『稲盛和夫一日一言』2/23(木)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2/23(木)は、「ベストではなくパーフェクト」です。
ポイント:パーフェクトとは、ベストと違って絶対的なもの。他との比較ではなく、完全な価値を有したものであれば、それを超えるものは存在し得ない。
1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす』(稲盛和夫著 PHP出版社)の「完全主義を習い性とする」という項で、完全さを追求することの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
私は、仕事ではパーフェクトを求めます。
ところが事務屋の人たちは、九割方うまくいけば「これでいいだろう」と、いい加減なところでやめてしまいます。なぜなら多少ミスがあったとしても、そこを消しゴムで消して訂正すれば問題ないと思っているからです。また、九割方でもそれなりに効果はありますから、あまり完全さを追求しようとはしません。
しかし、技術屋で修羅場をくぐったことのある人なら、そうしたささいなミスが命取りになることを知っています。そのため、気難しく完全さを追求するといった姿勢が出てくるのです。
このような完全主義を自分に課し、毎日を生きるのは大変つらいことです。しかし、それが習い性になれば、苦もなくできるようになります。人工衛星が地球の引力に逆らって上昇していくには大変なエネルギーを必要としますが、一旦軌道に乗ってしまえばエネルギーを必要としないのと同じです。
完全な仕事の追求を、日々の習慣としなければなりません。(要約)
「今日はベストを尽くして頑張ろう!」といった掛け声をかけたりすることがあるかと思いますが、ベストという言葉には、他に比較するものがあって、その中で最もよいといった意味があります。いわば相対的な価値観ですから、そこには「(できる範囲で)ベスト・パフォーマンスを・・・」といったニュアンスがあります。
しかし、パーフェクトは絶対的なもので、他との比較ではなく、完全な価値を有したもので、他がどうであれ、パーフェクトを超えるものは存在しないといった価値観を有するものです。
2012年発刊の『京セラものづくりの心得を語る』(伊藤謙介著 京セラ経営研究部編/非売品)で、完璧主義を目指す姿勢を持つことの大切さについて、伊藤謙介京セラ元会長は、次のように話されています。
品質はものづくりにおいて最も重要なことです。完璧主義のもと、工程や作業が組まれていなければなりません。
そのためには、人間にはミスがあるかもしれないということを踏まえて、工程設計をしていく必要があります。しかし、仕組みに頼り切ってはいけません。ものづくりに携わる人間の、徹底して完璧を目指す姿勢こそが最も大切なのです。
「何が完璧か」といってもそこには個人差があります。ある人にとっては完璧だと思えるものでも、別な人から見れば、もう穴だらけといったことはよくあることです。やはり、人間性こそがカギとなります。
製造マンが自ら人間性を磨き、感性を高めていくことが、ものづくりにおいて、真の完璧主義を実現することになるのです。(要約)
「パーフェクトを目指す」ということは、何もものづくりに限った話ではありません。
ある程度ミスが起こるのは仕方がないといった感覚で、日常生活を送っていると、リスクに対する感度はどんどん鈍くなっていきますから、そのうち取り返しのつかないミスを引き起こしかねません。
「パーフェクトを目指そうなんて、そんな肩が凝るような堅い話はなしにしましょう」などと言わず、それが習い性となるまで、日常生活の中に少しずつでも組み込んでいってみてはいかがでしょうか。