入れないわけではなく、「従来の合宿に加えて、こういうことも合宿でできるよ」というような、プラスαの新しい価値の提案がR.projectの強みにもなると思っています。
そもそも、「合宿」という体験自体がとてもおもしろいもの。古めかしい言葉のなかに、クリエイティブな価値が残っていると考えています。
━━合宿をサポートするうえでR.projectが一番大切にしていることは?
壽榮松:「非日常の伴走者」であることですね。“日常をこえる非日常体験”をどれだけ提供できるか。
“日常をこえる非日常体験”とは、毎日の仕事やご飯を食べる…という日常のなかにスパイス的な要素を加えることで、日常の質を上げたりステージアップできたりするような体験のことを意味しています。利用者の皆さんが没頭できる環境をつくったり、日常のさまざまなノイズを減らしたり……。そのために、当日だけではなく準備の段階から伴走していくことも大切にしています。
合宿事業部の仕事について
━━合宿事業部の組織と、施設で働く人の仕事内容を教えてください
壽榮松:合宿事業は、施設の運営をする運営部、新しい施設を開発する開発部、新規顧客開拓を行う営業部(CCTカスタマークリエイションチーム)で成り立っています。
各施設では食事の提供からフロント業務、清掃までできるスタッフを育てたいと思っていますが、大きな施設だと分業が必要ですし、キャンプ場などが付帯している施設もあるので、施設毎に柔軟に組織づくりを行っています。
━━合宿事業で働くうえで必要な資格や経験は?また、どういった人が向いている?
壽榮松:ポジションにもよりますが、基本的に必要な資格や経験はありません。それよりも、まだまだ新しい取り組みをしているところなので、変化に柔軟な人がいいですね。また、当社のコアバリュー、めざすところを理解できる人が求める人材でもあります。
入社してどの立場をめざすにしても現場の経験はして欲しいと思っています。そもそも合宿自体を体験したことのない人も多いはず。仮に体験したことがあるとしても、「合宿好き」という人は数少ないですよね。外部に対して合宿の良さを訴求する場合でも、仲間である内部を率いるにしても、まずは合宿を肌で感じ、生の声でその魅力を語れることが大事だと考えています。
事業部では年に一度合宿をしていて、私も昨年「合宿っていいな」と改めて思いましたよ(笑)。
ただ、店舗運営などの経験がある方は良い距離感で組織を見られるかもしれませんので、現場での経験を踏まずに活躍していただく可能性もあります。それについては、ご本人の経歴やキャラクターなどを拝見して考えていきたいですね。
━━どんな方にジョインして欲しい?
壽榮松:バランス感覚のある方と一緒に働きたいですね。施設にはそれぞれのカラーがありますが、今まさにR.project共通の価値を打ち出していくという側面に来ています。ですので、批判や否定だけではなく提案ができる柔軟さと、新たにつくっていくという強い気持ちがあるといいなと思います。そういう方に新たなポジションを担っていただきたいと考えています。
合宿事業部を率いる壽榮松さんについて
━━各施設や事業部を統括する事業部長の仕事も教えてください
壽榮松:運営・開発・営業の各部門のマネジメントと、事業推進の仕組みづくりなどが中心です。
運営・開発・営業のどのセクションにおいても、まだ仕組みとして荒削りなところが多い状態なので、日々のマネジメントと並行して、安定した事業推進が行える基盤づくりに励んでいます。
━━壽榮松さんってどんな人?
壽榮松:登山やトレラン、川遊びが大好きな人です! 休みの日は、朝から暗くなるまで川で娘と過ごすことが多いですね。最近では娘に付き合ってもらっている感じもありますが……(笑)。
━━ご自身の生き方や働き方で大切にしていることは?
壽榮松:「自分の人生のハンドルは自分で持つ」ということですね。自分の意思で動けば、もしそれが間違っていたとしても他責にはしないでしょうし、いざとなれば誰かが助けてくれるはずだと思います。
【編集後記】
“合宿”といえば、技術向上のためにひたすら時間を割いて練習する……学生時代にそんな部活動の合宿経験しかない私にとって、今回のお話しはとても新鮮でした。
合宿事業のお仕事は、単純に施設を提供し、身の回りのサポートをするのではなく、より高いパフォーマンスを引き出すために必要な、「環境を整える」「目標を明確にする」「開放的なコミュニケーションの場をつくる」「個人・チーム全体の成長を実感する」など、あらゆる角度から提案していることに驚くと同時に納得することばかり。
いつもとは違う環境に身を置くと、いつもより五感が研ぎ澄まされ、小さな変化からも気付きが得られるのかな、と思いました。
合宿って……奥深い!
そんな魅力たっぷりの合宿事業を率いる壽榮松さん。そのお名前からも事業のさらなる発展へ期待しかありません。
取材・文:j.funakoshi
取材日 :Jul.2024
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