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R.シュトラウスの部屋

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R シュトラウス:アルプス交響曲, Op.64

演奏者ページ DuPage Symphony Orchestra (orchestra) Barbara Schubert (conductor) 公開者情報 DuPage, IL: DuPage Symphony Orchestra 著作権 Creative Commons Attribution Non-commercial No Derivatives 3.0 備考 Performed 16 May 2010, Wentz Concert Hall, Naperville. From archive.org. 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 『アルプス交響曲』(Eine Alpensinfonie)作品64は、リヒャルト・シュトラウスが作曲し、1915年に完成した単一楽章の交響曲である。 演奏時間:約50分 作曲時期:1914年11月1日 - 1915年 初演:1915年10月28日、ベルリン、フィルハーモニー楽堂でリヒャルト・シュトラウス指揮、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏による。 出版:F.E.C.ロイカルト 作曲の経緯 シュトラウスが14歳(15歳との説あり)の時に、ドイツ・アルプスのツークシュピッツェに向けて登山をしたときの体験が、この曲の元となっている。その後、1900年に交響詩『芸術家の悲劇』(未完)を経て、1902年には『アンチクリスト、アルプス交響曲』という名称でスケッチがされた。この題名にはフリードリヒ・ニーチェの『アンチクリスト』からの影響が見て取れるといわれている。この時には4楽章形式の交響曲の構想も書かれている。 1911年からガルミッシュ=パルテンキルヒェンの山荘で『アルプス交響曲』としてのスケッチを開始し、1914年から本格的な作曲に取り掛かった。 構成 各部分は切れ目なく演奏される(練習番号はロイカルト社のスコアによる)。 夜 Nacht B mollの下降音階が順番に重なっていく不協和音(夜の動機)により開始される。金管楽器による山の動機が静かに登場する。何重にも分かれた弦楽器により音が厚くなっていく。 日の出 Sonnenaufgang (練習番号7) A dur の太陽の動機がffで出てくる。調性を変えながらメロディーは引き継がれたあと、ゲネラルパウゼとなる。 登り道 Der Anstieg (練習番号11~12) 低音弦楽器による山登りの動機から始まる。流れるような旋律になった後、岩壁の動機が現れ、舞台裏でホルンを中心とした金管楽器のファンファーレが奏される。 森への立ち入り Eintritt in den Wald (練習番号21) 弦楽器の 16分音符の中、トロンボーンとホルンによる旋律が奏され、それに山の動機が絡んでくる。 小川に沿っての歩み Wanderung neben dem Bache (練習番号37~38(ピッコロのパート譜に記載あり)) 小川のせせらぎの音が聞こえるが、登りであるので山の動機も重ねられる。 滝 Am Wasserfall (練習番号40~41) 岩壁の動機に、弦楽器と木管楽器・ハープ・チェレスタによる滝の流れが重ねられる。 幻影 Erscheinung (練習番号42) 水の中にオーボエの旋律による幻影が見えてくる。最後にホルンの旋律が出てくる。 花咲く草原 Auf blumigen Wiesen (練習番号47) 山登りの動機が静かに聞こえてきたあと、曲は快活になる。 山の牧場 Auf der Alm (練習番号50~51) カウベルによる牛の擬音が鳴る中、牛の鳴き声とアルプホルンを模したホルンの音が聞こえてくる。その後、ホルンの旋律とともに登山者は道に迷う。 林で道に迷う Durch Dickicht und Gestrüpp auf Irrwegen (練習番号59) 山登りの動機と岩壁の動機が出てくる。そして山の動機が現れ、次へとつながる。 氷河 Auf dem Gletscher (練習番号67~68) 明るくなり、山登りの動機が現れる。 危険な瞬間 Gefahrvolle Augenblicke (練習番号71~72) 遠くから雷鳴(ティンパニのロール)が聞こえてくる。 頂上にて Auf dem Gipfel (練習番号76~77) 和音が響いた後、トロンボーンが頂上の動機を鳴らし、オーボエが訥々と旋律を奏でる。そして幻影で出てきたホルンの旋律が再び現れる。山の動機と太陽の動機が一体となる。 見えるもの Vision (練習番号87~88) 頂上の動機が和音の下から現れたあと、太陽の動機が管を追加してまた登場する。 霧が立ちのぼる Nebel steigen auf (練習番号97) ファゴットとヘッケルフォーンが不安げな旋律を奏でる。 しだいに日がかげる Die Sonne verdüstert sich allmählich (練習番号98) 太陽の動機が短調で登場し、太陽が翳ってきていることを表している。 哀歌 Elegie (練習番号100) 弦楽器により、登山者は悲しげな歌を口ずさむ。 嵐の前の静けさ Stille vor dem Sturm (練習番号103~104) 遠くから雷(バスドラムとサスペンデッドシンバル)が聞こえてきて、だんだん暗くなってくる。ぽつぽつと降り出した雨(ヴァイオリン・フルート・オーボエ)は、次第に激しくなってくる。そして、風が吹き出してくる(ウィンドマシーン)。 雷雨と嵐、下山 Gewitter und Sturm, Abstieg (練習番号109~110) オルガンの和音とウィンドマシーンによる風の吹く中、登山者は下山する。これは山登りの動機を転回し、逆の順序で用いることで表されている。強烈な稲妻が光り、最後にはシュトラウス特注のサンダーマシーンにより落雷が起こる。その後はだんだん静かになってくる。 日没 Sonnenuntergang (練習番号129) 太陽の動機が転回され、日没を表している。登山者は哀歌を口ずさむ。 終末 Ausklang (練習番号134) オルガンにより太陽の動機が奏され、山登りの動機も回想的に使われ、あたりは暗くなってくる。 夜 Nacht (練習番号144~145) 冒頭部の夜の動機がまた現れ、山の動機とともに静かに終わる。 #シュトラウス,#アルプス交響曲