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『稲盛和夫一日一言』11/10(木)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11/10(木)は、「リーダーシップと謙虚さ」です。

ポイント:経営者は、強烈なリーダーシップを持つと同時に、一方ではそれを否定するような謙虚さを兼ね備えていなければならない。

 2016年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第5巻 リーダーのあるべき姿』(稲盛和夫著 京セラ株式会社編 ダイヤモンド社)の「西郷南洲に学ぶリーダーのあるべき姿」と題した講演の中で、謙虚さをもつことの大切さについて、稲盛塾長は次のように述べられています。

 会社がうまくいけば、多くの経営者がすぐに有頂天になり、自分の力で成功したのだと驕り、やがて没落してしまう。成功を遂げた後にこそ、「謙虚にして驕らず」ということが大切になるのです。
 西郷南洲(隆盛)は、『南洲翁遺訓(なんしゅうおういくん』26番で、そのことについて言及しています。

 己を愛するは善からぬことの第一也。修業の出来ぬも、事の成らぬも、過(あやまち)を改むることの出来ぬも、功に伐(ほこ)り驕慢(きょうまん)の生ずるも、皆自ら愛するが為なれば、決して己れを愛せぬもの也。
(訳)

 自分を愛することは、よくないことの筆頭だ。修行ができないのも、事業が成功しないのも、間違いを改めることができないのも、自分の手柄を誇って生意気になるのも、すべて自分を愛するがためである。だから、決して自分を愛してはならない。

 私は自分自身を戒め、「謙虚にして驕らず」という言葉を座右の銘として、いくら京セラが発展しても、こんにちまで営々と仕事に励んできました。(一部要約)

 また、月刊誌『致知』2022年12月号「特集 追悼 稲盛和夫」の中の、京セラ元会長 伊藤謙介さんとKDDI元社長 小野寺正さんの対談記事「稲盛さんから学んだリーダーの条件」で、小野寺さんは稲盛名誉会長とエピソードを次のように語っておられます。

 とにかく稲盛さんには、こちらの話を本当によく聞いていただきました。もちろんすべてOKをいただけるわけではなく、何度も説明に通うこともあるんですけれども、最後は「本当に大丈夫か?」と念を押されて、「やります」と答えたら、「分かった。そこまで言うならやれ」と。稲盛さんはきちんと決断してくださるので、ものすごくありがたかったですね。
 もう一つすごいと思ったのは、打ち合わせの次の日にまた呼ばれて、「後で考え直したんだが、やっぱりこうしてくれないか」と言われたことが何度かありました。稲盛さんは、その理由を明確に説明してくださるので、こちらの考えが及ばなかったことに気づかされ、納得して軌道修正できるんです。こういう方が会社を大きくするトップなんだろうなと感服したものです。
(一部抜粋)

 今日の一言では、「経営者は強烈なリーダーシップを持つと同時に、一方ではそれを否定するような謙虚さを兼ね備えていなければならない」と言われています。強烈なリーダーシップだけでは暴走しかねず、謙虚さだけではダイナミズムに欠けてしまう。両方を併せ持つことが大切だということです。

 リーダーの思い通りに進めようとすれば、合意の取りまとめが間に合わずに結果的にごり押ししたことになってしまいます。かといって、どこかの国の首相のように「聞く力」ばかりが先行すれば、タイムリーな決断ができない、結論はいつも先延ばしといった優柔不断なリーダーとの烙印を押されてしまうでしょう。

 ダイナミズムと謙虚さを併せ持つこと、日々あまり意識もせずに繰り返しているさまざまな判断の拠り所になるものではないでしょうか。


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